柑橘系と薬の事
この薬飲んでいるとこれを食べてはいけないという食べ合わせの悪い物があるというのはなんとなくご存じだろう。納豆とワーファリンだとか、グレープフルーツと血圧の薬とか。気になる人は気になるようで、「グレープフルーツはダメだけど、これは大丈夫?」と気になさる方はいる。
私は柑橘系に詳しいわけではないのでいきなり「絹皮は大丈夫ですか?」とか「スウィーティは大丈夫ですか?」とか「タンジェロは…」なんて聞かれても、「少々お待ちください、ダメな成分が含まれるかお調べしますね。」としか言いようがない。何ならタンジェロに関しては「それは…そもそも柑橘系なのか?」から始まった。許してほしい。そもそも「いやぁ、柑橘系は温州ミカン以外はすべてだめですねぇ。」なんてぶった切ってしまうほうが楽は楽なのだ。最初は私もそうしていた。しかし、一度あまりにも悲しそうな顔をされた方がいらっしゃった。「ゆずが好きなの。ダメかしら?」よく聞けば食事にもよく柚子を使ったり、柚子胡椒はおでんの最高のアクセントだったり。ここで私が「柑橘系は避けてください。」とぶった切ってしまったら彼女の食生活はどうなるのだろう。急にそんな風に気が付いてしまった。
私は前述したとおり真面目系クズなので料理は基本避けたいと思っている。しかし、美味しい料理が自分の心を救う事を知っている。悲しそうなそのご婦人の顔に、慌ててポケットに入っていたスマホでググれば柚子は問題がないらしい。それ以来これはと聞かれるたびに「なんだそれ!?」となりながらも調べた。
調べているうちに知ったのは学生の頃はその成分はグレープフルーツに含まれると教わったそれが、実はザクロやらパセリ・三つ葉にも含まれているという事だ。逆に柑橘系でもバレンシアオレンジやマンダリンオレンジ・日向夏はその成分を含まないという事。「いやぁ、柑橘系は温州ミカン以外はすべてだめですねぇ。」という指導がいかに雑な指導なのかと後頭部をバットで殴られたような衝撃を感じた。
とはいえ私は真面目系クズ薬剤師だ。一個一個これは大丈夫だがこれは問題ないですなんて説明はできない。そもそも奪うように薬を受け取っていく人もいる。聞かれない限り「グレープフルーツなどの柑橘系は避けてくださいね。」としか言わない。もしどうしても食べたい柑橘類があるならぜひ薬剤師に聞いてほしい。
とはいえ、悲しいことに「いやぁ、柑橘系は温州ミカン以外はすべてだめですねぇ。」と説明される可能性は大いにあるが。
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