中古品

 この国に暮らし始めて数年、買い物に対する考え方が大きく変わった。日本にいた時は、というよりも若かりし頃は、何でもかんでも新品を購入していた。時々は古本屋で小説を購入することもあったが、大体のものは新品でないと何となく嫌だった。ところがここ数年、何かを購入するときにはまず最初に中古品から探すようになった。年老いて物欲が減ってきたことも関係しているのかもしれない。

 近所にいくつかThrift Shop(中古品販売店)がある。The Salvation Armyのような、キリスト教団体が慈善活動として運営しているお店が多い。食器、衣服、家具、家電、本、宝飾品に車と、1つのお店でかなりのバラエティーなので見ていて飽きないし、何よりも値段が安い。キリスト教運営のお店では、持ち主がいらなくなったものを寄付し、それが商品として店頭に並んでいる。営利目的ではないため売値がかなり低い。時には「何故こんなものがこんな状態なのに売られているのだろう(e.x. 半数以上減っているオムツパック、ボロボロという表現を超えるほどボロボロのヘッドボードなど)」というものもあるが、大抵はその逆で、これがこの値段!!!と嬉しくなるほどの価格である。

 ケーキを焼く際の「型」などは、大きさにもよるが、1つ2、3ドル。Nordic Wearの大きめのものでも5ドル。庶民の味方Walmartよりも安い。子供の運動靴も、Adidasが新品で6ドルだった。チークやマホガニー製の家具が、新品では考えられないような値段で売られている。多少の使用感はあるが、置き場所があれば手当たり次第に全て購入したいほど美しいデザインの素敵な家具だった。

 シニアになったら、全商品がさらに割引価格で購入できるという。死ぬまでサウスキャロライナで暮らす私にとってこれは朗報であり、老後の楽しみとなった。 

 

 

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