スーパーペーパーマリオの話をしようよ、ねえ
#全力で推したいゲーム というハッシュタグを知った。
というか、「バッジとれ~るセンター」の面白さを全力で語っている人のnoteが注目記事に選ばれているのを見て、完全にその熱量に当てられた。
私も書くしかないな。
Nintendo Wiiソフト「スーパーペーパーマリオ」の話を……!!
スーパーペーパーマリオのここが異常!
この世には「マリオ系」のソフトが死ぬほどある。
ブラザーズから脈々と続く伝統的横スクシリーズはもちろん、64やギャラクシーに代表される3Dシリーズ、テニスやバスケなどのスポーツシリーズ、わいわい楽しいパーティーシリーズ、あまりに愛されすぎているレースゲームシリーズなど。枚挙にいとまがない。
ただ、それだけ横にどんどん展開されていくということは当然、元祖の仕様から大きく離れた内容のゲームが多く誕生するということでもある。
いわゆる「邪道マリオ」である(私が勝手にそう呼んでいる)。
マリオゴルフの時点でもう「これはマリオである必要があったのか?」と思わなくもなかったが、ルイージマンションやドクターマリオのことを考えれば、まだ邪道の中でもマシな方だったんだろう。
ドクターマリオてお前。やりたい放題か。
私が今回語るスーパーペーパーマリオも、どちらかといえば邪道マリオの一つである。
そもそも登場する人物、舞台、アイテムが全て紙製だというのもあるが、それよりも、「オリジナルキャラがたくさん出てくる」ということが今作を邪道たらしめているように思う。
敵対勢力となる軍団は全員知らんヤツ。
冒険についてくるおともキャラも知らんヤツだし、各地に点在して冒険を導いてくれるキーパーソンも一人残らず知らない。とにかく新たな出会いばかり。
ただ、「多分敵は踏めば倒せる」「土管には入れたり入れなかったりする」「『ガッハッハ!』という台詞が聞こえたら大体アイツが登場する」などのことが自然に理解できるというだけでも、マリオを起用することの意義って大きいんだろうなとは思う。
長い年月で作り上げた共通認識ってすごいよね。
おもしろい、だが劇薬
そんなスーパーペーパーマリオの何がいいかって、それこそオリキャラ達の溢れる個性と、アクションゲームの域をギリギリ超えないくらいの厚みのストーリー展開。これに尽きる。
プレイ当時の私は小学校高学年くらいだったはずで、もう他のゲームもそこそこプレイ済みの状態だった。にもかかわらず、このスーパーペーパーマリオに初めて触れたときは衝撃だったし、今も強く記憶に残っている。
普通にクリアできなくて泣いたところもあったけど、展開が不穏すぎて泣いたところもあったし、あまりに感動して泣いたところもあった。
もう発売からは15年くらい経っているのに、たまにRTA in JAPANの動画を見ては懐かしさに浸っている。知らない攻略ルートばっかり出てくるけど。
スーパーペーパーマリオはおもしろい。それを支えているのは、いくつかの劇薬的な要素たちである。例えば以下のような。
1.「死」もあるし「消滅」もある
スーパーペーパーマリオには明確に「死」の概念がある。
それまでのマリオは「ポコッ」という音と共に退場するくらいがセオリーだったはずなのに、今作ではキャラがリアルに死にやがる。洒落にならない。
そして、場合によっては死よりも恐ろしい、「消滅」の概念もしっかり登場する。
さっきまで普通に暮らしていた世界が、どこまで行っても真っ白なだけの空間に変わってしまう瞬間が、ある。
詳しくはプレイして確かめてみてほしいのだが、私はあれを目の当たりにしたとき本当に不安で不安でたまらなくなったし、その分「平和な時間」に対して抱く感情がひとしおになった。
2.ステージのバリエーション
ちょっとネタバレになってしまうかもしれないのだが、今作はステージごとに雰囲気がガラッと変わる。
地上と地下の違い、とかギミックが一つ増えて、とかいうレベルではなく、目標やゲームシステム自体がいちいち作り変えられている感じ。新しいステージへ行くたびに頭をひねる必要がある。
その分、1本クリアしただけで8本くらいのゲームをやり終えたくらいの達成感が味わえるし、それを完璧にまとめ上げるストーリーには脱帽する。
クリア後のやりこみ要素も、「こんなにいいんですか!?」っていうくらいの量はある。しかもただの収集ではなくきちんと「その後」を回収できる内容だから、本当にありがとうございますとしか言いようがない。
3.ディメーン
ディメーンという敵がいる。先ほどの画像でも確認できるが、一応もう一度貼っておこう。
このふざけたピエロである。
こいつがもう、本当にふざけている。
性格や攻撃タイプから敵の一味はざっくりと肉体班と精神班に分けることができるのだが、こいつは紛れもなく精神班である。
それはマリオに対してもだし、私に対しても。
ディメーンは暗殺するし、洗脳するし、増殖するし、心中する。そしてその間ずっとヘラヘラしている。
これらの一連の狂気がどうも私の性癖「特殊な思い入れ」に引っかかってしょうがなかった。しばらくディメーンのことしか考えられない時期がありました。
そもそも敵に催眠使いが多すぎる。ストーリーの流れ上必要なものであることは理解できるが、そんなにホイホイ人の心を弄ぶもんじゃない。いちいちドキドキするプレイヤーの身にもなってほしい。
名作を忘れるな
ああスーパーペーパーマリオ、私の青春。
一番好きなゲームは?と訊かれるたびに、私は「スーパーペーパーマリオ」と答えている。
その答えを聞いて、よし、じゃあやってみるか、となる人は別にいないのだけど、それでも語ってしまいたいあの魅力。あの衝撃。
惜しむらくはWiiのソフトであること。Wiiリモコンをフルに利用したシステムだったから、もうWii U以上の移植は来ないだろう。
このままあの面白さを語り継ぐ人がどんどんいなくなって、いつか忘れ去られてしまうのかな。
そんなのってないよ。
せめて私だけはずっと好きでいよう。
追記:検索したらめちゃくちゃ近いことを書いている方が既にいらっしゃいました。全然私だけじゃないわ。既出乙。
補足:オリガミキングについて少しだけ
ペーパーマリオシリーズは、任天堂で主要ハードが出るたびに一応、きちんと継続されている。
それはもちろんNintendo Switchの場合でも例外ではなく、2020年に発売されたのが「ペーパーマリオ オリガミキング」である。
これがまあ、賛否両論あった。私も若干、「物足りねえな……」とは思った。
キャラクターの感情が単純化されすぎてしまったというか、ペーパーマリオ特有の「重さ」を引き継いでいきたい意思はあれどシナリオが伴ってこなかったというか……ペーパーマリオの表面をなぞった別物のように感じられた。
ただそれは、もしかしたら私がプレイの対象年齢から外れてしまったからなのかもしれない。シリーズが必ずしも自分と一緒に年をとってくれるとは限らない。
それと、マリオを取り囲む環境も、刻一刻と変化している。これはちょっと調べて知ったことだけれど、「マリオ」の名を冠するゲームはもう、あまり大胆な設定を追加してはいけないことになったっぽい。
どこまで本当かは定かではないけれど、こんなに寂しく感じるということは、小学生のときに味わったような「革命」がまた起こることを、私は心のどこかで期待してしまっていたのかもしれない。
ただ、そんな中でも、一発ゲームオーバーや淡々としているがゆえのトラウマ表現など、シリーズどうしの共通項が息づいているのが確認できたのはちょっと嬉しかったな。