okano tigaya

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最近の記事

子規の宿

 仰臥慢録(明治三十四年)九月十九日に、鳥海山の頂に夕日が残っている時分に着いた海岸の松原にある旅人宿で思いがけず酢牡蠣と牡蠣の椀物が出た話があった。ふと思いついて「はて知らずの記」を見たところ、(明治二十六年)八月十日にこれに対応する記述があった。「行き暮れて大須郷に宿る。松の木の間の二軒家にしてあやしき賤の住居なり。楼上より見渡せば鳥海日の影を受けて東窓に当れり。」とのことである。

    • 朝日新聞の「社会季評」

       3月20日に、2020年度から導入された会計年度任用職員という制度を利用して任用されたスクールカウンセラーに多くの雇止めが生じていて、その中には現場からの評価がよかった熟練者も多い、という話を東畑開人氏が紹介していた。雇用形態の多様化という名のもとに一時的な施策で人を雇っておいてその任務遂行の維持は考慮せず、遂行のために必要な負荷を個人に負わせる、ひいては活動全体もうまく働かない、という問題はスクールカウンセラーや学校以外にも生じているかもしれない。これまでに指摘されてきた

      • テレビコマーシャルでひっかかった言葉

         メメントモリ  たぶんゲームか何かの名前。この言葉を読み上げてる人は半分「なんとかの森」みたいなイメージを思い浮かべてるんじゃないかという気がする。ラテン語は知らないのだけど、赤信号が灯っているのを感じるのでインターネットで探ってみた。("i.e."って何のこと、とかは知ってる気でいるんですけど、それはラテン語知ってる、には入らないと思うので。)  間違えてたらごめんなさい(というか教えてください)なのですが、次のようなことらしい。Memento! は memini(r

        • 「運命」は「不確実」か

           山之内靖「マックス・ヴェーバー入門」(岩波新書)も読みかけている。忘れてしまったくらい以前に買ってそのままにしていたのを、温泉施設にでも行ったときの読み物にしようとしたところちゃんと座りなおして読む必要を感じて、読みかけ、というわけである。どれだけ掘り下げられるのか、またはそのまま放っておかれるのか、できれば何らかのまとめがつけられるようになったらいいなとは思っている。  だから今は話すことは無いはずなんだけれど、私の関心の中心から外れているだろうと思う、"variati

          気になること「些細な誤植、ないし見落とし」

           読みかけている岩波文庫「精神分析入門講義(下)」にほんのちょっとした、たぶん誤植だろうな、と思うところがあった。本でいうと166ページの最初の行「これらの神経節群の細胞が脊椎から神経の根地帯に遊走したものである」の「脊椎」。この本の英語訳 A General Introduction to Psychoanalysis (1920 ) が Gutenberg で読めるので該当箇所を見ると"spinal cord"(脊髄)になっている。文脈から脊椎はあり得ないし、この字の取り

          気になること「些細な誤植、ないし見落とし」

          気になること 「強い冬型」

           この冬は当地北国でも雪が少なく暖かい。その中で、いくつかの放送局の天気予報が「明日は強い冬型となり風雪が強まるでしょう。」という、あるいはこれに似た表現を使っていたのが気になった。その予報は2月1日に放映されていたものだったと思うけれども、今季には同じことが何度か気になっていた。  示されていたのは次の日の予想天気図で、西高東低の配置なのだけれど、その間の等圧線が縦になって込んでいると言えるところはサハリンのほうで日本では北海道の北のはしの方が少しかかっているようなものだ

          気になること 「強い冬型」