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異人の薬

異人の薬 岩間山人と三尺坊
 水戸の医師である鈴木精庵はある日、普通の人とは思えない風体異人の来訪を受けた。
「来る、××日、下総の神崎神社の裏山にこい。くれば、仙薬の秘宝を汝に授ける」
「それは忝い」
 といったものの、精庵はいかなかった。

 翌日、異人はまた訪れ、
「昨日はなぜ違約した。来る××日にはかならずこい。待っているから」
と言い残し、姿を消した。
 その様子に精庵は心が動き、水戸から千葉に向かった。

 神崎神社の裏山につくと異人は待っており、一巻の方書を精庵に渡した。
「これは決して他人に見せてはならない」
といい残して去っていった。

 方書の中身はある病の特効薬であって、試みたところたちまち癒えた。もうなくなると思ったものも、それで治ったので、うわさが藩にも届いて、提出を求められた。

 精庵は異人との約束を話し断ったが、ぜひ提出するように何度もいわれ、断れなくなり、期日に出すことになった。
 期日になると、方署は書箱のなかで灰になっていた。


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