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【TinyBooks】物語執筆のためのキャラクター設定と構成のポイント

 小説を書く際、登場人物は物語の中でも非常に大切な役割を担っています。キャラクターがしっかりと作り込まれていないと、読者はその物語に感情移入できず、最終的には物語そのものに興味を失ってしまうこともあります。本稿では「小説のキャラクター作成」に焦点を当てて、物語に引き込まれるような人物像を作るための考え方をご紹介します。

 もちろん、キャラクター作成には絶対的な正解はありません。ただ、読者が共感したり、記憶に残るキャラクターを生み出すためには一定の工夫が必要です。

本稿の後半では、物語の伏線の考え方とエンディングについても説明しています。



1. キャラクターの「基本的な性格」を決める

 まず最初に、キャラクターの性格を考えることが大切です。これは物語の中でそのキャラクターがどのように行動するか、どんな言動をするかに大きく影響します。あなたが作りたいキャラクターが勇敢で自己主張が強い人物なら、そのキャラクターはストーリーの中で積極的に行動を起こし、問題解決に挑戦するでしょう。逆に内向的で慎重なキャラクターなら、行動に慎重で、決断を下すまでに時間がかかることが多いかもしれません。

 ここで重要なのは、性格が一貫していることです。キャラクターの性格が物語を通して矛盾していると、読者はそのキャラクターに対する信頼を失ってしまいます。もちろん物語の成り行き次第では完璧な一貫性を求めるのは難しい場合もありますが、少なくとも「このキャラクターはどういう人間なのか?」という軸がしっかりしていると、物語が安定します。

🟩キャラクターの「基本的な性格」を考える

 ✔️何を最も大切にしているか?(友情、家族、仕事、自由など)

 ✔️どんな価値観を持っているか?

 ✔️恐れているものは何か?

 ✔️嫌悪していることは何か?

 ✔️不安に思っていることは何か?

 ✔️楽しいことは何か?

 ✔️どんな状況に強く、どんな状況に弱いか?

 ✔️何かを達成するために使う手段はどんなものか?

2. 「背景」を作り込む

 キャラクターの性格が決まったら、その人物がどのような背景を持っているかも考えましょう。背景はその人物の行動や価値観、考え方に大きな影響を与えるものです。例えば、裕福な家庭に育ったキャラクターは物質的な豊かさを重要視する傾向が強いかもしれませんし、世間知らずな部分があるかもしれません。貧しい家庭で育ったり、貧困に苦しんできたキャラクターは、お金や安全を最優先に考えるかもしれません。厳格な家庭で育った人物は、自己主張が苦手であったり、反発心が強かったりすることがあります。一方、過保護な家庭で育った人物は、他者に依存しやすくなるかもしれません。

 家族構成や育った環境、過去の出来事も重要な要素です。両親などの家族との死別や不和、過去の友情や恋愛の経験などがその人物にどのような影響を与えているのかなどです。これらの背景はキャラクターの存在感を際立たせ、立体的に見せるために欠かせない要素となります。

 背景を考える際には、キャラクターが物語の中でどのような変化を遂げるかも意識すると良いでしょう。過去に傷ついたキャラクターが物語を通して成長し、人間関係の築き方や世界の見方を変える過程を描くこともできます。このような物語の組み立ては、読者がキャラクターの成長を見守る楽しさを感じることができ、物語への没入感が増して満足度も高まります。

🟩キャラクターの背景を考える

 
✔️キャラクターがどのような家族の中で育ったのか。両親がどんな人物だったのか、兄弟姉妹との関係はどうだったのか。(家族構成)

 ✔️どこで学び、どんなことを教わったのか。どのような人物に影響を受けたのか。(学歴・知識)

 ✔️過去にどんな辛い経験をしたのか。どんな成功や失敗を経験したのか。(トラウマや誇り)

 ✔️これまでの人生で、どんな友人や敵がいたのか。それがキャラクターにどう影響を与えているのか。(人間関係)

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