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腐った道の、その先に
腐女子です。
リアルでは明かしたことがないけれど、それなりに歴長めの腐女子をやっています。
……25年強くらい。
やだ、もう女子通り越してんじゃん。
貴腐人?
いやいや、わたしは心に貴婦人を飼うことにしてるので、音が被るのはよくない。
「心に貴腐人を飼うことにした。」と「心に貴婦人を飼うことにした。」、音は同じだけど全然違う!
貴腐人がうっかり顔を出したら大変なことになってしまいます。
待っているのは、社会的死。これはよくない。何か他の名を考えねば。
あっ、腐婆婆! 腐婆婆はどう? 語呂もいいしさ。
めぐみティコというのかい?
贅沢な名だね。今からお前の名前は゛だ。
いいかい、゛だよ。わかったら返事をするんだ、゛!!
って怒られそうだけどこれでいこう。
腐婆婆です。
わたしとBLの出会いは、今から25~26年ほど前。
市立図書館のティーンズ向け文庫の棚でのことでした。
当時のわたしは小林深雪先生、折原みと先生などの、ローティーンの妄想をそのまま小説にしたような、砂糖でできたお菓子をはちみつでコーティングしたラブストーリーを好む、田舎の芋系女子小学生でした。
いつかこんな恋をしたい、なんて思ってときめいていたのです。
あの頃の自分に言いたい。
そんな恋はこの世に存在しないよ。
今も愛読している十二国記と出会ったのも、同じ棚。
当時は講談社ホワイトハート文庫として刊行されていたのを思い出します。
図書館に日参し、好きな作家さんや好きなシリーズの本をあらかた読み尽くした頃。
次何読もうかな、と何気なく手に取ったのがあさぎり夕先生のコバルト文庫でした。
家に帰っていつものようにベッドに寝っ転がり、軽いテンションで読み始めたのが運の尽き。
いや、もうさ、衝撃だよね。
見目麗しい殿方がふたり、くんずほぐれつ、ちちくりあってあんなことやこんなことになっているなんて。
しばらく現実(小説の世界だけど)を受け入れることに時間がかかりました。
それまでのわたしは、謎にちょっぴり引っ込み思案な可愛い女の子と、運動もお勉強もばっちりでリーダー気質の男の子の、してもチウまでのお話しか知らなかったんだから。
女の子と男の子以外の組み合わせで、恋愛関係になるなんてことも知らなかった。
チウの先があることも、なんとなく勘づいてはいたけど、ほんとには知らなかったのです。
それを、あさぎり夕先生のBLに教わった。
ここからわたしのお腐れ人生はスタート。
二次創作腐女子のお姉さんがいる友達が、とっくに腐っていたことを知り、こんな楽しい世界を知っているのになぜ誘ってくれなかったのだろうとちょっとした嫉妬も感じつつ、彼女からアンソロ本(あんなものが一般書店に売られていた時代どうかしてる)を借り、封神演義の二次創作に目覚めました。
ちなみに太公望でも楊戩でも普賢でもなく、天化×コーチに沼ってた。
男同士の恋物語からしか得られない栄養があり、それ無しでは生きていけない体になってしまったのでしょう。
BLはある種の完全栄養食です。
もう一生恋なんてしなくていいから、見目麗しい殿方同士のあんなことやこんなことを密かに覗き見ていたい、と切望するようになっていました。
新刊が出るたびに、小林深雪先生にファンレターを書いていた純情芋系女子小学生から、鼻息荒くあさぎり夕先生を読み漁る、芋系腐女子小学生に華麗なるクラスチェンジを遂げたのです。
中学生になり、ティーンズ向け文庫は卒業しましたが、そのころには芯まで腐りきっていたので、純文学を気取りつつ長野まゆみ先生に傾倒。
お耽美世界にクラクラしながら、宮沢賢治にBLの香りをかぎとり、稲垣足穂の世界に目眩を起こし、仮面の告白に行きつきました。
親や国語の先生は、わたしのことを早熟で熱心な読書家だと思っていたようですが、お腐れ街道を爆進していただけでしたごめんなさい。
もしこれを読んでくれている方の中に、中学生の娘さんが仮面の告白を読んでいるという方がいたら、腐女子を疑った方が良い。
その後高校デビューをもくろみ、「BLとかわかんなぁい♡」ってキャラを確立しようとあれこれ奮闘していましたが、結局37になる今も、腐ったままのわたしでいます。
わたしのコミックシーモアとめちゃコミックの購入履歴は、ほぼ全てがBL漫画。
人間、一度腐ってしまったら、腐っていなかった頃には戻れないんだなぁと実感している次第です。
腐った道のその先に、何があるかはわかんないけど、もうひたすら進み続けるしかないよね。
人生開き直りが肝心です。
わたしが死んだら、棺桶にはしっけ先生とユノイチカ先生の漫画を入れて欲しい。
わたしをこの道に引きずり込んだ、あさぎり夕先生と市立図書館に敬意を表しつつ、最後に一言。
税金でBL小説買うなよな。
参加しています。29日め。
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