道祖神の娘
道祖神の娘 源平盛衰記
源実方が陸奥守に左遷させられ、陸奥に向かい旅をしていた。
実方は名取郡にある笠島の道祖神の前を、馬に乗ったまま通り過ぎようとしたところ、土地のものに止められた。
土地の者によると、この笠島の道祖神は、都にある出雲路道祖神の娘であるという。商人に嫁したために親神が勘当、この地に追われやって来た。
男女貴賤の差にかかわらず、祈願する者は男根を造って神前に捧げれば叶わないものはない。
実方は「さては此の神下品の女神にや、我下馬に及ばず」と言い放って、馬に乗ったまま通り過ぎようとした。
不意に馬が実方の体も落馬し、落命した。
人々は実方は馬もろとも蹴り殺されたと噂した。