私にとっての非日常
コンビニの雑誌コーナーに「一度は泊まりたい憧れのホテル・旅館」みたいな雑誌が置いてあった。
私の母は前々から、還暦などのお祝いの時は家族みんなで素敵なホテルに泊まりたいと言っていて、しかしコロナやらなんやらでなかなかその夢はまだ叶っていない。そのことを思い出して、参考にしようかとちらっと立ち読みしてみた。
でも、どの施設も特に素敵だと思えなかった。
素敵じゃない、ということではなくて、特にピンとこないというか…もともと私は素敵なホテルというものがよくわからない。あまりそういうものに惹かれないのだ。だから母の願いを聞いても、じゃあここはどう?!と積極的に提案できずにいる。本当は私がネットでいろいろ調べてあげた方がいいんだろうけど。
旅行自体には関心があるんだけど、宿泊施設メインとなると、魅力がよくわからなくなる。
立派な外観、優雅な内装、豪華な食事、リッチなルームサービス、部屋からの絶景、露天風呂、そして従業員の心のこもったおもてなし。素敵なポイントってきっとこの辺りだよね。
ちなみに私の母は、洋風のお部屋で、日常生活から解放されて、家事も炊事も全部やってもらって、のんびりしたいらしい。つまり、非日常を体験したいということだろう。
しかし私は素敵なホテルと非日常がなんだか結びつかないのだった。
どんなに素敵なホテルでも、肉眼で見ればそれなりにほこりも汚れもあるし、スタッフだって人間なのでおもてなしにも限度があるだろうし、綺麗な部屋でも自分の荷物を広げたら生活感出るし、なにより重力がある。自分の肉体で動かないと何も起こらない。当たり前だけど、なんか、それをすごく私は感じる。非日常を感じるには肉体が邪魔なの。
そういった意味では私にとっての非日常とは、夜に見る夢の中にあるのかもしれない。夢の中ってあんまり重力を感じない。空を飛べたりするし。五感でいろいろ感じるけど、夢はアニメ的というか、メインが視覚の世界という感じ。
まあ私がこう感じるってだけで、母の願いなんだから、そのあたりの感じ方は置いておいて、早めに叶えてあげたいなと思う。
それに、私がこれまでの人生で、クオリティが高い宿に泊まった経験がないから魅力がわからないのか、単に興味がない人間なのかも気になるので、人生経験として行ってみたい。本当に素敵なホテルって、どこにあるのかなあ。人気で簡単に予約できなそうだよなあ。
余談だけど、このことについてしばらく考えていて、普段絶対食べることのない料理も私にとって非日常な気がする!と思ったので、母のホテル探しとはまた別で、いろんなレストランにこれから行ってみたいなと思った。