【詩】心の虫
「心の虫」
心の中に虫がいて
心を食べて穴を空ける
ぽっかり空いた穴に
風が吹き荒び
心は冷えて凍りつく
寒さに耐えられなくなった心は
温もりを求めて強欲になる
それでも心に空いた穴が
埋まることはない
心を食べる虫は
寒さで凍死した
すると
虫の死骸から芽が出て
芽は育ち蔦となって心を覆った
蔦は幾重にも絡まり
一本の大きな幹になって
あらゆる方向に枝を伸ばし
たくさんの葉をつけた
凍りついた心はすっかりと溶け
その水分は葉脈まで吸い上げられ
幾万もの葉が潤って
キラキラと光り出す