【本の感想】俺が公園でペリカンにした話

〇はじめに
 Xとかで見かける短編集のおすすめから見つけました。
 タイトルがめちゃくちゃキャッチーでいいよね。

〇総評
 私はめちゃくちゃ面白いと思うし好きだけど、ちょっと人には
 勧めづらいです。
 文章の書き方にかなり癖がある方でそこがハマるかどうか。
 その独特の文章に合ったちょっと不思議な物語が綴られています。
 状況、登場人物がとにかく濃い。

 そしてバイオレンス!
 タランティーノ映画みたいな暴力表現が多いけれど、現実離れしてる独特さが
 緩和してくれて面白く読めます。
 エスニック料理のパクチーみたいな。
 好きな人はもうこれがないと!ってなるけど、無理な人は一口でNG。
 そんな独特さ。
 私は本当に面白かったのです。

〇あらすじ
 短編なのであらすじもへったくれありませんが、おおよその型はあります。
 主人公は貧乏で放浪者、ヒッチハイクしてその日暮らしの生活してます。
 ヒッチハイクして車に乗るのはいいんですが、色んな事情で予定していない
 下車をする羽目に。
 下車して行き着いた先で自分の常識とはかけ離れた行動をする人たちを
 目の当たりにして、巻き込まれていきます。

〇良かったところ
・非現実さ
 読み始めたときの違和感が作品全体の現実に違和感を持たせてます。
 文章の独特さがいい仕事をしていて、この描かれている世界が現実とは
 ちょっと違うどこか異世界に感じられます。
 登場人物のセリフも主人公同様「正気かそれ?」って感じる不気味さ、
 そしてスパイスとして存在するバイオレンスもどこか許容できてしまう。
 独特の気持ち悪さがあるんだけど、そこが更に癖になります。

・風刺
 各編は風刺的な切り口になっていて、かなり痛いところをついてると
 思います。
 1つ目の理由があることで生々しすぎない、風刺として可笑しく捉えられる
 範疇に収まっています。
 現実だと踏み込めないような表現、凶暴性、そういったものを異世界感が
 うまく馴染ませていて、風刺のエッジが残されてる。
 たまりません。

〇いまいちだったところ
・癖がすごい
 エログロバイオレンスてんこ盛りで、めちゃくちゃ人を選ぶと思います。
 かつ文章の書き方も読みやすくはありません。
 慣れたら大丈夫でしたが、最初かなり読みづらいと感じました。
 ハマればでかいけど、ハマらないと1ページ目で辞めたくなると思います。
 ページ量も多いので、読む本として選ぶときはそれなりに覚悟が
 必要かもしれません。

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