どうかわたしにスープを飲ませてください
誰だろう?誰かに見られてる。おかしい。ゾクゾクする。
男だ、と思う。わたしは女だから、見ているのは、たぶん。
わたしは、うつくしくない。いわゆる美人さんではない。
わたしは男に見られることは少ないのだ。だから、
誰だろう?誰だろう?ゾクゾクする、
どうしよう、あなたはだれ?と聞いてみようか。
答えてくれるかな。答えてくれるかな。いたずら電話
かけてくれるかな。くれるかな。
なんて答えようか。どうして、
うつくしくもないわたしを見ているのか。なぜ見ているのか。
おしえておしえておしえておしえて
おしえてほしい。どうしてわたしを見ているのか。
そしてスープを。
スープを飲みましょう。わたしはお腹が空きました。
スープをスープをスープを
これは一体なんでしょう。なに?わかんない?これはスープです。
どうかわたしにスープを飲ませてください。
えいようえいようえいようのある
困りました。わたしはあなたをあいしていません。
でもたぶんセックスはできます。できます。できます。
でもしないと思いますたぶん
いますぐでないと。いますぐでないとだめです。
でも困りました。だから頼まないでくださいね。
スープを飲みましょう。えいようのあるスープを。
ところであなたはだれですか?良く知ってるひとですか?
知らないひとですか?アフリカのひとですか?ちがいますか?
こんどはだいじょうぶ、スープを飲みましょう。
えいようのあるスープを。
あなたもわたしをあいしてません。でも見たい?見たい?
そう、見せてあげる。ちょっと待ってね、
そしておいしいスープをえいようのあるスープを
うつくしくないわたしと
知らないあなたと
ふたりで
おいしいね
初出 現代詩フォーラム 20040417
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