本の感想「メイドの秘密とホテルの死体」

●はじめに
小嶋監督がお勧めしていたので気になってました。
確かヒデミスにも選ばれていたかと。
ヒデミスのあらすじ色々聞いた中で、なんか妙に気になっていました。
かなり直観的に選びました。


●総評
これめちゃくちゃよかったです。
お勧めです。
読むと主人公モーリーを思わず好きになってしまいます。
不器用なモーリーにとっての人生の辛さ、それを経て人生に光を見出していく。
彼女の素直さは憎めない、むしろ庇護欲を掻き立てられるというか、成長を見守る親のよう。

話しは前半の危なっかしいハラハラ感から、後半の逆転劇にワクワクする別のハラハラ感。
緩急はあるんだけど、常にハラハラする気持ちの緊張感があります。
そして最後にすっきりさせつつも、読者にえ?っといわせるどんでん返し。
贅沢セット頼んだかのように盛沢山ですね。
お腹いっぱいです。

モーリーに対して好感を持てるかどうか、ここが最大の焦点なのでそこが合わない方はさすがに難しいと思います。
個人的には超おすすめです。


●あらすじ
主人公モーリーはホテルのメイド。
ちょっと不器用な所があって、少々素直すぎて融通が利きません。
それゆえに仕事は完璧なんだけど、彼女自身が生きづらい日を過ごしている瞬間があります。
仕事の時間は彼女にとってとても特別で、完璧な仕事から周りからの評価も高い。
それゆえにスイートのお客さんとも仲が良く、よく掃除担当をしています。

ある日、いつものようにスイートの清掃に入ると、そこにはその部屋主の死体があって・・・・・・
第一発見者のモーリー、彼女の素直さは時として大きなハンデに、時として大きな武器になってこの事件に大きくかかわっていきます。


●よかったところ
- モーリーの魅力
この本の最大のポイントはここです。
現代人にはあまりにも眩しすぎるモーリーの素直さ。
これにぐっと心をつかまれるんだけど、実は結構人間臭いところもあったり。
それが余計に魅力的に感じます。
ただの善人ってだけだったらこういう気持ちになってないと思うんですよね。

最初は本当に親心みたいな心配の気持ちだけなんですが、読んでいくと意外と彼女の中にしっかりとした意志があるんだと気づかされます。
読んだ後の彼女のことを好きになるという表現は実はただのいい子ちゃんじゃない、こういう部分から来てると思います。

- 全編に続く緊張感
前半と後半で意味合いが違うハラハラ感があります。
物語自体は場面展開も多いし緩急もありますが、ハラハラ感がうまく続いていきます。
前半は殺人事件の第一発見者として問題を抱えてしまい、モーリーの人生そのものにハラハラ。
後半はうまくいくのかどうか、心配な気持ちとモーリーの芯の部分が見え隠れしてきてハラハラ。
この緊張感の高さが読後の満足感をより大きくしていると思いますし、最後の最後のエピローグのほっこりする感じが挟まることで、オチへのふり幅が出来てたまりません。


●いまいちだったところ
- 謎解きとして観たときのずるさ
最後のどんでん返しというか、オチはびっくりしました。
でも、当たり前なんです。
本編で話出てきてないから。
におわせていないとは言いませんが、正直伏線としてはほぼない状態に感じました。
いきなり新情報登場!って感じでサスペンスのよう。
そりゃびっくりしますよね
良かったけど、ずるいなとは思いました。

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