休息の時
忙しさは、人の心を食べる怪物だ。
自身を振り返れないようにするからだ。
現代社会は忙しすぎる。
忙しく生きることが、まるで美徳であるかのように。
‘忙’という漢字は ‘心’と ‘亡’という字から成り立っている。忙しさは心を亡くしている状態、すなわち心の余裕がない状態を意味している。
忙しさは人を走らせる。いくら体力のある人でも、ずっと走り続けたら身体が疲れてしまう。しかし、もしもそのような状態にあっても止まらずに走り続けたらどうなるだろうか? 倒れて怪我するはずだ。
心も同じである。
忙しさは心をも走らせる。いくら精神力の強い人でもずっと走り続けたら心が疲れてしまう。しかし、もしもそのような状態にあっても止まらずに走り続けたらどうなるだろうか? 心を少しずつ失っていくことになるはずだ。
‘歩’という漢字は ‘止’と ‘少’という字から成り立っている。すなわち、少し止まることを意味している。
‘休息’という漢字は ‘人’ ‘木’ ‘自’そして ‘心’という字から成り立っている。すなわち、人が木に傾き自身の心と対話するのを意味している。
身体が疲れたらゆっくり休むように、心が疲れたら歩きながら休息の時間を持たなければいけない。自分に与えられた場所で、少し止まり自身の心を振り返る時間を持たなければいけない。
忙しく生きることも大切である。しかし、自身を振り返れないほど忙しく生きるのはやめよう。今回の ‘コロナ19’ が忙しかった僕たちの生活を振り返り、疲れた心を回復する休息の時間になってほしい。