生を得て、滅せぬものの有るべきか
日本の文化・伝統について、たとえば“道”という概念です。
剣道、柔道、茶道、華道、いろいろな伝統文化を、ある種の哲学にまで昇華させてきた日本。また、日本独特と言われる宗教観。何故、日本では宗教戦争が起きないのか。日本国民の寛容な宗教観は、八百万の神がすべてのものに宿る、といった日本人が感覚的に持っている信仰心によるものでしょう。
かつては、日本の常識、世界の非常識などと言う言葉が流行った事がありますが、今や、日本独特の考え方や感性が、世界から称賛のマトになり、世界に通用(つうよう)する時代。通(つう)は、道ができる、物事が滞りなく進む、知らせる等のこと。また、用(よう)は、働かせる、役立てる、処理する必要のあること等の意味。すなわち、通用(つうよう)とは、個々人の話に置き換えてみれば、世の中の役に立つ人間として成長すること。
私達は今まで、世の中の、役に立ってきたのか。人の為になる仕事を成し遂げてきたのか。年を重ねる都度、自分の責任が果たせていたのか。
戦国時代の武将・織田信長は、戦に臨む時、「人間五十年、下天のうちを比ぶれば、夢幻の如くなり。ひとたび生を得て滅せぬもののあるべきか」と、一節謡い舞ってから出陣したといいます。
光陰矢の如し。時間の経過はあっという間ですが、それにしても、その中で人は成長していきます。自分は、世の中の役に立つ人間に少しでも成長したのか、世の中に通用する社会人たりえたのか。これからの人生を考える時、折りに振れ、過去を振り返り反省することも必要かも知れません。