今年の梅毒報告数が1,000件を超えました。
ここ数年、日本では梅毒が急増しています。今年に入ってもその勢いは衰えておらず、むしろ勢いを増しています。下のグラフは、今年1月1日から3月11日までの梅毒報告数と、過去6年間の同じ時期の報告数を比較したグラフです。右肩上がりで増え続けていることが分かります。そして、今年の梅毒報告数は3月前半の時点で1,000人を超えました。
都道府県別に見ると、東京都と大阪府が群を抜いて多いです。今年の報告数1042件のうち、東京都と大阪府からの報告数は合計で476件ですから、半数近くを占めている計算になります。
今年は特に、大阪府の報告数が急増しています。東京都の報告数に迫りそうな勢いです。下のグラフは、東京都と大阪府の報告数並べたものです(条件は、上の全国版のグラフと同じです)。
ちなみにこのグラフを見ると東京都の梅毒報告数は落ち着いたように見えるのですが、これは新しく診断・報告された数なので、梅毒の患者が減ったわけではありません。去年と変わらないペースで増え続けているのです。つまり、全く落ち着いていません。
梅毒がなぜこんなに増え続けているのか、原因は分かっていません。色々と言われていますが、今のところ全て推測です。
原因が分からなければ、有効な対策をとることができません。そのため、今後も暫くは梅毒の報告が増え続けると思われます。
梅毒は、決して「珍しい病気」ではありません。誰でも感染する可能性がありますし、その可能性はこれまでよりもずっと高くなっています。ですから、決して他人事とは思わず、性病の不安や心当たりがある方は是非検査を受けるようにしてください。検査は、簡単な血液検査です。受けるタイミングや病院によっては、その日のうちに結果を知ることができます。
そして、早く発見することができれば、ほとんどの場合は後遺症も無く治ります。治ってしまえば、元通りの生活が送れます(「治療しても一生治らない」という話を耳にすることがありますが、きちんと治療すれば治ります)。また、発見が早ければ治療期間も短くて済みます。逆に、発見が遅れると、治療しても後遺症が残ることがあります。また、治療期間が長くなってしまいます。
繰り返しになりますが、性病の不安や心当たりがある方は是非梅毒の検査を受けてください。そして残念ながら感染していた場合には、しっかり治療して治してしまいましょう。