中国商標、買って終わりではない!買った後の恐ろしい事例2つ!
まず、中国では商標出願が年間1000万件を及びます。
なので、あなたが中国で取ろうとする商標は、ほぼ100%誰かによって既に取られています。
有名な話で、「令和」と言う2文字を含む中国商標は、今現在、1450件存在しています。
なので、中国で商標を取ろうとすると、基本的には、邪魔になっている先行商標を形付ける必要があります。その型付け方法として考えられるのは、
・先行商標を買い取る
・先行商標を無効にさせる
そこで、コストパフォマンスを考えて、
弁護士費用を掛けて無効にさせるよりは、買い取ったほうが早いし、安く上がると思い、買取交渉をする方も少なくないと思います。
そこで、
今回は、買い取った場合のリスクについて、
2つの事例を取り上げたいと思います。
(1)譲渡手続きで、引っ掛かる
商標権者にお金を払い、譲渡手続きをするタイミングで、
中国特許庁が譲渡を認めなかった事例です。
この事例は、
譲渡人が多くの商標を持っていて、譲受人が分散していることから、譲渡人が商標売買で儲けようとしている疑いがあるので、
譲渡人(元権利者)は、当該商標の使用証明を出してほしいと。
そうじゃないと不良影響がある譲渡とみなし、譲渡を認めない!
と言われたケースです。
この場合って、大抵の場合、譲受人は既に元権利者にお金を払った後なので、元権利者が協力してくれなかったら大変になります。
(2)譲渡後に、無効になれる
この事例では、
出願日:2014.05.14
登録日:2015.06.28
譲渡日:2018.09.13
無効日:2020.02.15
このように、譲渡されて1年半後に、当該商標が無効されました。
その理由は、譲渡される前の元権利者が80件以上の商標を持っていて、それらの商標はお互いに関連性のないいろんな事業分野に分散されており、いくつかの商標が既に無効になっているのもあると!
なので、元権利者(譲渡人)は、故意に他人の商標を先取りした疑いがあるので、当該商標は無効すべきであると!
の判決です。
日本のA社が、中国のB社から、ABCと言う中国商標(A社が日本で売っている商品名と同じ商標)を見付け、それを買い取ったとします。
ただし、米国のB社も実は米国ではABCと言う商品を売っていて、中国で調べてみたところ、ABC商品とは何らか関係ない中国のB社がこの商標を先取りして日本のA社に売ったとします。現在、日本のA社は、中国でABC商品を展開している状態。
となった場合、この商標が、そもそも中国のB社が悪意を持って取った商標との理由で、後々無効になるリスクが存在します。
(3)まとめ
以上から分かるように、中国商標実務では、
・他人に先取りされたら、諦めず、無効させるために頑張るべき。
・買い取ったから万歳ではなく、補充出願をして置くべき。
が正解です。