鑑賞のりれき 2023年1-6月
半年分です。
※ネタバレを含みます
映画編
Matilda the Musical/マチルダ・ザ・ミュージカル(2022)
ブロードウェイ版は舞台装置が素晴らしくてずっと気になっていた作品。ストーリーもそのままなのかな?ミュージカルだからこそ惨さもポップに演出されてた。
映画は奥行きを生かしたりCGを多用して、映画でしかできないことをしていた印象だったので、舞台のほうも一段と見たくなってしまいました。
尺の問題だと思うけど、他の子供達の活躍もみたかったな。
ミスハニー役のラシャーナリンチ、ずっとヒーロー役で観てたので優しい先生の役がこんなにハマるとは意外だった。歌もうまくてとてもよかった。
Everything Everywhere All at Once / エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(2022)
ベイビーわるきゅーれ 2ベイビー(2023)
1を観てなくてもいける!と言われて観に行きました。
頭を空っぽにして、今目の前で起こることだけを受け止めるという映画の見方が本当に久しぶり過ぎて、それだけで気分がいい。
どこまでアドリブなのかもわからない自然でゆるい雰囲気から、湿っぽさがあるのかな?と思ったけどほぼ0に近いのもさっぱりしてて良かった。
でも結局は、何よりも2人が強くてかっこよくて可愛くて、関係性が素敵でずっと観ていられるし、ずっと観ていたいと思う映画。
ちゃんと1も観ます!
Senior Year / シニアイヤー(2022)
ステファニーは今では微妙に笑えない下ネタをのぞいてもユーモアのセンス抜群で、人気になるの分かるな〜って思った。
時代が進んで、変わらなくて良い部分も、変わった方が良かったこともあるよね。としみじみ。失敗するたびに直していった結果が今でそれがすべて正解とは限らないけど、ちょっとずつ良くなってたらいいし、マーサやセスみたいな人が救われる世界になって欲しい〜ね。てか今の学校の子達、みんな良い子ばかりだな。
エンドロールでスタッフも踊り出すやつは一生好き。
The Strays / 彷徨い(2023)
怒りと悲しみと虚しさに包まれてずっと話が進む、ちょっとパラサイトに似た空気感。ジョーダン・ピールというレビューみてなるほどと思った。
人種差別とネグレクトなど問題提起もあってどうまとめるのかなと思ったけど、最後は英国風ブラックコメディに切り落とされてしまった。
誰の立場でも嫌だし想像したくないけど、色々考えて見てしまう作品だった。
Guardians of the Galaxy Vol. 3 / ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3(2023)
マーベルからすこし離れてしまってて、ブラックパンサー、アントマンは観てない状態での鑑賞。
演出や展開など色々と制限あった中で作ったんだろうなと思った…そもそもジェームズ・ガン的な演出を笑って許容できていた10年前から自分が変わってきたということもあり、どう観ていいのか分からなくなってたのが正直な感想。
話の展開もガモーラがどういう経緯でここにいるのか(観てないところであったならごめん)なぜピーターとマンティスがチームを離れる選択をしたのかとか、唐突だった。ロケットが好きなので過去の話をやってくれたのは嬉しいけど、次期リーダーになるために必要だっただけ?とも思ってしまった。ヨンドゥの登場もありがちすぎるし、それで口笛上手くなるなんて…うーん。
ただ、キャラクターたちへの愛はすごく感じた。彼らが統治してる星があったり、全員が自然と抱きしめ合えるまでになってたのが安心した。バトルシーンも息があってるからお互いにカバーし合えてるのがよく分かる戦い方で絆の強さを改めて感じた。
ガーディアンズはずっと大好きで全員愛おしい。それは変わらないけど、3本の中でどれが一番好きかと言われたらこれではないんだろうな。
2014年に1を観た時、マーベルの中で初めて好きなチームが生まれたと思った。その気持ちを懐かしみながら、寂しくなりながら見送った。
またあの時みたいに熱狂できる時を待ってる。
Wild Child / ワイルド・ガール(2008)
大好きエマ・ロバーツのティーンムービーなら間違いないだろうと思ってみたんだけど、かなりいい意味で予想外の展開。
冒頭の西海岸のリッチギャル高校生ポピーはまさに"エマ・ロバーツ"のイメージなんだけど、そこからイギリス田舎の全寮制女子校に転校してルームメイトたちと仲良くなっていく姿がとにかく良い。素晴らしいシーンが多すぎる。
寮がボロいからPurellのサニタイザーがないと無理っていう固有名詞が出てくるのとかはまさに私がこういう映画に期待するポイントなんだけど、学校に馴染んできたポピーが学外に出かけるシーンで、サニタイザー忘れたことでバスに1人乗れなくなるのをルームメイトたちが手を差し伸べて飛び乗った時に、爆笑してる彼女らをみてこの映画は最高ですね、となりました。
途中、恋愛メインになるかと思いきやおまけ程度に収まってたのも意外で良かった。でもあのシーンでadeleのchasing pavements流しちゃうのは笑ってしまう。今となってはありがたいのだけど。
所々に不思議の国のアリスのオマージュが差し込まれてることはかなり後半で気がついた… ハリエットのラクロスはヘザースのオマージュかと思ってたけど、ハートの女王のほうかもしれない。
やっぱエマって最高。ありがとう。
ドラマ編
You Season4 / YOU -君がすべて- シーズン4(2023)
見終わってすぐ感想を書いたけど、納得いかなくて、2周目をしてこれを書いてます。
やはり私たちがこのドラマに期待するのは、ジョーが誰かに偏執的になり葛藤する姿を見ることだと思う。正義感や倫理観、そして愛に揺れるのが、ジョーを憎みきれないところだった。
だからこのラストになってしまったことが、ショックだった。どんなに残忍な殺人よりも許せなかったのは、ナディアに対してしたことだったから。
ep7で、ナディアが視聴者が知らないことを調べ始めた時は思わず一時停止してしまったし、その後の演出は全て最高。特にep8のマリアンのシーンはしんどくも演技に圧倒されたし、ep9のベックとラブが出てくるシーンの演出も象徴的でよかった。
わたしの中では、このままジョーが罰せられる何か結末を迎えるはずだと完全に思い込んでいた。そうなってほしかった。その回答は自殺であるべきではないと思ったけど…
今回でその終わりは見届けられず、真っ黒に染まったジョーがどうなるのか、期待していいのか分からない。でもこれで本当に終われると思ったら嬉しいと言うのが正直な感想。来年を楽しみにしてます。
The Mandalorian Season 3 / マンダロリアン シーズン3(2023)
今回はディン・ジャリンが主役というより、ボ=カターンにスポットが当たっていたのでスピンオフの気分で見ていた。一度失脚した彼女が仲間を取り戻す姿は観ていて勇ましく強かった。
メインテーマのアレンジたくさん入れてくれてたのは楽しかったなー
彼が完全に一匹狼ではなくなって少しキャラクターの深みがなくなってしまったかと思ったけど、最後にまた単独行動をしそうな予感を残していた。
続きがおそらく映画なのはちょっと不安だ
American Horror Story Season 11 / アメリカン・ホラー・ストーリー シーズン11(2022)
今までと全く違う毛色の作品だった。ので、いつもの雰囲気を求めてる人は微妙だと感じるかもしれない。ホラーか?と言われるとホラーでは、ない。
ただ、ドラマとしてとても素晴らしかったと思う。
ゲイに対する当時の扱いの酷さやHIV感染の恐ろしさを、70-80年代の映像作品(光やスモーク、フェードインアウト)を意識して撮っていたのがよかった。
感染症の恐ろしさを体験した現代の視点から観ると、少しずつでも時代は前向きに変化しているんだなと思った、ただ、代わりにいまだに同性婚が許されていない日本政府に対する怒りも湧いた。生命保険の場面、観てほしいよ。
これまでのこのシリーズはキャラクターに感情移入して観るものではなかったんだけど、今回は感情的に辛いシーンがあって、その辺りも他作品とは異なる部分だなと思った。主演2人の演技がすごく良かったのもある。
テオの死のシーンと、最終話のセリフのないシーンが、詩的で素晴らしかった。
迫り来る死をこんなふうにも描けるんだなと、このプロジェクトの底知れぬ可能性を改めて感じました。
あ、でもレズビアンの描き方は微妙だった。魔女的な感じだけで終わってたのは残念かな、、
Maniac / マニアック(2018)
冗長なシーンが多くてそこがとにかく好きだった… 近未来的なものが80年代の映画に出てきているような感じ。
やるせなさと、どうしようもなさ、とかが充満している空気感。最後も曇りにしては空が明るいくらいの気持ちで終わって、良かった。
Black Mirror Season 6 / ブラック・ミラー シーズン6(2023)
久しぶりの新シーズン。
AI、マスメディア、人権、差別といった現代社会の問題が、舞台となる時代を問わず皮肉的に描かれている。
全体的に話としてわかりやすい一方で、テーマとしては重いものが多く、考えさせられた。見返すのがしんどそう。
4話目でMuseやエイメリー、iPodが00年代の表象として使われたのが、個人的にはそんなに古い感覚なくて複雑だった。置いていかれる。
イースターエッグも色々ありそうだったので気は重いけど2回目観ようと思う。
BEEF/ビーフ(2023)
素晴らしかった、このジャンルをどう説明していいか分からないんだけど。
ただなんとなく人生うまくいかないというのが共通点の全く違う2人の人生が交わるコメディタッチのドラマ…かと思ったらそうではなくて。
段々とあらわになっていく問題たちが、私が想定していた「なんとなく上手くいかない」とは違うことに気がつく。
生きるためにやってきたことが形を大きくして自分にしがみついて離れないし、自分もそれを手放せない。
すべては呪いなのか選択なのか。
やるせない気持ちにもなるけど、2人のコメディセンスのある演技力とテンポの良さでバランスとってたので、最後まで観ることできた。