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ボンバーマン
久し振りに「ボンバーマン」をプレイした。
「このゲーム、おもしろいんだよ」
そう言っていた君は、もうここにはいない。
最近、なぜか急に思い立って、君との思い出を振り返っては、古傷がうずくのを感じている。
「ここに爆弾置いとくと、敵が勝手に吹っ飛んでくれるから楽なのよ」
そう言って、僕を吹き飛ばしてはガハガハ笑っていた君は、今どこでだれといるんだろう。
「あ、ボムキック使ってるの?私、一回も出てないのに」
「これが勝者のやり方だよ」
「いいえ、ただのクズ、チート使いのやり方よ」
「は?チートなんか使ってませんが?」
「いや、チートでしょ。白状しろ、コノヤロー」
そう言って、僕の肩をゆする。
そして、僕がゆらゆら揺れてるのを見て、ゲラゲラ笑う。
君はゲラだったな。そういえば。
「そんなに強いなんて信じられないんだもん」
君は少し拗ねたように言って、でもその後すぐに笑顔に戻った。
君がこの部屋からいなくなってから結構たつ。
「あの頃は楽しかったな」と口に出してみるが、その言葉は空しく響くだけだ。部屋の隅に置かれたゲーム機は、何も答えてくれない。
ボンバーマンのキャラクターが画面上で爆発する度に、君の笑顔や声が鮮明に蘇る。
「また一緒にゲームしようよ」
そう願っても、もう君には届かない。今頃君は、どこかで新しい仲間と笑っているのかもしれない。それでも、僕の心の中には、君との楽しい日々がいつまでも色褪せずに残っている。
そして今日も一人でボンバーマンをプレイする。君が教えてくれた戦略を思い出しながら、君の代わりに敵を吹き飛ばす。
君がいたあの時間は、もう戻らない。でも、君との思い出は僕の心の中で生き続ける。