【インタビュー】『スパゲティコード・ラブ』監督に聞く
みなさまお久しぶりです☺️
先日11月8日をもって、第34回東京国際映画祭は無事に閉幕いたしました🙏✨
映画祭のご来場やnote記事の応援など、本当にありがとうございました!
映画祭は閉幕いたしましたが、お題企画「#映画感想文」にて映画祭作品の感想文の募集はまだまだ続きます📣
素敵なプレゼントもご用意しておりますので、奮ってご応募ください🧡
そして本日は、Japan Cinema Now部門で上映され、今月26日に公開を控えた『スパゲティコード・ラブ』の監督・丸山健志さんへのインタビューをお送りします🍝✨
(ここからインタビュー)
――丸山監督が映像制作に興味を持ったきっかけなどを教えてください
高校生の時に、世の中で一番すごい人は誰なのだろう?と思ったときに、真っ先に思いついた人がスティーヴン・スピルバーグでした。だから、すごい職業=映画監督と思ったのがきっかけです。
映画を撮るには何が必要なのか、様々な本を読んだりして調べたのですが、シナリオ・脚本が大事と書かれていたので、何も考えずに青山にあるシナリオセンターに通いました。そこで勉強をして、オリジナルのシナリオを書き、その時の映画仲間と一緒に映画を撮影し、そこから実現していきました。
――シナリオセンターはいつごろから通っていたのですか
大学を中退して、何をしようかと思っていたときに、「あ、映画作ろう」と、夜間のシナリオセンターに通いました。
シナリオセンターを通して、大学の映画サークルの人と知り合って映画を作るようになりました。ビデオカメラを持っていたので、編集さえできれば実際に自分で作れる状況ではありました。全部ひとりでやっていました。
――映画制作とMVやCMを作るうえで、共通していることや異なっている部分について教えてください
もともと映画がやりたいと思っていました。ぴあフィルムフェスティバルでMVのディレクターさんが僕の作品を観てくれて、その方に紹介されて様々なMVを作るようになったら、それが評価され、MVやCMの仕事がたくさん来るようになりました。
それを15年くらい続けました。でもやはり原点として、映画から自主制作を通してこの業界に入ったので、いったん区切りとして1本映画を撮りたいと思いました。
MVとCMは目的が違っていて、スタンスとしてMVはアーティストのために、楽曲を作ったその人のために作ります。CMは、CMを発注するクライアントなどに喜んでもらえるように作ります。
でも映画は作品のために、お客さんのために作るので、スタンスや目的が全然違います。ある種、MVやCMなどはビジネスであり、映画ももちろんビジネスも大事ですが、自分の想いや、自分が本当にやりたいことを貫く気持ちも大事で、まずスタンスが違うんです。
――『スパゲティコード・ラブ』の13人のキャスティングについて教えてください
こちらからオファーした人もいますし、オーディションでその役に一番合う人を選ばせてもらった人もいます。あとは13人並んだ時のバランスを見て、ビジュアル・トーン・スタイリングなど、徐々に決まっていく中で、こういったタッチの人がいいのだけどあの人と似てしまわないようにしようなど、バランスはすごく考えました。
――演出する上で大切にしていたことを教えてください
リアリティです。最近の若い方はスマホでずっと色々な映像を見ているから感度が高い。そういう人たちにリアリティを感じてほしかったんです。ロケーションもそうですし、リアリティに違和感があると観てもらえないのではないかという不安もあり、大切にしていました。
そしてそのリアリティをそのまま描かないというか、そのままだと現実と同じなので。映画は総合
芸術として最高峰だと思っているのですが、音楽、ロケーション、スタイリング、色々なカルチャーと共に、日常を素敵に描きたいという気持ちがありま
した。
――作中に登場するセリフ「なんで生きているんだろう」という言葉を、監督がかけられた
らなんと答えますか。
みんな一生懸命生きていても全然うまくいってなかったり、悩んでいる、そんな中で抱えてしまう“なんで生きているのか”という思いを肯定してあげたい。
夢とかを持ってる人、それ以外の人を描きたい。夢を持ったりとか目標を持ったりとかそれだけが素敵なことではないと思うので。
――学生時代に抱えていた思いや悩みについて教えてください
ひたすら何かになりたかったです。今もそうですが、ずっと何者でもない自分が不安で、早く肩書が欲しい、と思っていました。
しかし、何者にもなってない人が悪い訳ではないし、それはそれで良いことだと今は気づいたので、「焦らなくていいよ」と、今僕が二十歳の自分に会ったらそう言います。悩んだり、壁にぶつかったりすることがすごく嫌で、「うまく行っていない自分はダサいな」と思ったりしましたが、そういう時の自分を肯定することができていたら、もっと面白い自分になれたのではないかとも思います。
――映画やMV、CMに限らず作品を作るうえで一番大切にしていることを教えてください
“自分らしさ”です。
僕が大好きな映画監督や映画作品もそうですけど、尊敬する映画監督はみんなスタイルがあるんです。その人らしさというのは、たとえありきたりな
物語を描いていてもその監督が作ればその人の作品になるということでしょうか。
だから、映像をクリエイションしていく中で自分のスタイルというか、自分らしさは大切にするようにしています。それがただ前面に、自分らしさや自分のエゴを主張したいとかではなくて、自分が作れば自分の色が出て来るんですよ、人の話や意見も聞きつつも自分でやっていけば自分らしくなるんです。
――学生時代によく見ていた映画を教えてください
『トレインスポッティング』です。
――学生に見てほしい映画を教えてください
やんちゃですけど、『仁義なき戦い』です。あれこそがエネルギーだと思うんですよね。
アウトローばっかり出てきますけど、生きるというエネルギーや若いエネルギーってああいうことなんだと思います、それが正しいかわからないんですけど。それに日本映画の大傑作なので。
――人生で一番好きな映画を教えてください
『スパゲティコード・ラブ』です(笑)
最近は映画もよく観るんですけど、自分だったらどう作るか、その方向にしか興味がなくて。その方向にシフトできたことで作れた映画でもあるので。
それに好きな映画は変わるので、今一番好きな映画だと、『グッドフェローズ』です。こんな映画を作りたいなっていう、エンターテイメントと作家性のバランスがとれたこんなに面白い映画ないなと今は思っています。
――最後に、学生に向けてメッセージをお願いします
過去に囚われるのはやめて前を向いて頑張ってください。この映画も過去に囚われた人がたくさん出てきますし、過去に囚われて生きていくと重くネガティブになっちゃうところもあります。そして今はコロナで自分と向き合うことが多くなっていると思うので、そういったことは一切忘れて、明るい未来に希望を持って前を向いてください。
絶対にこれから良くなり、ものすごいエネルギーが来年以降生まれてくる気がしているので、皆さん爆
発しちゃっていいと思います。
左:丸山健志監督
右:学生応援団・仲村美祐
<プロフィール>
映画監督・映像ディレクター。
1980年、石川県金沢市生。早稲田大学国際情報通信研究科卒。
2004年に 脚本・監督を務めた映画「エスカルゴ」でデビュー。以降、ミュージックビデオ・コマーシャルフィルム・ドキュメンタリー・映画・ドラマ、発信の形に囚われることなく、感情を揺さぶるエモーショナルな演出と鮮烈なビジュアルで話題作を発信し続けている。
11月26日(金)渋谷ホワイトシネクイントほか全国公開
配給:ハピネットファントム・スタジオ
©『スパゲティコード・ラブ』製作委員会