桃花女
桃花女 三国遺事
真智王は、新羅の第25代王で、その治世は短かったのですが、その横暴な振る舞いから国人に廃されたといいます。
王は生前は荒淫であった。ある時、沙梁部の百姓の娘である桃花女を見初めます。しかし、桃花女は、自分は夫を持つ身であると断りました。
王はそれでは夫が亡くなった後ならばと問います。桃花女は頷きます。
「では夫が亡くなった時にまたいうとしよう」
不吉な言葉ですが、幸いにして王は亡くなりました。
しかし、夫もまた数年のち亡くなりました。
桃花女は夫の死後実家に戻っていました。
ある夜のこと真智王が枕元に現れました。王は生前とかわらず、約束を果たしにきたと話しました。
桃花女は両親に相談しましたが、君王の命令を断ることはできないとにべもなく言われ、諦める事になりました。
王が訪れるとよい香りに満ち、七色の雲がかかってたといいます。
そして七日にして王は去っていきました。
妊娠し、月満ちて男児を産み、鼻荊と名付けられました。
鼻荊は真平王によって宮中に招き入れられます。一五歳になると執事役に任ぜられます。
大きくなると鼻荊は夜な夜な宮中を抜け出し都の西で鬼たちと遊んだといいます。