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中国で部分意匠制度を導入しました

去年の秋頃、中国特許法の改正がありました。

去年、法改正があった直後に、Noteでも書きましたが、
今回、ちょっと違う観点でもう一回深堀りしたいと思います。

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その施行日は、今年の6月1日からになります。

中国でのこの法改正は、12年ぶりになります。
中国現行特許法は、1985年から施行され、
・第一回目改正:1992年
・第二回目改正:2000年
・第三回目改正:2008年
のように、8年スパンで改正されていましたが、
前回の改正から8年目の2016年には、何故か改正されず、2020年になってようやく改正されました。

今回の法改正により、
中国は確実にプロパテントの国になりました。
特許重視型の国ですね。

今回、変わった部分がいろいろありますが、
ここでは、主に、プロパテントだと思われる部分について言及します。

1,意匠保護期限の延長

意匠の権利存続期間がいままでの10年から15年に伸びました。

第42条
発明専利権の存続期間は20年とし、実用新案専利権の存続期間は10年とし、意匠専利権の存続期間は15年とし、いずれも出願日から起算する。

2,部分意匠制度の導入

中国では、今まで全体意匠しか認めませんでしたが、今回の法改正で、部分意匠も出せるようになりました。

第2条4項
...
意匠とは、物品の全体又は部分的な形状、模様又はそれらの結合並びに色彩と形状、模様の結合について提案された美感に富み、かつ工業的応用に適した新たなデザインをいう。

3,懲罰的賠償の倍率が5倍まで!

懲罰的賠償制度を取り入れました。
しかも、その倍率が5倍まで!

第71条1項
専利権侵害による賠償額は、権利者が権利侵害されたことによって蒙った実際の損害又は侵害者の侵害行為によって得られた利益に基づいて算定される。権利者の損害又は侵害者の得られた利益の算定が困難な場合は、当該専利の実施許諾料の倍数を参酌して合理的に算定する。故意に専利権を侵害し、情状が重い場合は、上述の方法に基づいて算定した額の1倍以上5倍以下で賠償額を算定することができる。

4,立証負担の緩和

被告の特許権侵害行為により得られた利益とかを把握するために、裁判所が被告に対し、侵害行為に関連する帳簿、資料の提供を命ずることができるようになりました。

第71条4項
...
人民法院は、賠償額の算定のために、権利者がすでに挙証に尽力しており、侵害行為に関連する帳簿、資料が主に侵害者が保有されている場合は、侵害者に侵害行為に関連する帳簿、資料の提供を命ずることができ、侵害者が提供せず又は虚偽の帳簿、資料を提供した場合、人民法院は権利者の主張及び権利者が提供した証拠を参酌して賠償額を判定することができる。

5,まとめ

保護期限を延ばし、部分的な保護も可能にし、5倍まで懲罰的に賠償させ、侵害者に対し侵害行為により得られた利益などの証拠も提出させる。
このように、中国は、今回の法改正により、完全に特許重視型の国に変わりました。
これから、中国特許の価値は、一層高まると思います。

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