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【徹底解説】ChatGPT各モデルの特徴を理解して使い分ける

みなさんこんにちは、TierMind編集部です。

ChatGPTには実に多彩なモデルが用意されていますが、意外にも「用途に応じてモデルを切り替えて使っている」という方は少ないようです。たとえば、複雑な推論が必要な場面でも、軽量モデルのまま使い続けたり、その逆に高性能モデルをずっと使いっぱなしだったり——せっかく複数のモデルがあるのに十分に活用しきれていないケースが多いのです。

そこで本記事では、「ChatGPTの各モデルはどんな場面に適しているのか?」を整理するとともに、チャット途中でのモデル切り替え方法や活用のコツをご紹介していきます。

リソースとコストのバランスを考えながら、プロジェクトやタスクの内容に応じて最適なモデルを選ぶテクニックが満載です。ぜひ、普段のChatGPT活用に役立ててみてください。




■モデルの変更方法

まずは、ChatGPTでモデルを変更する方法について解説します。
モデルの変更は以下の手順で行え、チャット途中でも切り替えが可能です。

途中で変える場合は、現在のチャットを開いたままモデル一覧から再選択


●途中でモデルを切り替えるメリット

チャット途中でモデルを切り替えるというテクニックを使うと、1つのプロジェクトで複数のモデルの長所を同時に活かせるようになります。

たとえば、GASを画像スクショから書いてもらう際

  • まずは4oで要件定義

  • 途中からo3mini highでコーディングを進める

このような使い分けをすることで、作業効率が大幅にアップするわけです。

画像スクショ→VBA・GASコーディングの例

1.要件定義は「GPT-4o」
画像スクショをアップロードし、そこに書かれている仕様や画面項目を読み取らせて要件定義してもらう

2.モデルを「GPT-o3mini high」に切り替えてコーディング
軽量かつ十分な推論力を持つo3mini highモデルに切り替える。
「先ほど定義した要件をもとにGASコードを書いて」「エラーが出るので修正して」と指示

こうすることで、4oの文脈把握力と素早い対応力を活かして要件をまとめたあと、o3mini highのコーディング力で実際の開発をスピーディに進められます。


●チャット途中でモデル変更ができないケースに注意

便利な「モデル切り替え」ですが、切り替え不可の制限がある点に留意しましょう。

●o1/o1pro切り替え不可

たとえば、Deep Researchしたあとo1proに切り替えて記事を書いてもらう場合(o1pro:本格的な段階推論&ビジネス分析に強み)

今回は生成AIの業務効率化事例をDeep Researchしてからo1proに記事を作成してもらいます。

上記は4oでしたが他のモデルからもo1/o1proへの変更は不可でした

したがって、「あとでo1proで仕上げたい」「大型のビジネス分析まで踏み込みたい」や「Deep Researchした内容をo1/o1proで作業したい」とあらかじめ想定している場合は、最初にo1/o1proを選んでおきましょう。


■ChatGPTの進化:主要モデルの概要

次に、ChatGPTの歴史的な進化の流れを簡単におさらいしましょう。

また、契約プランによって使用可能なモデルは異なりますが、「GPT-4」や「GPT-o1」など、多様なバリエーションが存在します。



■GPTは “Generative Pre-trained Transformer” の略です

Generative:文章などを「生成」できる
Pre-trained:あらかじめ大規模データで「学習」してある
Transformer:文章中の単語の関連を見極める「トランスフォーマー」モデルを使っている

「4」や「o」「mini」「pro」の意味

GPT-4:
数字の「4」は「第四世代」を示し、GPT-3.5よりさらに進化したバージョンです。

GPT-4o / GPT-o1 / GPT-o3-mini など:
名前に入っている「o」について、4oは“omni”をイメージした記号で、モデルのマルチモーダル(全方向)を表します。o1o3-miniの「o」はOpenAIの頭文字からきています。

mini:
「小型化」や「軽量化」を示す言葉で、大規模モデルよりリソースが少なくて済むようにしたバージョンを指します。

pro:
より「プロ向け」や「高性能」版を示す言葉で、同系列のモデルより精度や性能を強化したバージョンです。



■各モデルの対応可能機能

【Code Interpreter】GPT-4oのみ対応可能
この機能は、ChatGPT内でPythonコードを実行できる環境を提供します。ユーザーがアップロードしたファイルに対して、データ分析、グラフ作成、ファイル編集などの高度な処理を行うことが可能です。

【画像認識について】
各モデルとも画像のアップロードは可能ですが、文字起こしなどの直感的な作業は4oが向いています。

【ファイルについて】
GPT-4oとGPT-o3-mini,o3-mini-highでファイルのアップロードが可能ですが、直接編集できるのは4oモデルのみです。

【ファイルでの出力】
ファイル出力機能はGPT-4oのみ対応しています。

【検索(search機能)】
検索機能はGPT-4oとGPT-o3-mini,o3-mini-highで利用可能です。

詳細はこちらです↓



■GPT思考プロセスの基本的な仕組み

GPTの核となるのは、「トークン予測」という大原則です。
文章を読んだあと、「この流れなら次に来る単語(トークン)は何が自然か?」を計算し、それを延々と繰り返して文章を生成します。ここを理解しておくと、各モデルがどう回答を導いているかイメージしやすくなります。

詳しくはこちらで解説しています↓



■モデルごとの思考プロセスと使い分ける方法

それではいよいよ、各モデルの思考プロセスと特徴を見ていきましょう。それぞれが「どんな用途に向いているか」を理解すると、ChatGPTをより効果的に使えるようになります。

●GPT-4o:幅広い内容をシンプルにまとめて回答してくれるオールラウンダー

◆回答プロセス
質問を受け取り → 「最も確率の高い回答」を一度で導出 → 出力。

◆特徴:
長文や幅広い文脈を一気に把握して回答する。
「超マルチモーダル」対応モデル。音声・画像を含むさまざまな情報をまとめて扱える。

◆用途:

文章要約や広範なテーマの一括処理
難しい文章をやさしく解説や再構成
画像付きのドキュメントをまとめてプレゼン用スライドに要約
要約+軽めのクリエイティブ作業

「とりあえず幅広く何でも任せたい」時に

◆対応機能:
Code Interpreter(Python実行・高度なデータ分析が可能)
ファイルアップロード・直接編集(WordやExcelなど)
ファイル出力・検索


●GPT-o1:問題を細かく分解して、ステップごとに論理的に解決

◆回答プロセス

  1. 質問を受け取る
    ┗ 問題や要求事項を丁寧に把握

  2. ゴールを設定
    ┗ 解決すべき課題や目標を明確にする

  3. 小タスクに細分化
    ┗ 必要なステップを洗い出し、順序立て

  4. タスクを順に実行
    ┗ ステップごとに論理検証・分析を進める

  5. 結果を統合して回答
    ┗ 最終的な結論や提案をまとめ、出力

◆特徴:
論理ステップを重視するChain-of-Thought型(数学・プログラムの逐次解説に強い)

◆用途:

数式やアルゴリズムをステップごとに分解して解説
プログラムのバグ解析を一手ずつ説明しながら修正案を提示
科学実験や研究課題の手順を段階的に整理

数式やコードのエラー解消、研究課題や難しい論理問題のステップ解説



●GPT-o1pro:ビジネスや大規模分析を深掘りできる上位版

◆回答プロセス

  1. 質問を受け取る
    ┗ 問題や要求事項を丁寧に把握

  2. ゴールを設定
    ┗ 解決すべき課題や目標を明確にする

  3. 小タスクに細分化
    ┗ 必要なステップを洗い出し、順序立て

  4. タスクを順に実行←微妙ならやり直し
    ┗ ステップごとに論理検証・分析を進める

  5. 全タスク完了後まとめて回答
    ┗ 最終的な結論や提案をまとめ、出力

◆特徴:
o1の推論力をさらに拡張し、大規模データやビジネス分析にも強い。o1の推論力+ビジネス分析強化(大規模データや複数指標の同時評価)

◆用途:

市場動向レポートを複数のデータセットから統合し、経営陣向けに要約
新規事業のリスク評価・財務分析を根拠と数値を並行して検証
研究・コンサルティング等で多角的な分析を要する場面

大きなデータを使うビジネス用途



●GPT-o3mini:軽く速く、それなりの答えをサッと返すコンパクトモデル

◆回答プロセス:

  1. リクエストをサッと解析
    ┗ 質問文を短いスキャンで把握します。

  2. 即時に最適解を推測
    ┗ 高速にマッチングを試みます。

  3. 必要に応じて軽い検証
    ┗ 文脈に大きな矛盾がないか、簡単にチェック

  4. 最終回答をスピーディーに生成
    ┗ 深い論理展開は控えめにして、素早く“最も可能性が高い答え”を提示

  5. ユーザーへ応答
    ┗ もしフォローアップが必要になれば、再度すぐに回答可能

◆特徴:
軽量&高速。必要最小限の推論でサクサク回答。

◆用途:

よくある問い合わせへの素早い応答(FAQボット)
商品説明や案内文のちょっとした要約・下書き
ブログ記事の簡単な見出し案やSNS投稿文の生成

問い合わせ対応やちょっとした文章作成を手早く片付けたい場合

◆対応機能:
ファイルアップロード・検索(o3mini-high含む)


●GPT-o3minihigh:コンパクトさ+そこそこの段階推論もプラスされた中間モデル

◆回答プロセス:

  1. 入力を受け、要点を抽出
    ┗ たとえば「ちょっと込み入った数学の応用問題」を受け取ったとき、問題文を見て論点をいくつかピックアップ

  2. 簡易的なステップ分解
    ┗ 必要な公式や条件を少し整理し、o3miniよりは丁寧に「どの公式をどう使うか」を考えます。

  3. サブタスクを実行
    ┗例:部分的に計算してみたり、小さな検算を入れるなど、ほどほどのロジックを踏む。

  4. 結果をまとめ、一貫性チェック
    ┗ 全体として破綻がないか、最小限の検証を行います。

  5. 回答を生成
    ┗ 最後にユーザーに伝わりやすい形で答えを出力

◆特徴:
o3miniよりやや高度な推論が可能。中級以上の問題にも対応。

◆用途:

教育分野で中級〜上級レベルの問題解説(やや複雑な数式・論点含む)
社内の業務AI(FAQ以上、だけど超ヘビーな分析未満)
簡易的な技術マニュアルやドキュメント作成で、そこそこロジカルな回答が必要なとき

中レベルの数理・論理問題や、少し込み入った業務AIのサポート



●GPT-4omini:GPT-4の文脈理解を“小さくまとめて”使いやすくしたモデル

◆原理:
GPT-4ominiは、GPT-4の大規模文脈把握を圧縮し、安全対策も強化したモデルといえます。CoTはあまり深く使わず、大きめの文脈をスピーディーに要約しながら回答するスタイルがベース。リスク管理や誤情報抑止に力を入れているのも特徴です。

◆特徴:

小規模化と安全強化:
GPT-4ほどリソースを必要とせず、誤情報や有害表現を抑えるガードレールが厚めに設定。

まとめて結論を導く:
段階推論より素早い応答に寄りがち

それでも広めの文脈を参照:
フルGPT-4ほどではないが、それなりに大きな入力を処理できる

◆用途:
GPT-4ほどのフルパワーは不要だけど、高精度の要約やアイデア創出を安定してやりたい場面


■まとめ

  • GPT-4 / GPT-4o / GPT-4omini

    • 長文を広く取り込み、まとめて答えを生成しやすい。マルチモーダル対応を活かして「大規模な情報をざっくり俯瞰→回答」に強い。

  • GPT-o1 / GPT-o1pro

    • Chain-of-Thoughtによる段階推論を重視。数学やプログラミングなど厳密なロジックが必要なタスクで真価を発揮。o1proは大規模ビジネス分析にも対応。

  • GPT-o3mini / GPT-o3minihigh

    • 軽量&高速を基本とし、minihighは少し複雑な推論も行える。コストパフォーマンス重視の用途や、中レベルのロジック対応に向く。

「多機能で何でもできる」モデルほどリソースやコストも高くなりがちです。一方、軽量モデルは安価で高速ですが、厳密な論理推論にはやや弱い――こんなトレードオフを理解しながら、プロジェクトの目的や予算に合わせて最適なモデルを選ぶのが重要です。

以上、各モデルの思考プロセスと使いこなしのポイントをまとめました。ChatGPTをどう使うか迷っている方は、まず「どのくらいの段階推論が必要なのか」「どのレベルの文脈処理が欲しいのか」を明確にすると、モデル選択がスムーズになるはずです。

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