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【GPT完全自動化】厄介なアンケート分析からレポート作成まで自動化可能です

みなさんこんにちは、TierMind編集部です。

商売をするにあたって顧客満足度調査は多くの企業にとって欠かせない業務ではないでしょうか。ですが大量の回答データを手作業で整理・分析するのは非常に手間がかかりますよね。

このプロセスはChatGPTを活用することで、大幅に効率化できます。

今回の記事ではAIが自動でアンケート内容を分析、レポート化してくれる手順を解説しています。ぜひご覧ください。



■使用するツール

Googleフォーム

無料で簡単にアンケートを作成し、回答を自動的に収集できるツールです。

ChatGPT

自由回答のテキストを分析・要約してくれるAI。アンケート結果を効率よく分類・解析できます。

Zapier

「GoogleフォームからChatGPTへ回答を送る」「ChatGPTの分析結果をスプレッドシートに書き込む」など、複数サービスを自動で連携するツールです。

スプレッドシート

収集した回答データや、ChatGPTの分析結果を保管・編集しやすいオンライン表計算ソフトです。グラフ化やレポート作成にも便利に使えます。



■さまざまな業界での成功事例

IT・ソフトウェア業界

  • SaaS企業がカスタマーサポートからのフィードバックをChatGPTで自動分類し、主要な改善点を抽出。製品アップデートにダイレクトにつなげて成果を上げています。

金融業界

  • 銀行などの金融機関が顧客満足度調査の自由回答をChatGPTで分析。大規模な支店別コメントから、改善が必要なエリアや顧客からの要望を把握し、サービス強化に活かしています。

小売・EC業界

  • EC企業がChatGPTによる「アンケート内容の自動生成・分析」を導入し、回答率が向上。顧客の詳細な意見を得られるようになり、サイトのUI/UX改善に反映しています。

ヘルスケア業界

  • 医療機関が患者満足度調査の自由回答をChatGPTで要約・分類。以前よりも迅速に問題点を見つけて対策を取り、サービス品質向上につなげています。



■実践導入の手順とフレームワーク

今回は小規模のカフェチェーンが、新メニュー「アーモンドミルクラテ」を導入した際に行う「顧客満足度アンケート」を ChatGPT で効率的に分析する例を考えてみます。

アンケート対象:
店舗・テイクアウト・デリバリー利用者

目的:
新メニューの味や価格、接客態度への満足度を集計したい
自由回答から具体的な改善提案やネガティブ要因を抽出したい
結果を社内レポートにまとめて、経営層と共有したい


全体像のイメージ

まずゴール地点を明確にしておきます。以下のような「一連の流れ」を最終形として想定します。

  1. 顧客がフォームに回答

  2. 回答がGoogleスプレッドシートに蓄積

  3. Zapierがトリガーを受け取り、回答内容をChatGPT APIに送信

  4. ChatGPTが回答を分類&感情分析して結果を返す

  5. Zapierが分析結果を再度スプレッドシートに追記

  6. ChatGPTに最終レポート(ドラフト)作成を依頼

  7. 人間がレポートをチェック・修正して改善施策を検討

このロードマップを常に頭に入れておくと、どのステップに取り組んでいるのかがわかりやすいです。


アンケートの設計と目的の明確化

  1. 目的・ゴール設定

    • 例:「アーモンドミルクラテの味・価格・提供スピード・接客態度に対しての満足度を調べる」

    • 例:「自由回答で、改善要望や不満を把握し、次のメニュー改良に活かす」

    • ここで「どのような分析結果を得たいか」をハッキリさせることが重要(例:ポジティブ・ネガティブの比率、具体的な改善案キーワードなど)。

  2. アンケート項目の作成

    • 定量項目(5段階評価など):味、価格、接客態度、店内清潔感など

    • 自由記述(定性項目):新メニューへの感想や、改善してほしい点、追加で欲しいサービスなど

    • 量が多すぎると回答率が下がるため、5〜10問程度でまとめると現実的です。

Q1: 「アーモンドミルクラテの味はいかがでしたか?」
選択肢: 1(とても不満)〜5(とても満足)の5段階評価
Q2: 「アーモンドミルクラテの価格はいかがでしたか?」
同上: 1〜5の5段階評価
Q3: 「店員の接客態度はいかがでしたか?」
同上: 1〜5の5段階評価
Q4: 「店内の雰囲気・清潔感はいかがでしたか?」
同上: 1〜5の5段階評価
Q5「ご感想や改善してほしい点、その他ご意見があればお聞かせください」

具体的な質問例

ポイント:

  • 定量質問(5段階評価など)を4つほど設定すると、満足度を数値で把握しやすくなります。

  • 最後に自由回答(テキスト)を1〜2問入れると、ChatGPTが本領を発揮できる定性データが集まります。


フォーム作成上の注意

回答者のメールアドレスや名前を必須にするかどうかを検討:
匿名で気軽に回答してもらったほうが率直な意見が集まる場合もあれば、個人特定が必要な場合もある(例:抽選でプレゼントなど)。

PC/スマホいずれも回答しやすい構成にする。

質問数は多くなりすぎない(5〜10問程度) → 回答率UPにつながる。


■Googleフォームとスプレッドシートの連携

Googleフォームでの具体的作成手順

1.Googleドライブを開く 

2.「新規」→「Googleフォーム」→「空のフォーム」を選択。

フォームタイトルを「新メニュー:アーモンドミルクラテ満足度調査」などに設定。

「質問を追加」で Q1〜Q5 を作成。

Q1: 「アーモンドミルクラテの味はいかがでしたか?」
選択肢: 1(とても不満)〜5(とても満足)の5段階評価
Q2: 「アーモンドミルクラテの価格はいかがでしたか?」
同上: 1〜5の5段階評価
Q3: 「店員の接客態度はいかがでしたか?」
同上: 1〜5の5段階評価
Q4: 「店内の雰囲気・清潔感はいかがでしたか?」
同上: 1〜5の5段階評価
Q5「ご感想や改善してほしい点、その他ご意見があればお聞かせください」

具体的な質問例


「回答」タブ → 「スプレッドシートのアイコン」をクリック → 「新しいスプレッドシートを作成」を選択。

H列に「category」
I列に「sentiment_score」
J列に「reason」を追加

作成されたスプレッドシートのURLを控えておく(後でZapierで指定します)。


Zapierでの連携設定

ここが一番「技術的ステップ」が多い部分です。画面構成はZapierのアップデートで少し変わる可能性がありますが、基本的な流れは同様です。

ZapierにGoogleフォームを連携

Zapierにログイン → 左上の「Create Zap」をクリック。

Trigger(1) として「Google Forms」を選択

(Trigger event)は「New Form Response」を選択。
「Account」でGoogleアカウントを認証

先ほど作成したGoogleフォームを選択

OpenAI (ChatGPT) をアクションに追加

Action(2)として「OpenAI」を選択。

「Action event」欄で「Send Prompt」を選ぶ(Zapierのバージョンによって表示が異なる)。
「Account」でOpenAIのAPIキーを入力して認証。

APIを入手

Prompt欄に、Googleフォームの回答データを埋め込みつつ分析指示を書く。例:

以下のお客様からのフィードバックを分析してください。

「{{282770590__2f53cfac}}」

最大7つまでのカテゴリに分類してください。categoryの例:
   - 味
   - 価格
   - 提供スピード
   - 接客態度
   - 店内環境
   - その他リクエスト
   - その他(上記に当てはまらない場合)

sentiment_scoreを5段階で判断してください。数値と意味は以下のとおり:
   1: 非常にネガティブ
   2: ややネガティブ
   3: ニュートラル
   4: ややポジティブ
   5: 非常にポジティブ
   選んだ数値の理由を12文で説明してください。

JSON形式で出力してください。使用するキーは
   「category」「sentiment_score」「reason」
   の3つだけとし、必ず有効なJSONだけを出力してください。

出力例:
{
  "category": "接客態度",
  "sentiment_score": 2,
  "reason": "店員の応対が不親切だったと述べられているため"
}

{{自由回答のテキスト}}部分には、Zapier側の「Insert Data」機能でGoogleフォームの該当質問回答を差し込む。


JSONをパースして各キーの値を抽出する。

Actionとして「Code by Zapier」を追加

言語はJavaScriptを選択

「Input Data」をOpenAIからの「Response」に設定

コードを代入


const jsonString = inputData._1 || '{}';

// Parse the JSON string to a JavaScript object
const parsedData = JSON.parse(jsonString);

// Prepare the output with the parsed fields
output = parsedData;

Googleスプレッドシートへの書き込み

Action(3)として「Google Sheets」を追加。

「Action event」で「Create Spreadsheet Row」を選択。

書き込みたいスプレッドシートを指定

列と対応する値を入力。
※先ほど抽出した値も同様に

以下のように反映されます。



■分析結果の集約・可視化

スプレッドシートのピボットテーブル例

「挿入」→「ピボットテーブル」を選び、対象範囲を分析結果の入ったシート全体に指定。

行に「category」を設定。列に「reason」を設定。値として「sentiment_score」を表示

すると、カテゴリごとのポジ/ネガ/中立件数が一覧になる。これをそのまま棒グラフにすれば、カテゴリ×感情の分布が一目でわかります。



■レポート作成と施策立案

作成したスプシファイルをJSON化します。

プロンプト:

添付のファイルをJSON化して

ChatGPT によるレポートドラフト生成

ChatGPT に対して以下の内容を依頼します。

以下の分析結果を踏まえて、レポートのドラフトを作成してください

テキストで出てきた結果をコピペしてスライドやドキュメントに反映すれば、素早く報告書が作れます。

必要に応じて修正・追記

ChatGPT が出した文面を 人が読んでブラッシュアップ(細かいニュアンスや事実確認)

数値グラフや顧客声の具体的引用なども挿入し、経営層や店舗マネージャーにわかりやすい形に仕上げます。

改善施策の検討

分析レポートを基に具体的アクションを検討

例:「アーモンドミルクラテが甘すぎるという意見が多かった → 甘さ控えめバージョンの発売を検討」

例:「価格への不満が大きいが『お得感があれば買う』という声が多い → 時間限定割引やクーポンでテスト導入」


■ChatGPTでレポート(ドラフト)を生成

プロンプト例:総括レポート

  1. スプレッドシートでピボットテーブルなどから主要な数値・結果をコピー

  2. ChatGPT Web UIに以下のように指示:

以下のアンケート分析結果をもとに、レポートのドラフトを作成してください。

【エグゼクティブサマリー】では主な数値と結論を2~3行でまとめる。
【調査方法・期間・回答数】ではアンケート概要を記載。
【定量評価の集計結果】では平均スコアなどを列挙。
【自由回答の分析】ではカテゴリや感情別の傾向を具体例とともに示す。
【改善提案】ではユーザーからの要望や改善アイデアをまとめる。
【補足情報】では注意点や今後の展望を書く。

――アンケート分析結果――
- カテゴリ別件数: [味:10件, 価格:8件, 接客:12件, 環境:5件, その他:3件]
- 感情: ポジティブ45%、ネガティブ30%、中立25%
- 代表的なネガティブ意見: 「甘すぎる」「値段が高い」
- 代表的なポジティブ意見: 「香ばしい香りが好き」「接客が丁寧」
...

返ってきた文面を人間が再度チェック・修正し、最終レポートを完成



■ AI 分析部分の有益性を高めるポイント

  1. 分析の粒度を調整

    • 「カテゴリを 3〜5 程度に大まかにまとめる」段階と、「具体的フレーズ(キーワード)を拾う」段階を分けると、より深い洞察を得られます。

  2. 回答サンプルを使ってプロンプトを最適化

    • 事前に 10〜20 件程度の回答を試験投入し、「満足度を 5 段階評価 + 具体的な理由をテキストで提示」などの出力形式をテストしながら微調整。

  3. スレッド(会話)を通じた追加問い合わせ

    • ChatGPT に分析結果を出してもらった後、さらに「ここでネガティブ回答が多かった理由を 3 つにまとめて」「特に強調されている言葉をピックアップして」と追加指示を出し、深堀り分析していく。

  4. 社内専門家とのコラボ

    • AI が「価格に関するネガティブが目立つ」と出した場合に、商品開発やマーケティング担当者の知見を混ぜて原因を特定する。AI は補助ツールと割り切り、人間の最終判断をサポートする役割とするのがベストです。



■ まとめ

  1. アンケート設計 → データ収集 → AI 分析 → レポート・可視化 → 施策検討 という一連の流れを Zapier やスプレッドシート、BI ツール と ChatGPT を組み合わせて自動化・効率化できます。

  2. 自由回答データ は ChatGPT が最も力を発揮する領域で、短時間で大量のテキストを要約・感情分類・キーワード抽出し、人間が見逃しがちな視点を得やすくなります。

  3. AI だけに頼らず、実務担当者の知見プロンプトのチューニング で精度と活用度が向上。効果検証を繰り返しつつ、社内フローに定着させるのが成功のカギです。

このように 具体的なステップを踏む ことで、アンケート分析が実務レベルの導入事例として運用できます。最初は小規模店舗や限定メニューなどで試し、成功体験を社内に広げていくのがおすすめです。ぜひ参考にして、ChatGPT を活用した顧客満足度アンケート分析を実践してみてください。

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