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山童

山童 蓬生談

 伏木村の村人三人が馬を売った帰り道、郡の境のさびしいあたりで一息ついていた。弁当を食べていると草むらから異形が現れた。

 背は高いが、裸体で、その体は渋紙のような皮膚になっていた。また、そのところどころには苔が生えている。

 異形は三人に近づいてくると以外にも優しい声で言った。
「少し飯をわけてくれ」
 異形は飯を平らげては少しくれといい、気づけば三人の飯をすべて食べてしまっていた。
「あんたがたはどこの人だ?」
 その問いに村の名をいうと異形は自分もそうだと話した。

 子供の時に夜泣きがうるさく「化け物にやるぞ」と外に出され、そのままこういう身の上になったという。そうして消えた子の話を三人も知っていた。


「親にも一言いってやりたいが、なかなか行く機会がない。今もこれからつかいにいくところだ。もし父母が生きているなら、このことを話してくれ」といい。消えていった。

 おそらく天狗などに使われる山童というものだろうと思われた。

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