荒神に溶ける
荒神に溶ける 心靈不滅
幕末のこと。出雲の美保関のあたりで喧嘩になった。群衆の中で妊婦が喧嘩をみようとしたが、うまく覗けず。誰も寄りつかない松があったので、よじ登り、喧嘩を眺めた。
夜になり、妊婦は苦しみながら亡くなった。妊婦が乗ったのは荒神の松とよばれるものだったので、そのたたりだといわれた。
夫は後妻を娶った。
家庭が円満になると、奇妙な事が起こりはじめた。火の粉が家に飛び込んでくると火ノ玉になり、暴れた。時には大きくなり、妊婦、亡くなった先妻の姿になった。
刀できりかかっても、すり抜けるだけだった。
そのあとに露見し、様々なものが祈祷したが、どうにもならず、97日目、ついに火ノ玉は出なくなった。
後妻は先妻の夢を見た。落ち着いた様子で頭を下げた。
嫉妬にくるって化けたわけではないので、いままでの祈祷は効かなかった。荒神にとりつかれたまま亡くなり、どこにもいけずに迷って出たという。しかし、最後の祈祷により、荒神が離れたので、成仏できることを話した。
そして、後妻のおなかのなかに、男子がいることを告げ、消えていった。