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土方歳三の遺髪に触れた夜


何気なくつけたテレビに心を奪われた夜


夕飯を作ろうとしていたところ、何気なくつけたテレビが目に留まった。フジテレビの「奇跡体験!アンビリバボー番外編 超次元超能力者VS歴史ミステリー」。

土方歳三をテーマに、超能力者が歴史を語るという意外な切り口に、最初は「眉唾ものではないか」と半信半疑で見始めた。

しかし、番組が進むにつれ、その内容の深さに驚かされ、気づけば夕飯を作る手を止め、画面に釘付けになっていた。

「奇跡体験!アンビリバボー番外編 超次元超能力者VS歴史ミステリー」


(2024年3月27日放送/フジテレビ)

番組の冒頭、私はチャンネルを変えようかと迷っていた。

だが、土方歳三の義兄・佐藤彦五郎の直系子孫である佐藤福子さんと、超能力者ジャッキーさんの対話が始まると、その真剣さに心を奪われた。

ジャッキーさんはこれまで行方不明者やペットの捜索に力を発揮してきたが、今回は歴史的なミステリーに挑むという新しい試みであった。

これが非常に新鮮で、歴史好きではない私にも十分に興味深い内容だった。

ジャッキーさんは、土方歳三が姉に宛てた手紙の内容を言い当てた。そこには、家族への温かい言葉や戦いの合間に抱えた苦悩が記されており、その正確さに驚かされた。

「当時の時代を生きた人しか知り得ない情報をどうしてここまで言い当てられるのだろうか」と感嘆せずにはいられなかった。

新選組と土方歳三への新たな視点


新選組は、幕府側に立ち討幕派や尊攘派を取り締まる役割を担った存在として知られている。

これまで坂本龍馬にばかり目を向けていた私にとって、新選組はどこか遠い存在だった。しかし、この番組を通じて、土方歳三という人物の人間的な魅力に惹かれるようになった。

彼のイケメンぶりが「歴女」に人気なのも頷けるが、それ以上に彼の強い意志や戦略的な行動、人間味あふれる優しさに感銘を受けた。

幕末という激動の時代において、己の信念を貫いた彼の姿は、政治的立場を超え、現代を生きる私たちにも大きな影響を与えるものだった。

土方歳三の遺髪の公開


番組の後半では、土方歳三が亡くなる前に姉に託したという手紙や写真にまつわるエピソードが語られた。甥にあたる人物に対しての心優しい気遣いのある内容で土方の家族に対する愛を感じた。

ジャッキーさんが土方の刀に触れた際、「遺髪」に関する質問を投げかけると、佐藤福子さんが動揺する場面が印象的だった。

土方の遺髪は、これまで遺族によって大切に保管されてきた。

遺髪を公開することでDNA鑑定を望む声が寄せられることを避けたい、また髪の毛一本たりとも失いたくないという遺族の思いが、その背景にはあった。

番組ではついに、紙に包まれた遺髪が公開された。包みを開けた瞬間に現れたのは、黒々とした艶やかな髪。

静寂が場を包み、その感動が画面越しにも伝わってきた。

この髪を見た瞬間、私は「まだ34歳という若さで散った彼の人生」に思いを馳せた。そして、時代の無情さに胸が締め付けられるような気持ちになった。

ジャッキーさんと佐藤福子さんの心の交流


番組全体を通じて、ジャッキーさんと佐藤福子さんの心の通じ合いが、私に深い感動を与えた。

佐藤さんが語る土方歳三のエピソードを受け止めるジャッキーさんの優しさが、番組に温かさを添えていた。

政治的な立場を超え、家族への思いやりや優しさを持つ一人の人間としての土方歳三が、彼らのやり取りを通じて浮かび上がってきた。

それが、この番組の最大の魅力だったと感じる。

おわりに


34歳という若さで散った彼の人生を思うと、時代に翻弄されながらも覚悟を持って生き抜いた彼の姿に胸が締め付けられる。一方で、彼がもし今の時代に生きていたら、どのような形でその才能を発揮していただろうかと、想像せずにはいられない。

時代に翻弄され散っていった人々の人生は、現代に生きる私たちにも多くの示唆を与えてくれる。この番組を見終わった後、続きが知りたい、もっと調べたいという好奇心が心に湧き上がった。

土方歳三や幕末の人物に興味がない人でも、この番組が描いた人間のドラマには何か心を動かされるはずだ。

私たちは遺品や歴史の一端に触れるたび、彼らの問いかけに耳を澄ませているのかもしれない。その問いに応え、これからの自分の行く末を見つめるために、私はこうして筆をとったのだった。


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