日記 vol.4 やばい趣味 (2024)
わたしには、人には言いにくい趣味がある。
変わっている好きなものことは多いが、その中でもおそらく最も(自分調べ)奇行とされる、相手を引かせる趣味、それは「特定」だ。
特定とは、その名の通り、インターネット上の限られた情報から、場所・人などを「特定」する行為である。
言語化すると、なかなか不穏な感じである。
先に伝えておくと鬼女板にいた過去はない。
ストーカー的な趣味だという理解はしている。特定のだれかを追っているわけではない、というか正しくは全員をずっとぼんやり見ているんだと思う。こっちのがむしろこわいかも。
恐怖の暴露を続けていこうと思う。
具体的にどのように行なっているのか。
主に、誰かがSNS(InstagramやX)にアップした画像から、そこに写っている場所を探し当てる。
場所は明記されておらず、タグ付けがないものを選ぶ。
基本的にはどれくらいで見つけられるのか、タイムアタックをしている。
時間は3分で見つかる時もあれば、何日も跨いで探す時もある。
感覚でやっているので整理のために手順を言語化したい。(ここまで読んでくれている方ありがとうございます。)
例として、飲食店を特定すると仮定する。
まずは、下準備。
その投稿内にある要素を全て挙げる。食のジャンル、材料、食器、インテリア、間取、エリア、客層、キャプションなど。
画像からの特定は、画像で探すことが多いため、特徴となる食品・食器・盛り付け・インテリア等を画で頭に入れておく。
まずは「メニュー名×エリア」で検索サイトとSNSで検索。Googleマップや食べログも使っている。メニュー名は呼び名が複数ある場合は注意。
この2つさえわかっていれば大抵ヒットする。いい時代。
メニュー名でヒットしないとなると、食べログに投稿されていない・WEBサイト等で特集に組み込まれていないということだ。
つまり、新しい店舗もしくはSNSメインで広報活動している店、ということになる。
検索の場はSNSに絞り込まれた。基本的に長期戦となる。
そうこなくっちゃという気持ち。楽しくなってくる。
ここからは、投稿者を深堀する作業に入る。
これがわたしが最も得意とするゾーンである。
投稿には意図がある。誰向けの何なのかを考える。
芸能人は「(投稿すること自体が)お仕事」だったりする。
一般人の多くは「私生活シェア」。インフルエンサーはそのどちらもある。
お仕事なら業務的にタグつけるかつけないかのコントロールをしているはずだから意図は単純だし、私生活シェアなら店はバレたくないのか、タグ付けの必要性を感じていないのか、特定の人だけ分かるような行ったよアピなのかを考える。
意図を踏まえた上で、普段の投稿の傾向からヒントを探す。
動画でポロッと口を滑らせるタイプだったなと気づけば動画を見返したり、よく一緒に行動している人がストーリーズに投稿していそうだなと考えたり、店をフォローするタイプだったなと思えばフォロー一覧から探したり。有名店狙いのタイプなら食系アカウントでディグる。
そうやって範囲を狭めて検索をかけていくことで、いつかその店にたどり着く。
その特定までのスピードは、相手への解像度の高さと比例する。
作業としては以上だ。
他にもSNSのアカウントを見つけたりするのも得意だが、それはグレー(?)からアウトになる気がするので濁しておきたい。
なぜこんなことをするようになったのか。
時間を無駄にしながら何をやっているんだと時々我に返って思う。
おそらく自分には、他人のSNSからどういう人なのかを無意識に探るクセがある。
キャプション、フォント、画像の加工、頻度、何を載せるか、などの大量の情報から、そこにどういうセンスやカルチャーがあり、仲間がいて他人にどう見せたいかという欲望を読み取る。
説明が難しいのだけど、細かくカテゴリ同士が接続して体系化されていて複雑だ。小さいベン図が大量にある感じ。
例えば、これまでの傾向では、この思考をする人はこういうことはしないだろう、と思っていても、時代や相手によって大きく変わってくる。常に発見がある。
「特定」の遊びはその延長にあり、人やカテゴリの解像度を上げてくれる。次の「特定」のヒントにもつながる。
もちろんこれがその人の全てではないことは承知している。
なのでマイルールとして、ぜったいに友達知人相手にこのクセを使うことをしない。
基本的に分かるのは表層の下に隠しているネガティブだったり欲だったりと人間くさい部分だからだ。相手を嫌いになってしまう可能性が高い。
相手のことを知るのに最も健全なコミュニケーションは会話だ。
オンラインの解像度をどれだけ勝手に上げても、リアルで会ったら全く違う人であることは十分わかっている。
でもその会話では得られない一部の深い部分を、コミュニケーションを取らずに探れることにどうしても面白さを感じる。
同時にオンラインでしか見ることのない芸能人やインフルエンサーをやばい角度で消費していることに対する罪悪感はある。本当にごめん。
そしてこれからも続けていってしまうと思う。趣味の範囲をはみ出さない程度に…
ここまで読んでくれた特殊な方向けに、NetflixのYOUというストーカードラマを心よりおすすめしておく。
Season4の感想↓