幽鬼の使役
幽鬼の使役 述異記
清の時代のこと、除夜の前日、ひとりの老道士が荷物を持ち歩いていた。そこを通りかかったさる役人の下男は助けを求められ、快く手助けすることにした。下男は道士が向かうという寺に荷物を持って向かった。しかし、寺につく前に日が落ちてしまった。慌てて帰ろうとする下男を押しとどめ、金を出すから一緒に泊まるように勧めた。
真夜中になると不意に老道士が起き、道友がいるからと下男に荷物を持ってついてくるように招いた。
しばらく歩いた墓地に、明かりがともっている。壇が築かれ、縄で囲みが作られていた。
老道士は自らは一番上、下男にその下に立つようにいった。
いつの間にか壇の周りには下男によく見えない影のようなものが見えた。老道士は袋から出したものを投げると入れかわりたち立ちかわり何かが訪れるようだった。
いずれ袋の中のものが無くなると老道士も姿を消していた。
下男は明け方になった頃に街の門にたどり着いてこれまでのことを話したが、すぐに亡くなったという。
これは役鬼、鬼(死霊)を使役している道士が、つかえているものに報酬を与えているのを見たものだという。