【短編小説】世代越え行く世界
まわる、まわる風車が丘の上、一つ。一匹の羊を追いかけて丘を登った。どこまでも、丘の上まで続いている小石の転がる小道。羊たちが踏み固め作り上げた道なのだ。雑草たちは分別をわきまえて道を空けている。セイタカアワダチソウが背伸びし、黄色く咲く。その日差しの色は心をあたためる。枝々に咲く花は遠目にはほわりとした質感だ。背はまちまち。でこぼこの背格好が個性豊か。
羊は急いだ様子もなく歩く。自分の行きたいように行き、生きている。この丘の先、何が待っているのか。いつも大人達に止められ