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TikTokで若年層を購買に結び付けた大塚製薬「ファイブミニ」
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透き通ったピンク色、かわいらしいプチサイズ、そしてレタス1.8個分※1の食物センイ6000mgとレモン15個分※2のビタミンC 300mgが含まれる――女性を惹きつける魅力にあふれた商品「ファイブミニ」。1986年に女性研究者3名により開発され、「美味しく手軽な食物繊維補給飲料」として大ヒットした飲料です。ただ、若い層への認知は課題。30代以上なら誰もが知っている商品でも、ロングセラー製品にはこうしたことはよくあることです。
ところがある日、ファイブミニは若い女性を中心としたTikTokユーザーの目に留まり、瞬く間に話題に。何も仕掛けていないのにコンビニの1日の販売数が突然2倍になるという、驚きの現象が起きました。その後、TikTokに広告を出稿、現在も好調な売り上げが続いています。
そこで今回の経緯について、大塚製薬 ニュートラシューティカルズ事業部製品部ファイブミニ担当 小出莉央さん、同社ニュートラシューティカルズ事業部宣伝部 安崎美保さんにお話を伺いました。
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(左:小出莉央さん/右:安崎美保さん)
今までは30-50代をターゲットにプロモーションを展開していた
ファイブミニは、不足しがちな食物センイを手軽に補給できるトクホの飲料です。プロモーションについては30-50代をターゲットにして、SNSも含めてウェブを中心に行っていました。
そんなさなか、小出さんは営業から問い合わせを受けます。
「コンビニでPOSの動きが良くなっているがマーケティング側で何かしているのか」、と流通から問い合わせがありました。理由がわからず、理由を探ることにし、ようやく見つけたのがTikTokで、TikTok内で検索したところ確かにバズっていました。」(小出さん)
TikTokの公式アカウントはまだ開設していなかったこともあり、売上が跳ねあがった理由を把握するのに丸一日かかったとのこと。その頃TikTokでは、便秘解消やダイエットに良いということで、若い女性を中心にユーザー投稿が伸びていました。「どこで買えるの?」など、コメントでの交流も活発に行われ、他の食材と組み合わせて作るアレンジドリンクも自然発生的に多数投稿されていました。
現在もTikTokを「ファイブミニ」のキーワードで検索すると、ダイエットのためにお勧めする人、コンビニでファイブミニを買い占めている様子、お茶やアイスなどと組み合わせてドリンクを作る様子などが投稿されています。
「ファイブミニを他の食材とアレンジすることは今まで提案していなかったので、アレンジする発想自体に驚きがありました。意外な組み合わせもたくさんありましたね」(小出さん)
バズを活かして広告出稿へ
ファイブミニの快進撃はまだ続きます。4月にPOSが2倍になり、再生回数は5月に入っても伸び続けていました。予定していたプロモーションとの兼ね合いを協議し、タイミングを見計らってTikTokへ広告出稿することを決定しました。
「TikTokには、それまでダンスのショートムービープラットフォームというイメージしかありませんでした。そこで関連部門でTikTokの勉強会を開き、バイトダンスさんからお話を伺ったところ衝撃を受けました。勢いがあるショートムービープラットフォームということで、社内でもチャレンジしようということに。」(小出さん)
インフィード広告はTikTokで人気のインフルエンサーを起用、再生回数やいいね数も獲得できました。また、多数のコメントが寄せられ、まだ手にしていないユーザーに購入の購入の後押しになりました。サンプリングキャンペーンは起動画面広告で、ファイブミニ1パック(6本入り)を1000名にプレゼント。飲料経験がない層に飲んでほしいとの狙いに、若年世代だけでなく、30代の応募もあったとか。
@saki_ohga なんかファスナーあいてたw食物繊維だいじ^^ #ファイブミニ #食物繊維 #Vlog #ぐっどおーがにんぐ #女子大生の日常 #PR
♬ オリジナル楽曲 - 大賀咲希 - 大賀咲希
@motokano._.29 最近マイブームが来てるオススメドリンクだよー!🧡#ファイブミニ #食物繊維 #PR
♬ WAVE 16bit 44.1khz(968422) - ImoKenpi-Dou
@dr.sebas11111 私の健康生活はファイブミニに助けられてます😘#ファイブミニ#食物繊維#PR#トクホ
♬ オリジナル楽曲 - セバス - セバス
「インフィード広告を出すにあたって、今までのユーザー投稿の傾向を分析してアドバイスをいただきました。最終的に人選はこちらで行って、言ってほしいことや書いてほしいことを伝えた後は自由演技でお願いしました。トクホの商品なので表現や表示の制約があるのですが、通常の投稿とあまり変わらない印象で制作していただけたのでTikTokのユーザーに自然に受け入れてもらえたと思っています。」(安崎さん)
ファイブミニは一過性の売り上げではない
ファイブミニの人気はまだ続いており、ハッシュタグ「#ファイブミニ」が付いた動画の視聴回数は2021年8月上旬時点で2000万回を超えています。さらに売り上げも好調を維持しているとのこと。
小出さんは「みんなが知らないものだから、投稿したいと思ってくれたのだと推察しています。認知がなかったことが逆に功を奏したと言いますか、こんな商品があったという発見でおすすめしてくれたことが大きかった」と振り返りました。
発売から30年以上愛され続けているファイブミニの科学的根拠のある商品力もあり、TikTokでの発見が一過性でなく継続した購買に繋がっています。既に認知・飲用経験があった中高年だけでなく、若年層まで、世代を超えて愛されるきっかけ作りをTikTokがお手伝いできたかもしれません。
※1 「日本食品標準成分表」を基に算出(レタス1玉あたり300gで換算) ※2 果汁換算
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