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【謝罪会見】『〇〇の皆さん申し訳ありませんでした』

 本日、11月23日 (勤労感謝の日) から僕が在学している大学で学祭が始まるということで、買い物に行くついでに通り道だからどんな様子か見てみることにした。
 大学祭というものにはまだ参加したことがない。まあ、一年目だからそりゃそうなんだが、一部の受験に熱心な高校生は大学の雰囲気などを知るために大学祭を見て回るらしい。つまり、高校時代に大学祭をすでに経験した同い年の学生もいる。自分の高校二年の時、大学祭に行ったという話をしている人を見かけた。そういった高校生に向けてのイベントも大抵の大学は準備してくれるようだ。
 僕は、こういった学祭や文化祭のようなイベントが苦手だった。高校で3回文化祭を体験したが、良い思い出はない。文化祭特有のノリと学校全体の空気感があまり好きではなかった。
 文化祭の事前準備として半月ほど放課後に準備時間というものを設けられる。その時期が一番嫌いだった。なぜ、放課後にするのかわからないし、放課後に大人数で集まることで急にテンションが上がってしまう人が多くなるからだ。そもそも、文化祭は学生主体とはいっても学校行事である。つまり文化祭の準備も学校行事とカウントできるから授業と同じ扱いにしてほしい、それができないなら文化祭なんてしなくていいよと思っていた。
 幸い自分には、部活という逃げ道があったために2年間はその苦役をしなくて済んだ。自分の所属していた部活はかなり時間に厳しく、終業から5分以内には部活を始めることが決められていた。急がなければならないという理由で文化祭の話をする隙すら与えないという素晴らしい逃げ道だった。
 しかしすでに書いた通りその逃げ道を通れるのは高2までだった。僕が諸事情により部活をやめたことによって高3から参加しなければならなくなったのだ。それでも、文化祭準備を嫌っていた自分は参加しまいと心に決めていた。
 だから、終業と同時に鞄を背負って教室から飛び出した。素晴らしいスタートを切った後は階段を滑るように駆け下りて、玄関まで競歩のように力強い早歩きをする。靴を素早く履き、自転車置き場へ乳酸がたまった足を何とか動かして走る。自転車に飛び乗って数百メートル先の交差点を目指して全力で漕ぐ。交差点の信号が赤から青になってようやくゴールイン。
 そんなことを続けていると3日目くらいの朝から、教室に入ると冷たい視線を浴びるようになった。「誰に何と思われようが関係ない!嫌なもんは嫌なんじゃ!」(ホントはかえってゲームしたいだけ)という強い思いを持って準備期間を耐えしのいだ。
 
 
 そんなこともあったなぁと高校時代の苦い記憶を思い出しながら、学内を歩いて回ってみる。見ているとどこもテントの組み上げをしていたり、荷物を運んだりと大忙しの様子。どうやら本日一日目は、僕の嫌いな準備時間だったようだ。
 涼しくなってきた時期だというのにも関わらず、準備をしている学生たちは額に汗をにじませていた。一見、さわやかな青春の一ページのような様子だが、どこかぴりついた雰囲気があった。それもそのはず、僕が見に行った時間はすでに15時過ぎ、あと一時間ちょっとで暗くなってくる時間である。状況を全く知らない僕が見ても準備はなかなか進んでいるようにも見えたのだが、現場の学生たちは焦りを見せていた。

 大変だろうがまあ頑張ってくれと他人行儀を装って、学内から出ていこうと歩いていた時、荷物を抱えた小走りの二人の学生とすれ違った。僕に近いほうの背の高い男子学生と目が合った。手ぶらでふらふら歩いている僕の様子が気に障ったのか、すれ違いざまに
「暇なら手伝えよ」
という少し怒りの感情がこもった言葉を贈られた。
 高校時代の僕にも言われたような気がして「ギクッ」とした。

 ここで謝らせてほしい。手伝いもせず見て回っているようなことをして申し訳なかった。そりゃ、腹も立つよな。忙しいのにそんなことしてる奴がいたら。申し訳ない。
 そして高校時代のクラスメイト達。自分勝手なことをしてしまってすまんかった。心から謝罪いたします。

 

 


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