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ご自愛カフェ「秋田のお坊さん齋藤宣裕さんと仏教×ご自愛について考えよう」【開催レポート】

こんにちは!tiny peace kitchenのまいです。
10月9日(金)に、タイニーのオンラインイベント「ご自愛カフェ」を開催しました。
今回は秋田市の法華寺で副住職を務める齋藤宣裕(さいとう せんゆう)さんをゲストにお招きし、参加者のみなさまと一緒に仏教の視点からご自愛について考えてみました。
こちらのnoteでは、ご自愛カフェの様子をレポートとしてお届けします。

20201009ご自愛カフェ

▽前回のご自愛カフェの開催レポートはこちら

前半は、せんゆうさんとタイニー代表のともことのトークセッションから始まりました。

トークセッションテーマその①:「仏教の世界では、愛は煩悩?」

わたしたちtiny peace kitchenには「やさしさが連鎖する経済圏をつくる」という理念があります。
「やさしくなるためには、まず『ご自愛』から始めるのがいいのではないか?」
そんな仮説を立て、日々ご自愛について探求したり、発信をしています。

そもそも、苦しみや悩みから解放されるために誕生した仏教の世界では、「愛」はどのように捉えられているのでしょうか?

せんゆうさんはこのように語ってくださいました。

「仏教の世界では「愛」は煩悩の一つとされています。
何かを好きになったり夢中になることは一見幸せなことのようだけど、それゆえに辛くなることがたくさんあります。
恋愛でも「わたしはこんなに好きなのに、あの人はこうしてくれない…」など。
「愛」があるからこそ、こだわってしまい、苦しみが生まれてしまう…。
だから、仏教の世界ではマイナスの言葉として定義されています。」
「苦しみから離れるためには、執着を手放すことが必要だと言われているんです。
「自分」という絶対的なものがあると思うから苦しくなってしまう。
だから、そこから離れると悩みが消えるということになります。
骨や筋肉など、「わたしという容れ物」はあるが、本質的には何もない。
「わたし」という意識があると思っているかもしれないけど、実は他の人との関係で成り立っているものなんです。」


トークセッションテーマその②:「執着を捨てること」と「自分の願いを大切にすること」

生きていると「あれが欲しい」や「これを達成したい」という願いがたくさん湧いてきます。
そして、タイニーでは現時点でご自愛を「自分の願い・ニーズを大切にすること」だと考えています。
苦しみから逃れたり、悩みから解放されることはステキだと思いつつ、願いを手放したら自分が自分でなくなってしまうのでは…そう感じる人もいるかもしれませんね。

そんな声に対し、せんゆうさんはこのようにお話しされていました。

「大昔のインドでは、苦しみから離れるためには『執着を手放すこと』がベストだったのだろうと思います。ただ、その頃と今とでは時代背景も違いますし、お釈迦さまがしたような暮らしを現代でするのは簡単ではありません。なので、昔の教えを現代にどう活かすかが今の仏教界の大きなテーマだと思います。
仏教の話は浮世離れした話しが多いけれど、それを現代にどう当てはめるかが大切だと考えています。
仏教の教えで【中道】というものがあります。中道は『極端なものを避ける』という意味で使われることが多いのですが、本来は『対立している物事を超えて、対立から離れましょう』という意味合いなんです。
例えば、わたしはカレーが食べたいが友達はラーメンが食べたいというとき。中道とは『間をとってハンバーガーにしよう』と第3の道を選ぶという意味ではないんです。
『そもそも、どうしてわたしたちはお腹が空くのだろう?』と、そもそもの対立から離れてみることを表している言葉なんです。

先ほどの「愛」や「願い」という例に当てはめて考えてみましょう。
愛や願いがあることでが苦しみを生んでしまうなら「愛や願いはない方がいいのかな?」「自分を大切にするという考え方はダメなのかな?」と感じるかもしれません。
「愛があるのとないのと、どちらがいいのか」と対立させるのではなく、そもそも「自分を大切にするってどういうことだろう?」と俯瞰して考えてみるのが【中道】という考え方なんですよ。

他にも仏教の教えから日常で活かせそうなヒントをいただきました。

【仏性】
どんな人の中にも生まれながらにして仏さまの性質が備わっているという考え方。
→自分にとって嫌な人がいたとしても、嫌な面ばかりにフォーカスするのではなく「この人にも仏さまの心が備わっているんだな」と思うことで、意識を切り替えることができる。

【少欲知足】
あまり欲張らず、すでに持っているものの大切さに気づくこと
→足りないものに目を向けるのではなく、「あるもの」に目を向けることで、「大切なものをすでにたくさん持ってる!」と気づくことができる。足りないものを欲しがる不満ではなく、感謝の意識に切り替わるのではないか?

「おしえて!せんゆうさん」 のコーナー

ここまでお話を伺ったあとは、グループに分かれて参加者同士で感じたことのシェアタイム。

その後全員で集まり、参加者からせんゆうさんに質問が寄せられました。
せんゆうさんの回答とあわせてご紹介します。

Q.タイニーでは「ご自愛」という言葉を使って発信していますよね。「自分を愛する」という意味になりますが、自分だけじゃなくみんなを愛すればいいと思う。せんゆうさんは「ご自愛」についてどう思いますか?

A.最初にtiny peace kitchenの理念である「やさしさが連鎖する経済圏」という言葉を聞いたときに、慈悲の世界だな〜と感じました。
お話しする中で「わたしのご自愛」「あなたのご自愛」「わたしたちのご自愛」という言葉が出てきましたが、仏教では「わたし」や「あなた」という境界線が曖昧なんです。
そういう世界観の中で考えると、「わたしのご自愛」は「あなたのご自愛」でもあり、「わたしたちのご自愛」でもあると思います。
わたしを他人のように考えて、他人をわたしのように考えてみんなを大事にすることが、ここで語られているご自愛なのかな、と考えています。
Q.悩んでいる人がいたら、その人が悩みから解放されるためにどのようにサポートしたらいいでしょうか?(身近に、理想と現実とのギャップに悩んでいる人がいる)

A.仏教の教えを頭でわかっていても、現代で実践できないことは多いですよね。
松本紹圭(まつもと しょうけい)さんという、MBAを取得している活躍しているお坊さんがいます。松本さんは、仏教の教えを踏まえた上で現代の生活で何をするか?と考え、「良き習慣づくり」というキーワードでお掃除をテーマに活動されている方なんです。
悩みや苦しみから少し離れて、体や心を整える習慣をつくることは役にたつかもしれません。
Q.習慣化できるコツが知りたいです。「いい」という実感はあるのに、続けることが難しいんです…

A.仲間を見つけるのはどうでしょうか?
もともとお坊さんは「サンガ」と呼ばれる集団となり、仲間とともに修行生活を送っていました。それはなぜかというと、1人でストイックな生活をするのは難しいからなんです。
お釈迦さまの言葉に「良き友がいることは、修行の半ばではなく、その全てです」という言葉があります。一緒に何かを頑張れる仲間がいることは、それだけでゴールなのかもしれませんね。

天才バカボンのセリフ「これでいいのだ」は、最高のお守りになる

イベントの最後に、せんゆうさんからメッセージをいただきました。

「仏教には難しい教えもたくさんあります。
わたしはそれを今の人にわかりやすく伝えたり、生活に活かせるようにしたいという気持ちが強いんです。
そこで最近テーマにしているのは、天才バカボンのセリフ『これでいいのだ』です。
実は、すごく仏教的な言葉なんですよ。」
「心が乱れていても『これでいいのだ』。
悩みや苦しみがあっても『これでいいのだ』。
これが、わたしたちなのだ。
諸行無常というように、全てのものは移ろい、やがてなくなっていく。
これでいいのだ。
悩みや苦しみがあるのもわたしたちが生きているからだし、仮の存在だとしても、人間という存在があるから。
自分もこれでいいし、相手もこれでいい。みんなもこれでいい。

『バカボン』は昔のサンスクリット語で『お釈迦さま』を指すという説もあるようですね。
『これでいいのだ』は一言で仏教の世界観を表していると思います。
自分を俯瞰して眺めて、気づくこと。そして自分のことを大切に、自分と同じように他人も大切にする。世界中みんなが大切になり、連鎖していくのではないでしょうか。」

「ご自愛」よりフィットする言葉はなんだろう?

タイニーでは最近は「わたしたちのご自愛」という言葉を使っています。
「わたし」と「あなた」を分けて考えるのではなく、一緒に大事にしたい。そんな思いがあるのです。
しかし、「ご自愛」や「愛」は語る人や場所によって解釈が変わり、つくづく幅がある言葉だな〜とも感じています。
今後も「ご自愛」を大切にしながら、より伝わりやすい言葉を模索していきたいと思います。


▽せんゆうさんのご自愛タイムズはこちら



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