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北条の龍

北条の龍 横浜の伝説と口碑
 江戸時代五代将軍綱吉の時代、磯子では疫病が蔓延した。
 そんな時、岡村天神社の神主は夢を見た。
 ひとりの天女が現れ、語り始めたのだった。
「我は竜口山子育て明神が、この世にあったとき、仕えた龍である。その後、北条家を守護していた。
しかし、北条家滅びて後、寄る辺ない。殊に落ち延びた自刃したものが、悪念妄執残ってなお冥途の苦しみに悩んでいる」
 神主はあまりの奇怪さに悩んだが、天女の次の言葉に決意した。
「この山に白幡権現として祀れば、落ち武者の怨念も晴らし、悪疫も鎮めよう」
 そうして祀られると疫病は忽ち止んだと云う。

 その後も時の流れで忘れられそうになると天女が夢に現れるという話が伝わっている。

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