ある人物を描くにあたって、義手について調べることになった。
義手という言葉から最初に思い浮かべるのは、リメイク版『ロボコップ』の1シーン、ノートン博士によって開発された義手をテストするシーンだ。
この映画では、博士の開発した義手は感情によってデバイスが制御され、本物の指と同じように動かすことが可能になるという。
フィクションにおいては、脳と手を直接リンクさせることが可能であり、かなり自由に多様な操作をさせることも容易に設定できる。
では、現実の義手はどのような性能なのだろう。
最近のニュースを見ると、義手には「筋電義手」というものがある。筋肉の収縮によって生じる微量の筋電位を利用して動作する電動の義手のことらしい。腕の筋肉に取り付けたセンサーから電位を読み取り、そのパターンで手を握ったり、手首をひねったりする動作ができるのだ。
内閣府の調査によると、日本国内での義手の使用者は18歳以上で8.2万人、そのうち86%は実用的な動作ができない装飾義手であり、筋電義手を使っているのは2%程度に留まるそうだ。(引用:ALTs『日本の筋電義手の普及』)
恐らく、未成年も含めたら、全体の義手使用者の数はもっと多いだろう。
生まれつき腕に障害のある女の子の様子を見ると、筋電義手の訓練やパーツの付け替えなど、そこにもさまざまな工夫があることが窺える。
筋肉の電位を使っているとはいえ、脳と直結しているのではないため、本物の手や指と同じようにスムーズに動かせるわけではないし、生活の中で使いこなすのにも大変な訓練が必要なのだ。
海外でも、筋電義手の使用者が動画をたくさんアップロードしていて、それぞれの幻肢痛ならぬ“幻肢感覚”について話していたりする。
『メタルギアソリッドV ファントム・ペイン』などのゲームでも義手は扱われているので、そうしたゲームのプレイヤーの視点でも義手について語ってくれるのはなかなか貴重な機会のように思う。
「スマートフォンのアプリで義手を調整できる」というのは面白い話で、とても現代的だと思う。
これから描く人物も、義手についてきちんと描くなら、最新の義手事情をふんだんに盛り込んで、多くの人にも理解してもらえるようにしたい。