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【インタビュー】12期がTIFF広報・菊地裕介さんに聞く ①

みなさん、こんにちは!
東京国際映画祭学生応援団です🎬

今回は学生応援団12期が行ったインタビューをお届けします!
インタビューしたのは我々のボスであり、東京国際映画祭の広報を担当するプロモーショングループ グループマネージャーの菊地裕介さん。

Part①では、菊地さんの背景についてお聞きしていきます。
ぜひ最後までお楽しみください!


ーー菊地さんの経歴について、映画の道に進むきっかけを交えて教えてください。(ますみ)

実は小さい頃から映画が好きだったわけではなくて。大学に入って、多分皆さんとは違う時代の話になると思うんですけど、僕が大学入った時は大学ってすごい暇だったんですよ。
暇だったから、特にやることないかなと思って、図書館に割と入り浸っていたんですよね。当時たまたま図書館にレコード盤くらいでかいレーザーディスクがあって、そこで昔のいろんな古い作品の名画を観ていたら、映画にハマり始めた感じです。それから映画に目覚めたので、映画マニアっていうほど詳しくはなくて。ただ映画は好きという気持ちが生まれたのが、が大学1年の頃でした。

大学では法学部政治学科に所属していました。、社会学を学びたくて入ったんですけど、大学入ってから映画に目覚めて……。僕が今学んでるものは全然違うなと思い、色々考えて、とりあえず1回映画を学びに行こうって決めました。
今でこそ色々日本でも映画を学べる場所って増えたけど、僕が学生だった90年代は全然なくて。藝大とか日本大学の芸術学部とかは今から途中で入れるところではなかったので、映画の本場・アメリカに行って映画を学ぼうと、大学2年と3年の間に1年間、ニューヨークに留学しました。
アメリカで本当すごいなと思うのが、どんな大学にも必ず映画学科があって、そこで映画を学んでる人がいっぱいいるということ。
大学に入って、映画学科で1学期、9月から12月の間学びました。でもアメリカは2期制で次の学期は1月から5月だけど、僕は4月には日本に戻ってこなきゃいけなかったから、どうしようかなと悩んでいました。そこでニューヨークにちょうど3ヶ月間の集中コースのようなものがある専門学校があると知り、そこに入ろうと決めました。そこではもうひたすら撮ってましたね。


ーーそうなんですね。1年間、映画の留学に行って日本とアメリカで映画について捉え方が違うなと思ったことはありますか?(ますみ)

そうですね、文化としての生活の中の一部になっているところが大きく違うって感じたかな。
基本的にアメリカは完全に映画が生活の一部なので、ほんとに必ず毎週みんな映画を観に行っています。大学の寮で過ごしてたんですけど、基本的にみんな週末はまず映画館に行って映画を観るっていうのがありました。日本にはあまりない習慣ですよね。

菊地さんのキャリアの始まりは宣伝部

ーー次に菊地さんが行ってきた仕事について、今まで携わってきた作品や、その作品との関わり方を教えてください。(ますみ)

東宝に入社してすぐ、宣伝部に配属をされて、結局トータルで13~14年所属していました。
そこでは宣伝プロデューサーという、いわゆる宣伝を統括するポジションを担当していました。担当した作品は『世界の中心で愛を叫ぶ』や『NANA』、『神様のカルテ』や『謎解きはディナーのあとで』など…13年で確か34本くらい、宣伝プロデューサーとして経験をしました。

宣プロが(宣伝プロデューサー)が何をするかというと、映画の宣伝を総合的にプロデュースする人です。
例えば予算の管理で、予算の配分をまず決めていくという仕事。全体でこのぐらい予算があるとしたらテレビスポットと新聞広告、そしてイベントにそれぞれ何割割くのかということを考えます。あとはポスターや予告編を作ることも仕事のひとつですね。ただそれは実際に自分がデザインして作るというわけではなくて、それぞれデザイナーや映像を作るディレクターの方がいます。その方々とコンセプトや方向性を調整した上で、今回こういう感じでいきましょうと自分が望むものに近づけていくっていう感じです。

宣伝をやっていて、東宝の面白いと思ったところは映画のキャッチコピーを宣伝マンが書くこと。会社に入るまでは、キャッチコピーはコピーライターがいて決めるものだと思ってたんだけど、実は全然そんなことがなくて。宣伝マンが自ら書いて、それをポスターに載せるということもあるんです。
もちろん、中にはコピーライターに依頼する人もいるんだけど、割と自分はそういうのが好きだったので、基本的に自分の作品の宣伝コピーは自分で書いたかな。1本ぐらい例外があったかもしれないけど。
あと、チラシの裏の文章も全部自分で書いたりしてたので、思ったよりハンドメイドですごい楽しかったかな。人によると思うけど、割と僕はそういうの好きだったから、結構自分でガシガシ書いてましたね。

そういったことを13年間やって、2010年に『ノルウェイの森』って作品を担当した際、ヴェネツィア国際映画祭に行ったんですよ。そこですっかり映画祭の雰囲気に魅せらました。それから日本にも東京国際映画祭があるから、そこでちょっと働いてみたいなって気持ちが芽生えて。当時、東宝から出向している先輩がいたから先輩に聞いて、そこから9年かけて、やっと2019年にこっち(東京国際映画祭のプロモーショングループ)に異動してきました。

東宝での第2のキャリアは国際部で

宣伝部のあとは国際部という、いわゆる東宝が権利を持ってる作品を海外に売る部署で、4年間働きました。
その時は『君の名は。』がちょうど公開された時、を全世界にセールスするいわゆるワールドキャンペーンを行いました。新海監督と一緒にスペインやフランスに行ってそれはそれで大変だったけど、楽しかったですね。
その国際部では1年間だけ東宝東和というところに出向をしました。そこは逆に洋画の買い付けと宣伝みたいなことを、やらせてもらいました。そこれはこれでとても面白い経験でしたね。。
その前までは邦画のセールスをしてたんだけど、その後に洋画の買い付けをしたから、セラーとバイヤーの両面を楽しめました。キャリアとしてはとても有効だったなという感じかな。

ーー13年間で34作品の宣伝を担当をされたとのことですが、つまり1年間に、全く違うジャンルの映画を担当することもあったということですか?(ますみ)

そうだね。大体1年間に2、3本やる感じ。でも1番多かった時は1年間で4本ぐらいやりましたね。この2004年は、年明けに『着信アリ』っていうホラー映画があって、4月に『クレヨンしんちゃん』でアニメをやって、5月に『世界の中心で愛を叫ぶ』、そして10月に『いま、会いにゆきます』っていう。この年は大変だったけど、思い出深い年だね。4本全部当たってよかった。

ーー作品の宣伝はそれぞれチームに所属して活動するという形ですか? (ますみ)

そうそう。この場合はそれぞれ宣伝プロデューサーとパブリシティ担当が媒体ごとにいます。

例えば、新聞雑誌媒体や、テレビラジオ媒体があって。それに加えてCMでよく見る「○○は映画○○を応援してます」みたいなタイアップがあります。なので、宣伝プロデューサーとパブリシティとタイアップがチームになって、作品ごとに組まれていきます。

ーーなるほど。宣伝をするにあたって、菊地さん自身がその映画をまず知るところから始まると思います。その際に監督さんや、キャスト、その映画の背景という部分も含めて、どこに焦点当てて宣伝していましたか?(ますみ)

まず大事なのはそれぞれの映画にある重心のようなものを見つけること。映画が持ってるテーマってあると思うんだけど、それは必ずしもユーザーが求めてるものと一致するとは限らない。だからどこから押してもブレない、重心のようなものを見つけて、具体的なビジュアルとか言葉とかに落とし込むようにしました。
東宝はメジャーな会社なので、ミニシアターのように格好つける必要がない。だからこそとにかくわかりやすくすることが大事なんです。
よく先輩から言われたのは、「地方にいるヤンキーを想像して、ポスターを作り出す」。要するに地方のヤンキーになんか面白そうだなと思ってもらえるくらい、誰が見てもわかりやすいっていうものを目指しなさいと言われました。それは東宝という会社にいる限り、意識し続けるべきことですね。
あとは、とにかく映画の撮影現場に、なるべく足を運ぶようにしました。そこで色んなものを見て、キャストの人と話したり、監督と話したり、宣伝のための素材を拾ってきます。それを自分なりに組み立て宣伝に活かしていました。
でも、本当に宣伝プロデューサーそれぞれのスタイルなので、僕はそういうスタイルでやったけど、全く現場に行かないっていう人もいましたね。

ーーヴェネツィア国際映画祭で具体的に何が魅力的で、何に魅せられたのですか?(りさこ)

映画祭の、ヴェネツィアの雰囲気かな。
元々ヴェネツィアって観光名所だし、ロケーション自体はとても素晴らしい。でも映画祭の会場となったホテルのロビーで、色々と打ち合わせとかして、待ってたりする時に、本当にここら辺をこう、ナタリー・ポートマンとかが普通に通って、談笑してるようなことって普通はないじゃないですか。
それ以外にも、結構有名な監督がそこら辺にいて、手を伸ばすところ、ここに届くぞっていう距離にそういう一流のね、スター達がいるっていうのはすごいなと思って。みんな本当にそういうあたりすごくフランクだし、多分彼らもすごいリラックスしていて、そういう雰囲気がすごくいいなと思いました。

東京国際映画祭での広報・菊地さんの役割


ーー菊地さんの広報としての業務内容を教えてください(りさこ)

広報としての業務内容は、映画祭の中で決まったことをいかに外に上手く出していくかということ。
まず宣伝と広報は結構違っていて、宣伝は東宝で言うと億単位のお金を使ってCMやイベントをやることに対して東京国際映画祭には億単位の予算ってないんです。だから自らイベントを構築するというのはあまりなくて、そういう意味ではいわゆる企業の広報に近いんだろうなという気がしています。ここでも、作品をどう出していくかとか、予告編を作ったり、ポスターを作ったりって言うのはしてるので。クリエイティブな作業をしつつ、割と地味な作業もしているといった感じです。

ーー外部の方と会議を行うことも多いですか?(りさこ)

そうだね。宣伝の仕事は本当にいろんな人と付き合わなきゃいけないんので、常に打ち合わせはやっています。

ーーー
お読みいただきありがとうございました!
Part ①はここまで。

明日のPart ②では、東京国際映画祭について観客視点で沢山質問していきます🏃
どうぞお楽しみに!✨

<プロフィール>
菊地裕介さん(Yusuke KIKUCHI)
1974年生まれ。東宝所属、公益財団法人ユニジャパン勤務。大学在学中に映画に生きることを決意、単身渡米、New Yorkで映画を学び、現地で1本映画を作り、それがたまたまロバート・デ・ニーロの目に留まり評価を受ける、というのはウソだが(前半はホント)、97年東宝に就職。宣伝部で『クレヨンしんちゃん』『世界の中心で、愛をさけぶ』『いま、会いにゆきます』『電車男』『NANA』『ガチ☆ボーイ』『パコと魔法の絵本』『ノルウェイの森』『神様のカルテ』などの宣伝を担当し、2014年4月からは国際部で『STAND BY ME ドラえもん』『進撃の巨人』『シン・ゴジラ』『君の名は。』『怒り』などの海外セールスを担当。2018年4月から東宝東和に出向し洋画を手掛け、2019年4月からユニジャパンに出向、東京国際映画祭の広報を担当。O型甘党。2児の父。

菊地さんHPより

(取材:山岡、牧野、藤木、ズ)(執筆:ズ・ティファニー)


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