H.M.S. Repulse 1941 英国海軍巡洋戦艦レパルス制作記 #1 (Tamiya 1/700 waterline kit)
1.はじめに
1-1.巡洋戦艦レパルス
1914年から建造の始まったR級(リヴェンジ級またはロイヤル・ソブリン級)は、第一次世界大戦の開戦により5隻が建造された時点でキャンセルとなり、その予算と資材を利用してフィッシャー提督は、タイガー以降建造が途絶えていた巡洋戦艦の建造を新たな発想で計画し建造に取り掛かりました。R級用として用意されていた15インチ(38.1cm)砲を3基6門搭載し、バルト海での海戦を想定して吃水を浅くし、全長242m、速力30ノットという、「戦艦並みの攻撃力があり、防御力の不足は速力で補う」というフィッシャー提督の思想を体現化した巡洋戦艦「レナウン級」の誕生です。R級の命名方式を引き継いで1916年8月に二番艦レパルスが先に竣工し、遅れて9月に一番艦レナウンが竣工しました。三番艦としてレジスタンスも計画されましたが未成艦となっています。
レパルスは竣工後すぐにグランド・フリートとして出撃し、第二次ヘルゴラント湾の戦いでドイツ艦隊と交戦し軽巡洋艦ケーニヒスベルクに命中弾を与えて大火災を引き起こすなどの成果を上げました。
大戦後の1918年12月~20年10月に対砲弾防御を主とした第1次改装を行い、1933年4月~36年5月に水平防御強化、航空兵装装備、対空兵装増強などの第2次改装を行いました。
第二次世界大戦が始まると、ドイツの通商破壊作戦に対応して北海から南アフリカまで広く大西洋上で船団護衛の任務に就いていました。1941年5月のビスマルク追撃作戦では、キングジョージ五世やビクトリアスと共に追撃に参加しましたが、燃料不足により途中離脱しました。
同年8月の南アフリカでの任務ののち東洋艦隊に配属され、インド洋での船団護衛を経て11月末にシンガポールに到着しました。しかし、12月8日に日本軍のマレー侵攻作戦を阻止するべくプリンス・オブ・ウェールズと共に出撃したレパルスは、10日に九十六式陸上攻撃機と一式陸上攻撃機の爆撃及び雷撃により海中に没してしまいました。
RenownとRepulseの日本語表記については、「リナウン」「リパルス」と表記されることがありますが、馴染みのある「レナウン」「レパルス」で表記しています。
1-2.使用キット
タミヤ 1/700 ウォーターラインシリーズ No.617 イギリス海軍 巡洋戦艦 レパルスです。キットは、マレー沖海戦における最終時をモデル化しています。レパルスは第2次改装後も何回か改修を行い、主に対空兵装が変更または増強されました。東洋艦隊としてアジアに向かう前の1941年8月にも改装が行われていたので、ビスマルク追撃戦時の5月の姿にするには、機銃を減らして最後の改装の前の状態に戻す必要があります。
ディティールアップ用のアフターパーツとしては、トランぺッター用のFLYHAWKエッチングパーツ(EP)を主として使用し、対空兵装はFLYHAWKやFineMolds、通風筒などはレジン製のHEAVY HOBBYの各製品を使用しました。
また、艦船模型スペシャルNo.80 2021 SUMMER 女王陛下の戦艦、世界の艦船 2020年9月号増刊 第932集(増刊第175集)傑作軍艦アーカイブ10 英巡洋戦艦「フッド」「リパルス」「リナウン」2020とKagero社のSuper Drawings in 3D "HMS Repulse", Stefan Draminski, 2009を主な参考資料としています。
2.艦体の制作
2-1.艦体のパーツ
艦体のパーツは左右分割で、甲板部も3分割されたパーツ構成となっています。艦体パーツには、第1次改装で増強された舷側の装甲板(A)と水上魚雷発射管8門(B)、鋼材の継ぎ目や1940年5月に敷設された舷外電路(C)がモールドされているのでまったく問題ありません。
まず、舷窓を開口しました。舷窓は今までピンバイスを折らないように注意しながらねちねちと半日以上かけて開けていたのですが(それでも2本ほど折ってしまっています)、先日たまたまダイソーで0.5mmのミニルーター用のドリルを見つけたので、フレックスシャフトを接続したドレメルのルーターに差し込んで使用したところ、10分くらいですべての舷窓を開けることができました。余力があったので艦橋等の中央構造物の舷窓も追加して開口しました。
もう少し短かいと目的の場所に当てやすかったのですが、軸が太いのでしっかりと固定でき、ドリルの硬度もあるのでぶれることもありませんでした。以前から販売されていたそうですが、もっと早くに買っておけばよかったです。(追加で購入しようとしたらもう売っていませんでした。残念!)
2-2.木甲板
上甲板の木甲板部分は自作のクラフト紙木甲板を貼るので、通風筒などのモールドをすべて削除しました。甲板を艦体と接着する前に、甲板の形に合わせてクラフト紙を切断しておきます。甲板が別パーツだとこの作業がとても楽です。ついでに艦橋甲板も切り出しました。写真は接着前の仮置きの状態です。
ちなみに、新造時は上甲板はすべて鉄甲板で、第一次世界大戦後の1923年ごろに木甲板化されました。
2-3.艦底の接着
いつものように艦底のパーツにビス止めできるよう、ナットを艦底パーツに貼り付けましたが(A、B)、後部(B)は吃水が浅くビスは短めにしないと後部甲板を押し上げてしまうので注意が必要です。ビス止めの位置をもっと中心部に持ってくればその心配はないのですが、艦底接着後に反りが生じないようにするため間隔を広く取っています。
艦隊の左右パーツ(A1、A5)は、補強パーツ(A2、A3、A4)を使用して艦底に接着します。ピタッ・パチッとして欲しいところですが、若干の歪みが生じてしましました。特に艦首左舷に左右パーツの継ぎ目部分が目立ち、継ぎ目消しの補修が必要となり、せっかくの鋼材の継ぎ目のモールドを犠牲にしなくてはなりませんでした。
2024年5月制作開始
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