Welcome to 澁谷研究室!!【前編】
こんにちは!澁谷研究室へようこそ!!
今回は、アルゴリズムやアーキテクチャなど、情報処理の基礎的な科目を担当する澁谷 利行先生のご紹介です。
【自己紹介】
大学を卒業してから30年以上企業に勤務し、今年の4月から東京情報デザイン専門職大学の教員になります。よろしくお願いします。
出身は群馬で大学、社会人では東京に住んでいます。社会人になってから米国の大学と米国の研究所にも赴任し、計5年間住んでいました。米国の西海岸にはかなり詳しいと思います。
旅行が一番の趣味ですね。ここ1,2年はコロナの影響で旅行を控えていました。そろそろ活動を開始したいと思っています。コロナ前は海外クルーズ船にもよく乗っていました。クルーズ船といっても豪華客船ではなく、カジュアル船に乗っています。たぶん豪華客船には一生ご縁はないかと思います。クルーズ船の旅は、船の中に街がすっぽりと入っているような賑わいを楽しむこともできるし、なんと言っても夜、寝ている間に次の目的地に移動できるので効率的です。カジュアル船だと家族連れで若い人も沢山乗っていますよ。
【研究分野(職業分野)について教えてください!】
スーパーコンピュータのような高性能なコンピュータを作るには、もの凄く高度なソフトウェアが必要だということをご存じでしょうか。例えば、CPUで発生した熱が空冷で期待通りに冷やされているかの検証とか、設計通りの論理回路がLSIチップで実現されているかの検証などはソフトウェアの助けが必須です。
私が研究として最初に携わったのは論理回路をLSIチップ上にトランジスタ回路として並べて、さらに電気的に回路を結線するという作業を自動で行う「自動設計アルゴリズム」というソフトウェアの研究です。やはりこの技術も高性能なコンピュータをつくるのに必須なソフトウェアです。具体的には数百万を超えるトランジスタ回路をLSIチップ内に並べて結線する作業を自動で効率的に行う手順をアルゴリズムとして開発していました。性能の良い自動設計アルゴリズムを考案すると、設計期間が短くなったり、より安くLSIチップが作れるようになったりといった効果があり、やりがいのある仕事でした。
我々が30年前くらいに開発した自動設計アルゴリズムは今でも使われていています。「京」や「富岳」といった世界でも最先端のスーパーコンピュータの開発にも貢献できたことを誇りに思うと同時に、当時の研究開発メンバーやその後も自動設計アルゴリズムの性能を維持してきてくれた開発メンバーにも感謝しています。
最近では自動設計アルゴリズムも含めたAIや数理最適化技術を応用して、製造、流通などの産業を効率化する研究へと分野を広げています。DX(デジタルトランスフォーメーション)という言葉を最近耳にするかと思いますが、デジタル化によって労働生産性を欧米なみに高めようという動きが日本でも活発化してきており、アルゴリズム、AI、数理最適化は今後さらに重要になると考えています。
【その分野を目指そうと思ったきっかけはなんですか?】
大学4年の時の研究室で自動設計アルゴリズムの研究をして、その面白さに、はまりました。大学2年の時からプログラミングのアルバイトを始めており、そのお金で当時としてはかなり高価なPC98を購入し、自宅で請負のプログラミング開発も行っていました。
開発のスピードも早かったので、コスパ最高!(注:当時はコスパなる言い方はありませんでした)とか思いながら、プログラミングには、そこそこ自信を持っていました。しかし、研究室でアルゴリズムの基本から叩き込まれて、自分の無知さ加減に呆れるとともに、アルゴリズムの凄さに魅了されました。
また、世の中には最高性能のコンピュータを使っても簡単には解けない問題が沢山あり、その問題を効率的に解くためのアルゴリズムが研究によって日々進歩していることを知り、私もアルゴリズムに関する研究を企業でも続けていきたいと考えました。
幸い企業に入っても自動設計アルゴリズムの研究を続けることができました。LSIチップのプロセスは2年毎に新しいものに変わっていたので、次から次へと新しい課題が生まれていました。どれも難しい課題ばかりでしたが、やりがいのある仕事でした。また多くの難しい課題を経験することによって、自分の自動設計アルゴリズムや数理最適化技術が磨かれたのだと思っています。
今回の前編はここまで!
次回は後編をお届けします♪