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【GPT-4.5徹底解説】「学習量×パラメーター拡張」で進化した最も人間らしいモデル

みなさんこんにちは、TierMind編集部です。
今回GPT-4.5がリリースされ、注目されています。

本記事では、「AIの親友」と謳われているGPT-4.5がどのようなもので新たな可能性を切り開こうとしているのかを、他モデルと徹底比較しながらわかりやすく解説します。




■GPT-4.5は「学習量×パラメーター拡張」で進化したモデル

AIモデルには、大きく分けて2つの流れがあります。

●多段推論(階層化・連携モデル化)

oシリーズでは、モデルを複数段に分けて推論させることで、より複雑な問題に深く考えて答えられるようにしています。これは「複数の専門家が段階的に相談しあって、より正確な結論を出す」イメージの進化です。

●パラメータの拡大(スケールアップ)

GPT-3.5、4、4.5のようなモデルは、学習するデータ量とパラメータ数(AIモデルが学習する際に調整する内部設定の項目数)を大幅に増やすことで知識の幅や深さを広げてきました。これは「巨大な脳を作って、より多くのことを覚えられるようにする」イメージの進化です。

今回リリースされたGPT-4.5は後者に属し、論理推論を深めたわけではありません。その代わり、より広い知識ベースと“EQの高い”言語運用力を獲得しており、ハルシネーションが減り、人間的で温かみのある対話ができるようになったと評価されます。

学習量が多いと→学習した文章量や単語量が増えたことにより知識量や語彙力が純増します。

パラメータ量が多いと→言葉を紡ぐ時の視点の数(次元数)が増え、細かなニュアンスや複雑な関係を正確に表現できるようになります。

◆o1やo3‑mini と比較すると、GPT‑4.5はより汎用的かつ直感的に賢いモデル



■OpenAI社員や初期テスターの感想/GPT-4.5は「AIの親友」

「思ったより地味だけど、だんだんハマる」

  • 大きな革命を期待した人には「そこまで派手ではない」という声もある一方、大きな学習量によって得た“微妙なニュアンス表現”が魅力的だという評価。

  • コードや数理推論には向かないぶん、使うほど自然で柔らかい対話を実感できるとの意見が増えつつある。

「数理やコードより、文章や多言語の対応に向いてる」

  • 数学的なステップ分割や大規模コード生成は、推論型モデル(o1・o3)の方が得意。

  • GPT-4.5は“プレトレーニング拡張型”で、文章作成やクリエイティブライティング、多言語Q&Aなどが高評価。

  • 「論理力」ではなく「言語運用力」に強みがあるとも言える。

「EQの高さは本物? 「AIの親友」という呼び名」

  • 感情を汲んだコミュニケーションが可能になり、「AIの親友」と称されるほど“温かみ”のある対話ができる。

  • 大規模プレトレーニング(=拡大された学習量)のおかげで雑談や相談など“ソフトスキル的”領域への対応がアップグレード。

  • oシリーズの「論理的推論力」とは別軸の発展であり、両者は競合ではなく補完関係にあるという見方が示されている。



■他モデルとの違いを端的に

あくまでも参考の数値です。(OpenAI公式発表なし)
  • GPT-4oはマルチモーダル対応で汎用的

  • GPT-4.5は知識とEQに優れ、教師なし学習が進化

  • o3-miniとo3-mini-highは軽量かつ推論特化型

  • o1とo1proは推論と問題解決に強い

トークン数に沿った使い分け

  • 記事の作成など、長くリッチな成果物が必要な場合は、出力トークン数が大きく、高度な推論が可能なo1シリーズを使用しましょう(GPT4.5のリリースによって変動あるかも…)
    ※ただし記事作成に関して「書きっぷり」が重要な場合はEQが強いGPT-4.5を使用したり、ケースによった使い分けが重要です

  • 議事録の作成など、前提情報が膨大な場合は、入力トークン数が大きいo3シリーズが適しています。


その他:
GPT-4.5はコードインタープリターが可能で、ユーザーがアップロードしたファイルに対して、データ分析、グラフ作成、ファイル編集などの高度な処理を行うことが可能です。


ポイント:
GPT-4.5は「IQ(論理力)」ではなく「EQ(コミュ力)」を伸ばしたモデルだということ。oシリーズとは真っ向から競合というより、得意分野が補完関係にあると考えると分かりやすいでしょう。

では、実際のベンチマークデータや使用感はどうなのか。ここからは、具体的な検証結果や数値データをもとに、GPT-4.5の実力を見ていきましょう。



■ベンチマークで見るGPT-4.5

OpenAI公式の研究プレビュー情報によると、GPT-4.5は以下のようなデータで高い性能を示しています。

GPQA (science):科学分野の質問に対する正答率を示す指標。
AIME ‘24 (math):数学的推論力を問うテスト
MMMLU (multilingual):多言語処理能力を評価するベンチマーク。
MMMU (multimodal):複数のモード(画像やテキストなど)を使った理解力を測る指標
SWE-Lancer Diamond (coding):実際のUpworkタスクをもとにAIのソフトウェアコーディング能力を評価するベンチマーク
SWE-Bench Verified (coding):GitHubのソフトウェア開発課題を使ってAIのコード修正能力を評価するベンチマーク

GPT-4.5は理系ハイレベルの数学や一部コードタスクが苦手っぽいけど、科学知識や多言語対応はわりと得意な印象です。


SimpleQA Accuracy:
短い質問に対してAIが正しい答えを出す割合のことです。例えば、100問中80問に正しく答えたなら、そのAIのAccuracyは80%という意味になります。

GPT-4.5が62.5%で最高の正答率をマーク。
o3-miniが15%と低く、シンプルな知識問題は苦手そう。

事実に即した回答が必要なときは、GPT-4.5に任せると安心できそう。


SimpleQA Hallucination Rate:
短い質問に対してAIが「でっち上げ」な答えを出す割合のことです。数字が低いほど正確な回答が多いという意味です

  • GPT-4.5は約37%で一番低い。

  • o3-miniは80%超でかなり高い。

GPT-4.5は変なデタラメを言いにくいみたいで、安心感があるね。


Comparative evaluations with human testers:
人間がGPT‑4.5とGPT‑4oの回答を見比べて、どちらの回答を好むかを評価する手法

  • 日常会話やビジネス相談、クリエイティブ要素でもGPT-4.5が総じて好印象。

GPT‑4.5は、人間の意図や感情的ニュアンスをより深く読み取る“EQ”の面でも向上。微妙な暗黙の期待や会話の“温かみ”といった要素も把握しやすくなっている印象



■他モデルとの比較検証

ここでは、GPT-4.5を他モデルと比較しながら実務や趣味で実際にどう使うか、率直に“ここはイケる・ここは微妙”という視点で解説します。

●短文&中編ライティングのリライトテスト

  • やり方

    1. 題材となる文章を用意

    2. GPT-4.5/o1proに「この文章をよりもっと魅力的にリライトして」と指示

    3. 解答比較しています

題材

「東京での休日」

この前、東京に行って1日ぶらぶらしてきたんだけど、思ってた以上に迷っちゃった。まずは有名な渋谷の交差点に行ったら、やっぱり人が多くてびっくり。次に浅草に行こうとしたら、地下鉄を乗り間違えて遠回り。おまけにお土産を買おうと思ったら、現金をあまり持ってなかった。次はもっと計画を立てて行こうと思う。

●o1pro解答

「東京での休日」は、思いがけず迷いながらも新鮮な驚きが詰まった一日になった。まず、あの有名な渋谷のスクランブル交差点に足を踏み入れると、行き交う人の多さに圧倒されつつ、これぞ東京!とワクワクした気分に。次に浅草へ向かおうとしたら、地下鉄を乗り間違えてしまい、まさかの遠回り。でも、そのおかげで普段なら見逃してしまうような街並みをちらりと楽しめたのは思わぬ収穫だった。さらに、お土産を買おうと思ったら、現金をあまり持っていなくてヒヤリ。次回はもう少し計画を練えて、スムーズかつ余裕を持った東京めぐりを楽しみたいと思う。

o1proによるリライト

  • 文章の構成・情報整理が明快

  • トーンはやや落ち着きめ

  • 「遠回りだけど意外な発見」など、論点を的確に押さえていて安心感がある


●GPT-4.5解答

「ちょっとドキドキ、東京ぶらり旅」

先日、ふと思い立って東京へ小さな冒険に出かけました。最初に向かったのは、テレビで何度も見たあの有名な渋谷のスクランブル交差点。想像以上の人波に圧倒され、思わず立ち止まってしまいました。

次の目的地は下町情緒あふれる浅草。でも地下鉄の路線が複雑で、気づけば全く違う方向へ…。ちょっとした迷子も旅のスパイスだと笑ってしまいました。

さらに予想外だったのがお土産選び。いざ買おうと思ったら、現金が足りないことに気づいて慌てることに。ちょっとドタバタだったけど、これもいい思い出。

次回はもう少し計画的に、でもまたちょっとしたハプニングも楽しめるような旅にしたいな、と思いました。

GPT-4.5によるリライト

  • 言い回しが豊かで、表現に温かみがある

  • キャッチーなフレーズが多く、SNS向き

  • 失敗やハプニングもポジティブに捉え、物語性が強い


●双方を比較して

  • o1pro

    • 正確かつ整然とした記事に仕上げたいとき

    • レポートやレビュー、落ち着いたトーンのコンテンツに最適

    • 過剰な装飾を避けたい場面

  • GPT-4.5

    • 親しみやすく、読者の感情を引き込む文章が欲しいとき

    • ブログ・SNS投稿など“カジュアルな雰囲気”に寄せたい場合

    • 多少のドラマチックさやストーリー性を演出したいとき

このように、安定感と情報整理に強いoシリーズと、感情や雰囲気づくりが上手なGPT-4.5とで、それぞれ強みが異なるため、用途やターゲット読者に応じて使い分けるのが最適と言えます。


●SVG形式で絵を描かせる

GPT-4oとGPT-4.5で精度は一目瞭然ですね。

「創造性のあるタスク」において、GPT-4よりさらに柔軟かつユニークなアイデアや文章を生成する力が向上しています。



■まとめ

  • GPT-4.5は「EQ」を強化したモデルで、多言語対応や文章表現の自然さ、シンプルなファクト回答に強みを発揮

  • 論理的推論や大規模コード生成はoシリーズの方が適切なシーンが多い

  • 短期プロジェクトや文章重視、簡単コードならGPT-4.5 / 本格的な論理推論や長期運用ならoシリーズ

いずれも、最終的には 「自分のタスクが何を重視するか」 がモデル選びの鍵。もし「文章を自然に仕上げたい」「海外向けに発信したい」などコミュニケーション面を重視するならGPT-4.5を、多階層推論や長期保守が前提のコード作成ならoシリーズを選ぶとスムーズでしょう。ぜひ自分の目的に合わせ、各モデルの特性を活かした使い分けをしてみてください。



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