サウスキャロライナ運転免許1

 周囲の誰もが「日本より取得が簡単」というアメリカの運転免許。私の場合は日本の方が遥かに簡単だった。

 こちらに越してきて、最寄りのDMV(運転免許センター)ですぐにビギナーズパーミット(仮免)を取得した。これはコンピュータでの筆記(?)試験に合格するとすぐに貰える。念のためテキスト5ドルをセンターで買って勉強したが、ネットでいくらでも問題が無料で閲覧できるので、やや後悔している。

 私は東京で免許を取得したが、取得後1度も車を運転していないゴールド免許保持者である。ウインカーもロービームもハイビームも怪しい、前進のみ可能なドライバーである。仮免取得後は、運転免許保持者に同乗してもらって運転ができる。ここからが長かった。

 夫を教官に近所を練習する日々が始まった。まず困ったのは左ハンドル。日本では当然右ハンドルで、朧げな記憶では教習所の教官に「自分が道の真ん中にいる感じで走ると車体が道の真ん中で綺麗に走行できる」ようなことを教えられた。が、そうすると、道路の右に寄りまくり脱輪しそうになるのである。フラフラ走行にイライラした夫が何度もハンドルを強制操作した。近所の道は制限速度35マイル(約56km)が多いので、超初心者の私にはそれも怖い。20マイル(約32km)くらいが限界だ。

 毎日運転の上達を感じることもないままちんたらと近所の道を練習していたら、まさかの6ヶ月が過ぎた。光陰矢の如し。仮免の有効期限は1年である。さすがの私も焦った。ここアメリカの田舎で車が運転できないということは、大げさではなく肉体と精神の死を意味する。念のためDMVに確認したら仮免も更新できるとのことで気が緩んだが、仮免取得から6ヶ月後に、ようやく私は魂を入れ替えて運転練習を開始した。

 

 



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