見出し画像

リング【Part.3】

新たな仲間!!

次の日から、主力での活動が本格的に始まった。
実は言おうか迷っている悩みがあるんだ。
それは両親に私がリングを始めたと伝えるかべきか。二人は県外で仕事をしている。私が巻き込まれたと言えば、仕事を辞めちゃうかもしれない。
それは嫌だ。私がそう打ち明けると零さんは言ってくれた。
「踊がそうしたいならそうすればいい。一人っ子なんだろう?」
私は俯く。正直、家には戻りたくない。パパとママは私がここで戦闘するのを反対するかもしれない。でも、攻略部で、仲間と戦いたい。
「ま、俺は反対けどな」
「えっ?」
零さんの初めて見せたお茶面は表情に私は決心する。
もうちょっと、先に伸ばしたほうがいいんじゃないかな。今は楽しみたい。
「両親に知らせるのはまた今度にします!」
ニヤッと笑うと零さんはパソコンをもって立ち上がる。
「夕食、まだなんだろう?奢ってやるよ」
「え?いいんですか!」
「歓迎パーティってやつだ」
あれ?でも、私、この部に来てからもう1週間たってるよ?
私が食堂に行くと…!
ツインテールの女の子が恥ずかしそうに立っていた。
べっこうカラーの丸メガネをかけていてすっごく可愛い。
なんだか見たことあるような…?あっ!
「あっ!踊ちゃんだよね?あ、ごめん!ちゃん付けしないほうがいい?」」小野魔由ちゃんだ!ちゃん付でもいいよね?
アバターと本物がそっくり!って、当たり前なんだけど。
「小野魔由ちゃんだよね?やっぱり!もちろんちゃん付でいいよ!
っていうか、誰にも言ってなかったのに。なんで…」
私がチラリとみんなの方を見ると零さんと霧崎さんが視線を合わせる。
「零さんがお父さんに頼んで、僕が交渉したんだ。リーダーだからね」
「え?でも、魔由ちゃんのことは誰にも言ってなかったのに…」
「俺を誰だと思ってる?一人や二人の戦闘履歴ぐらいすぐ見られるよ」
あ。確かに零さんはレイ・グラスのおぼっちゃまなんだもんね。
戦闘履歴ぐらい見れてもおかしくないのか。ついでにメールも…?
「メールは流石に無理だけどな。手続きがいる」
「み、見れるんですか?」
「まあな。ハッキングした方が早いけどな」
ひええっ!そんなに恐ろしいことサラリと言わないでよ!
私はヘナヘナと座り込んでしまった。
「あ!踊ちゃん?大丈夫?クッキー焼いてきたの。食べない?」
私は席に座らせられるとクッキーをひとかじり。すごく美味しい!
私たちはワイワイと夕食を食べた。魔由ちゃんの学校は閉鎖中なんだって。
リングの影響はやっぱり色々なところに広がってるんだ。

夜一さんのそっくりさん?


パッパラパー‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎

わわわわ!なになになに!
私はすっごい音で飛び起きた。
「あ、起きた?」
「れ、零さん!なんですか?今の!鼓膜破れるかと思いました」
「踊、朝起きれないタイプだろ?だから起こしてやってんだ」
「もう!せめてフルートとかにしてくださいよ!
なんでトランペット大音量で吹くんですか!」
そう。何を隠そう私の部屋の前にはトランペットを持った零さんが立っていたのだ。まあ、チューバとかじゃないだけマシかな?低い音はもっと迷惑。
「フルートだったら起きないだろ」
「で、でも他のみんなも起きちゃいますよ!」
「大丈夫。ここの廊下の壁、全部防音だから」
え?私が壁を見ると茶色のタイル壁からツルツルした壁に変わっている。
あれ?最初来た時、ここの壁ってこんなんじゃなかったよね?
「いつ張り替えたんですか…」
「昨日」
き、昨日って!
「早くこいよ」
そういうと起こしにきた張本人はサッサと部室に行ってしまった。
って!そうだ。
私は今リング攻略部にいるのを忘れてた!急がなきゃ!
朝のミーティングに遅刻しちゃうよ!!
と、ふと私の頭に疑問が浮かぶ。
なんで零さんは私が朝に弱いこと知ってるんだろう…?
「お!踊も遅刻っすか?仲間っすね」
「あ!夜一さん!遅れますよ!」
「大丈夫だよ。あと5分あるから。八高さんの時計壊れてるんじゃない?」
え…
なんかいきなり夜一さんの喋り方が変わったんだけど。
「はは!最高だね。遅れるよ!」
そういうと夜一さん(???)は部室に入って行った。
私も部室に入ると夜一さんと霧崎さんが挨拶してくれた。
「おはよう踊さん」
「踊、おはようっす」
「おはようございます。あの、ところで」
「起立礼着席。ほら座れ、そこいつまで立ってる」
わわっ!注意されちゃったよ。めちゃくちゃ恥ずかしい。
というか、零さんの号令早すぎない?
まあ、言ったら怒りそうだから黙っておくけど。

そしてミーティングが終了。授業もあっというまですぐに放課後になった。
「あの、夜一さん。朝、夜一さんのそっくりさんに会ったんですけど…」
「それ俺のことね」
急に夜一さんにそっくりの男の子が割り込んできた!
「あ、あれ?夜一が二人いるよ!」
霧崎さんも割り込んできた。
「俺は小鳥遊茜。中2。夜一の弟。
女の子っぽい名前なのは親がミスっただけだからね!」
私と霧崎さんの不思議そうな顔に気が付いたのか、茜君は付け足す。
いい名前だと思うけどなぁ。
というか…
「二人ってそっくりですね!」
そう!
どうやら茜君は背が高いらしく、背の低い夜一さんと同じぐらいなんだ。
それに顔も似ているからそっくり!性格はちょっと違うけど。
「ま、双子だからね、二卵性の」
「双子じゃないっす。年が4つ離れた双子なんて聞いたことないっす」
まあ、確かに。年が4つも離れていちゃ、双子じゃないね。
「おい、踊。なんかメールが届いてるぞ」
え?私がリングを見ると確かにランプが点滅していた。
「あ!」
「どうしたの?踊さん」
「いや…あの」
「管理者チオ?だれそれ?知り合い?な訳ないか」
私のリングの画面を覗き込んだ茜君が不思議そうに言う。
「みんなは知らないんですか?リングの新規参加者の対応をしているらしいんです。私が始めた時に現れて頭脳戦のサポートをしてくれたんですが」
「管理者が頭脳戦のサポートっすか?そいつ敵っすか?」
確かに不思議だよね。
敵なのにこっちを心配して頭脳戦の手助けまでしてくれるなんて。
「ええ?踊さんってリングが届いた日にBランクの敵と頭脳戦したの?
毎日新規参加者リストを見ていたから僕も手伝えたのに…」
「え?霧崎さんって毎日新規参加者リスト見てるの?すごいじゃん」
「というか、霧崎と踊って前に会ったことあるっすか?」
確かに。霧崎さんってなぜか私のことをよく知ってるんだよね。
前にも会ったことあったっけ?
「うーん、踊さんは覚えてないと思うよ。小学生の時だし」
「え?小学生ですか?何かありました?」
そこまで言って私はハッと気がついた。
小学生の時、転校生が来たんだ。その子は名前が変でいじめられかけてた。でも、すっごい優しかったからクラスのみんなもすぐに慣れて…
「もしかして!小学校の時の!」
「そうそう!思い出してくれた?
僕がいじめられそうになった時、君が止めてくれたんだよ」
「え?私そんなこと言いました?」
「確か『私の友達もからかわれたことあるけどいい人だよ。
わからないのになんでいじめるの』って言ってたよ」
わぁ。自分が言った言葉を覚えてくれている人がいるっていい気持ち!
でも、私の友達にからかわれていた人っていたかな?
心当たりはないけど、まあいっか。
「へえ。お前ら小学生の時から知り合いだったのか」
「「はい」」
「お、大変っす。零さんが嫉妬鬼になるっすよ」
「誰が嫉妬鬼だ!それ言うなら夜一はからかい鬼だな」
「いいじゃん。からかい鬼。兄さんにピッタリ」
「もう、二人揃って何っすか!」
普段からかい役の夜一さんがからかわれるなんて珍しいな。
零さんなんてニヤニヤしてるよ。黙っておくけどね!

堕天使とのバトル⁉︎

次の日、cp100を稼いだ後、私たちは街に出かけていた。
零さんはお父さんに呼ばれたらしく外出していた。
「あ!ごめんなさい!」リング関連の看板を見ていた私は誰かにぶつかる。
「あ、いえ。考え事をしていた僕も悪かったです。大丈夫ですか?」
尻餅をついた私を起こしてくれたのはサングラスをかけた男の子。
帽子を深く被っている。前髪がサングラスの下で左目を隠していた。
「あ、踊さん!大丈夫?」霧崎さんが声をかけてくれる。
「じゃあ」男の子ははにかんだように笑うと行こうとする。
「あぁ!」
「どうしたんですか、夜一さん?」
「人混みで気づかなかったんすけど、樋浦ママからメールが来てるっす」
「レイ•グラスの社長から?」
一際大きな声を上げたのは男の子だった。
「「「え?」」」私たちは一斉に男の子の方を向く。
「君もリングプレイヤー?よかったら一緒にプレイしない?」
男の子は少し躊躇った後コクリと頷く。
「あなたたち、リング攻略部の人だよね?」
なんで私たちがリング攻略部の人って知っているんだろう?
攻略部って公になってるのかな。普通は知らないと思うけど…
サングラスの下で男の子の右目がきらりと光ったような気がした。

「ふーん。リングプレイヤーを街中で拾ってきたのか。いいぞ」
帰るとすでに零さんも戻ってきていた。
零さんの許可がおり、男の子は私たちと一緒にプレイすることになった。
ちなみに、メールの内容は謎モンスターが
白嶺の惑星で発生しているので調査してほしいとのこと。
「あ、帽子は取ったらどうっすか?室内っすよ」
夜一さんが男の子の帽子を取り上げる。
すると…なんと!ひとまとめにした髪が帽子の下から現れた!
もしかして…
「あーぁ。バレちゃった」
彼がサングラスを取り、前髪をかきあげたら、出てきたのは女の子の顔!
どうやら男装していたみたい。
「あなたたちのことは週刊リングで読んでるよ。さ、戦闘しよ?」
「え、でも…」
「自己紹介とかいらないやん。戦闘すればわかるんだし」
リングはアバターの上に名前が表示される。だから確かにそうなんだけど。
ちょっと関西弁のイントネーションが混じる口調。
あんまり関西弁って聞かないから新鮮だなぁ。
「じゃあ、僕が抜けるっす」
「了解。マップはどうする?踊」
「えーっと、じゃあ目的の白嶺の惑星でいいですか?」
私は男の子じゃなかった、女の子を見る。
「いいよ。楽勝」
謎モンスターがいるのに気が強い。私たちは早速マップにアバターを突入。
「ここの敵は確か…」
「白髭のドラゴンがボス、あとはスナップ星。雑魚」
ええっ?この子、モンスターのこと暗記してるの⁉︎すごすぎるんだけど。

しばらくマップを進んでいるとスナップ星が5体現れた。
私たちは遠距離攻撃で敵の体力を削る。
私の攻撃で500、霧崎さんが840、零さんは一体撃破した。
この時、私のアバターにスナップ星が接触。通常戦が始まった。
攻撃順は零さん、女の子、霧崎さん、私、スナップ星4体。
よかった少しだけどレベルを上げた甲斐があった。
でも、この女の子、霧崎さんよりも素早さが高いんだ。
私はアバターの上の名前を確認してびっくりした!
なんと名前は『片鈴雷射』と表示されていたんだ。
前、ランキングを見た時、上位3人は記憶してたんだ。
その時、1位は『宝来翠智』2位は『樋浦零』さん3位は『片鈴雷射』。
ということはこの人はランキング3位ってこと!すごすぎない?
「その様子やと、ランキング、気が付いたっぽいね。
改めて自己紹介。私は片鈴雷射。小学4年生。よろしく」
ニヤリと雷射は笑う。
「呼び捨てで呼んでね」
「お前が3位のやつか。俺は樋浦零。まあよろしく」
「僕は霧崎ペル。苗字で呼んでね。よろしくね」
「私は八高踊。よろしくね」というか、この子めっちゃ背高くない?
中1かと思ったもん。まさか小学4年生だなんて。
でもリングは強制参加を強いられるゲーム。
小学生も100歳のお年寄りの人もいたっておかしくはない。
「八高さんってさ、私の知り合いによく似てんね」
「え?ホント?」
「男の子で、私が小3でリングプレイし始めた時、公園であったんだ。
中1で不登校やって言ってたよ。今は知らんけど」
中1で不登校か。なんだかどこかで聞いたことがある気がする…
確か、私の家族に、いや…
「おい!踊!早く決めろ。お前のターンだぞ」
はっ!しまった。
えっと、私は慌てて戦闘ログを確認する。
零さんが白明鴉弓で一体撃破、雷射も一体撃破、霧崎さんは鳥召喚を。
ちなみに雷射が使ったのは鎌切り。遠距離攻撃でも使える技。
ふむふむ。やっぱりランキング上位は攻撃力も半端ないね。
残るは2体。1体は残り体力500、もう一体は780。
500の方を狙おうかな。でも雑魚だしデスダンを使ってみようかな。
範囲魔法っぽいもん。3Dはなんとなく嫌な予感がするんだ。
あ!やばい。思考時間があと30秒しかない!私は急いで決定ボタンを押す。
【1ターン目:踊のデスダンの攻撃!
漆黒の霧は全員の体力を500吸い込み、スナップ星に襲いかかった!
スナップ星:消滅 零•雷射•霧崎•踊[45000/5000](−500)】
「八高さんの攻撃、威力すごいね」
私は呆然とする。体力を500吸い込んで攻撃ってデメリットがありすぎる。
「ここは敵の勢力が増して危ない!逃げるぞ!」
【フィールドが腐食化!S +ランク堕天使が地のそこから復活した!】
S +ランク?それってSランクより上ってこと?大変だ!
一番上のランクだもん!モチツネはBランクだからもっと強いんだよね⁉
でも、私たちは堕天使に取り囲まれてしまった。
「八高さん!右は人魂!逃げるよ!」
雷射の声に私はハッとする。人魂は一番弱い敵。なんとかなるかも!
「夜一!急いでレイ・グラスに連絡しろ!」
「はいっす!」夜一さんが急速でパソコンを打ち出す。
緊急事態なのがわかる。空気がピリピリとしてきた。
人魂を蹴散らし、堕天使の輪から脱出したところにはさらに2体堕天使が!
私たちは接触してしまい、バトルが始まった。
攻撃順は零さん、堕天使①、雷射、堕天使②、霧崎さん、私。
零さんがバースト300%を私に使ってくれる。
超激レアアイテムだ。でも今はそんな場合じゃない。
堕天使①に攻撃された霧崎さんを雷射が回復する。
堕天使②は私に攻撃をしてきた。でも今の私はレベルが300倍なのでダメージは400。霧崎さんが攻撃するけど堕天使の体力は300しか減らない。
これじゃあ、ダメだ。
「踊さん!君は逃げて!」
「一番レベルが低い踊さんは逃げた方がいい。ゲームオーバーになるよ」
「踊」…みんなの忠告はあっている。
バーストがあるとはいえ、いつまでも持たない。でも、私は…!
【1ターン目:踊は3Dを使った!
魔の領域召喚扉から無数の手が伸び、堕天使2体を捕まえる!
堕天使2対は極限の怯えにより戦意喪失。
無数の手はもう一体の生贄を探している!
差し出すプレイヤーをルーレットで選択してください】
え…嘘。生贄ってゲームオーバーっていうこと?
しかもこのパーティの中から?
私と零さん、霧崎さん、雷射の名前がルーレットの中でグルグルと回る。
「踊さん、大丈夫だよ。だれも怒らないよ」
「俺も構わないよ。多分神経機能オークションに出品されるだけだよ」
「踊、今だ!運がいい俺が言うんだ、いい結果になるさ!」
プレイヤーを選ぶんだからいい結果になんてなるわけじゃない。
でも、零さんだってみんなだってそれを承知で励ましてくれる。
私はルーレットの決定ボタンを押した。
対象人物は…え?なにこれ?表示された名前は幽霊ちお。
こんな人、いた?戦闘に参加しているのは私たち4人だけのはずなのに。
「この人、ランキング5位の人ですよね?」
「うん。でもなんでこの人の名前が…?」
戦闘に参加していなかたった人(幽霊)の名前がなんでここに?
不思議に思いつつも私たちはマップから抜け出した。
「ちょっと、みんな見て!」
その時、急に声を上げた雷射が私たちにリングの画面を見せる。
全員に堕天使撃破の報酬にイベント参加券 白という物が配布されていた。
この参加券は2枚で1人白のイベントに参加できるらしい。
「これって…」命の危険があるんじゃ…。私は自分の言葉を飲み込む。
それは、今も先も変わらない。リングがある限り。
「とりあえず、レイ・グラスに確認を取る。勝手なことすんなよ」
零さんの怖い顔に私たちは一斉に頷いた。

なかがき

さあ、いよいよリング攻略部が始動し始めました!
イエーィ!
続いては白のイベント。
参加するのは誰なのか?一体全体どんなイベントなのか?
気になる方はコメントくださーい!

continue………

いいなと思ったら応援しよう!

みった/
よろしければサポートお願いいたします! いただいたサポート金は作家となった時の貯金として使わせていただきます!