媽祖の眠る地
媽祖の眠る地 三国名勝図会
媽祖という方は、生まれた頃から霊異を持った方であった。ある時、家で機を織っていると、父と兄の船が転覆し、亡くなったという報が届いた。その場で不思議な力を使ってみると、父は助かったが、兄はすでに亡くなっていた。
これから、媽祖は『海で難にあう者あらば、我を念て救護を乞はば、我必す是を救う』ことを誓った。 そして海に身を投じた。
その遺骸は、加世田の海渚に流れ着いた。亡くなっていたが、肌は麗しく、桃花の如く、生きているようであった。 人々は驚きながら、これはきっと他国の貴い人であるのだろうと、礼を以て葬った。
それから三年が過ぎ、唐土の人が訪ねてきた。 そこで媽祖様だというのがわかった。
それから霊応がたくさんあり、社を野間嶽上に建て、是を祭り、西宮と呼ぶようになった。
神火時々現ずることあり、船を安全に案内するように輝く。
また、海の上で風濤に遭ひ、どちらが陸地かわからないとき誠心に祈願をなせば、いただきに必す神火を現ずという。