![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/165937082/rectangle_large_type_2_6dfd63ba66e8809e997108fb2a58ec14.png?width=1200)
中学生の作る10分映画が沁みまくった話
こんにちは。東京国際映画祭 学生応援団14期の河野です。
(→学生応援団とは…?)
タイトル通り、「中学生が作った10分映画で号泣したし、なんか色々思い出しちゃった」の話です。感極まって、誰にも頼まれてないのに書いちゃいました。
前提としての 「東京国際映画祭(TIFF)」
まずは、東京国際映画祭の説明をさせてください。
10/28~11/6まで行われ、今年で37回目を迎えた「東京国際映画祭」。
"日本最大の映画祭" の名の通り、国内外から多くの作品が集結。会期中だけで、約200本の作品が上映されます。
世界・日本で初めて上映されるプレミア作品や、今後日本で上映するかどうか分からない作品(例年、TIFFでの上映作品が会期後に日本公開される本数は半分にも満たない…)の上映だけでなく、監督・俳優陣のトークセッション、無料の人気作品屋外上映、豪華絢爛なレッドカーペット…。
これがカンヌ・ベルリン・ヴェネツィアに行かなくとも、日比谷周辺で毎年堪能できるわけです。実はチケット代も、通常料金より少しお安かったり。
会期中だけはビジネスを忘れ、お洒落に着飾る日比谷の街はとっても素敵。
日本の映画・映画祭好きにはたまらない、「東京国際映画祭」なのです。
中学生が作った10分映画で号泣した話
マジでめちゃめちゃ観た中で…
本題に入ろうと思います。
会期中、学生応援団のメンバーは「この映画面白かったので是非観てください!」と広報をかけるために、たっっっくさん、もうたっっっっっくさん映画を観ます。数多のイベント・トークセッションにも参加します。
その中で、個人的に一番心を打たれたのが、ユース部門「TIFFティーンズ映画教室2024」でした。
「TIFFティーンズ映画教室2024」について
作品概要は以下。(→リンクはこちら)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「映画の未来の開拓」を重要なテーマの一つとして掲げている東京国際映画祭が映画を「観る人、作る人を育てる」ことを目的として開催しているワークショップ。全国各地でこどもたちを対象に映画鑑賞・制作ワークショップを開催してきた「一般社団法人こども映画教室」と共に、中学生が映画監督やプロの映画スタッフとともに本格的な映画づくりをできる機会を提供している。
共催 東京都/大田区/公益財団法人大田区文化振興協会
企画・運営:一般社団法人こども映画教室®
(ティーンズ映画教室のnoteはこちら)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
2017年にスタートしたこの企画。
7回目の開催となる今年の特別講師は『ゆれる』『すばらしき世界』などの西川美和監督です。3チームに分かれた中学生18人が、8日間で10分程度の映像作品を完成させます。
(学生応援団のメンバーが8月に撮影取材に伺った際のnote記事はこちら)
上映作品は以下。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
①「映画が生まれるとき~TIFFティーンズ映画教室2024~」
「TIFFティーンズ映画教室2024」に集まった18名の中学生たちの8日間の軌跡を追う。
②「××(ばつばつ)プロジェクト」
突然生徒会長から廃部だと言われた卓球部、諦められずにいた部長たちが生徒会長へ直談判することに。大ピンチな卓球部に突きつけられたある提案とは⁉
③「あなたの夢は美しい」
中学生の新(あらた)はたったひとりの親友とひと夏を過ごす。しかし、親友の不可解な行動からふたりの歯車が狂い出す。
④「編集後記」
新聞部に所属する髙岡と同級生の中谷は、普段全く仕事をしない不真面目な生徒だった。しかし突如現れたふたりの登場人物により変化していく…。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
プロの方が撮影・編集されたワークショップのメイキング動画を見た後、中学生の皆さんが制作された作品を鑑賞させていただきました。
もうね、タイトルとあらすじだけで面白そうでしょう…??(ハイライトYouTubeはこちら)
ひょんなことから鑑賞することに
本当にぶっちゃけてしまいますと、学生応援団のスケジュールの関係で、なんとなく私が観に行くことになったのです。
「朝はやいなあ…」と特に期待もせず会場入り。それでいて、目を真っ赤にして劇場を後にしました。スケジュール空いていたのが私だけで本当に悔しい。メンバー全員に観て欲しかった。でも、私だけでも見逃さなくてよかった。この巡り合わせに感謝しています。
作品の詳細について記していいのかわからないので、鑑賞して感じたことを自分なりに書いてみたいと思います。
作品を鑑賞して思い出したあの時
アドリブを入れてみた作品、詩的な作品、ドキュメンタリーとフィクションを融合した作品。三者三様、どのチームも物凄く考えて作られたことが伝わり、とにかく真っ直ぐで、豊かでした。どこかでもう一回見れたりしないんだろうか…。
まず、年齢も住む場所も違う初対面の子たちと、スキルもない中たった8日間で作品を完成させることが本当に凄いことですよね…。これは極端な話になるんだろうけど、他者に対する偏見や自信のなさ、諦めたい・面倒だという気持ちが少しでもあったら成し得ないことなのではと、、。
他者への温かな気持ちを私はいつ忘れてしまったのだろう。「技術を持っていないから」と沢山の事を避けて生きてきたのは寂しいことだったのではないか。コスパやタイパを考えて動くことはいつも正解を導くのか。
火力はちいさくても「好き」に真っ直ぐだった中学生の私に、じっと見つめられた気がしました。
個人的な話で恐縮ですが、高校生の時に映像作品を作っていました。当時の仲間の中にはもう連絡を取っていない子もいて、今どうしているか分からない。でも、冬の渡り廊下の質感・カメラの小さな画面に顔を寄せあったこと・真っ暗な自転車置き場・「…最高じゃん!」と声を掛け合ったこと…全部、全部鮮明に覚えています。あの時のピュアな思い出を抱えながら、これから大人の役割を頑張っていくのだと様々な感情が渦巻きました。
映像や音声、カット割りやセリフが綺麗なモノだけが良い作品なのではない。今の今まで忘れてしまっていた、高校生の私が大事にしていたはずの普遍的な事を思い出させていただきました。
誰かと何かを一緒に作り上げたという達成感は、それが何の賞に輝かなくともずっと心に残り続けますし、自分と自分の人生を肯定し続けてくれる気さえします。
「TIFFティーンズ映画教室」は私のようないち観客にもこうした情緒を提供してくれる、本当に素敵な企画だなと心から思いました。
上映後は映像を制作した子どもたちが実際に登壇して、感想を話してくれました。「撮り方によってシーンが全く違うことに驚いた」「曖昧さを秘めた映画なので観た人通り分の解釈がある、だからこそ六人分の終着点も違かった」 「ワンシーン撮り終わるごとにみんなでお菓子を食べたのが思い出」…中学生らしい天真爛漫な感想もあれば、「その御歳で!?」と感嘆してしまう感想もあります。場内は邪悪なものが何一つない、笑顔と温かさでいっぱいの空間になっていました。
TIFFティーンズ映画教室とエシカル・フィルム賞の審査を経て
ある中学生の方が「子どもだけではできなかった。手を貸してくれた大人の方に感謝しています。」とコメントされていました。
いつも通りに読めば、「子どもだけでは(技術がないから)できなかった。手を貸して(映像の完成まで導いて)くれた大人の方に感謝しています。」と読めます。中学生の時点で周囲の大人の存在に気づき感謝できるということはとても凄いことで、私は尊敬せねばなりません。
ただこの言葉、「手を貸して=こうした機会を作ってくれて」にも変換できると思うのです。
今年、学生応援団は「エシカル・フィルム賞」の審査委員という大役を務めさせていただきました。(→詳細はこちら)
私個人として、東京国際映画祭はどこか高尚で大人のイベントという印象がありました。客席を見ても学生はとても少なく、厳かな感じでどこから首を突っ込んでいいか分からない。
それが年々、学生ボランティアの募集・学生料金の設定・こども映画教室とのコラボ「TIFFティーンズ映画教室」・「エシカル・フィルム賞」の審査員…と、大きく”こども”に間口が開かれていっている気がしています。
私たち学生応援団は「学生・同世代に映画の魅力を発信し、東京国際映画祭に参加してもらう」事を目的に広報活動を行なっています。ただ、資金や人脈や運営の問題からその力には限界があることを痛感していました。
こうして大人の方から手を差し伸べ機会を提供していただけること、そこから若者の話を聞いていただけることというのは、すごくありがたいし嬉しいし、大きな大きな支えになると思います。大人から「1人の人間」として対等に話を聞いてもらえることがどれほど大きなことか、大人になるにつれて忘れていってしまうものです。
誰かと何かを作り上げたという体験は人生の財産になります。「幼い時の映画体験」は習慣化され、大人になったときの映画体験をも左右するでしょう。
若者の映画離れ(というか長尺離れ)が囁かれて久しいですが、映画界への入り口は積極的に大人(学生応援団のような私たち学生も部分的に含め)が作っていかなくてはと思いますし、こうした人と人の繋がりが絶賛求められている世の中なのではと考えてしまいました。
学生応援団という立場として・とある大学生として・日本社会を生きる人間として・映画を愛するものとして、次世代にこのバトンを繋いでいくには何が出来るだろう。
まだ、来年もメンバーとして居座っている予定なので、何か一つでも見つけられたらいいなと思っています。次世代に向けて何か動けたらなあ。
長々とすみません。
ここまで読んでくださった方がいらっしゃるのかどうかは置いておいて、来年も絶対「TIFFティーンズ映画教室」観にいくぞ〜〜!!!
最後までお読みいただきありがとうございました。
════════════════════════
TIFFティーンズ映画教室2024
🔗 https://2024.tiff-jp.net/ja/lineup/film/37009YUT05
こども映画教室公式サイト
🔗 https://kodomoeiga.com/
東京国際映画祭
🔗 https://2024.tiff-jp.net/ja/
════════════════════════
↓↓↓学生応援団の他SNSもぜひチェックしてください!↓↓↓
2024年 #東京国際映画祭 #学生応援団 @TIFFgakusei 新メンバー決定!
— #東京国際映画祭 #TIFFJP (@tiff_site) June 5, 2024
現役の大学生が東京国際映画祭を通じて“映画祭”や“映画”の魅力を同世代に発信していく『学生応援団』プロジェクト。
たくさんの応募の中から、2024年に活動する14代目の新メンバー5名が決定しました!… pic.twitter.com/sHx4RBIt79