【詩】仏陀
「仏陀」
真っ暗な空間に
風が吹いていた
風は入り乱れていて
ある時
小さな渦を創った
渦の中から
透明な風の玉が生まれた
玉は完全な球体であった
その球体は渦の中から出ると
たちまち細胞分裂のように増殖し
人の子供らしき形に変わった
透明な子供は
片手で上を指し
片手で下を指すと
テンジョウテンゲ ユイガドクソン
と消え入るような声で言った
すると子供の中に強い光が生まれ
子供が姿を現すと
変形し光とともに大地になり
大地からは草花が生え
木が育って枝を伸ばし葉を広げ
その上には青空が広がり雲が浮かんで
いつの間にか綺麗な小川が流れている
川の中は小さな水中花と魚が泳ぎ
黄色の蝶々が草花の間を飛び回る
どこにも影は存在せず
万物が光っているようだった