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天国に行ける者
日本では美味しいものがたくさん食べられる。
ハンバーグも、ステーキも、カレーライスも、ラーメンも、寿司も食べられる。
ところが、ある宗教の人々は動物の血を口にしたりはしてはいけないし、ヒレや鱗のない魚介類は食べてはいけないという。
なので、血の滴るようなレアステーキや、アワビやウニやカニやカキなども食べられない。
日本の仏教徒も、昔は肉食を禁じていたりしたことがある。
なので、美味しい肉料理などは食べられなかった。
しかし、今はわりと日本のどの仏教でも肉は普通に食べられているし、それを細かく禁じたりしていることもない。
これは今の宗教が緩くなった、とかそういうことではない。
世界中にはたくさんの宗教があり、そこでそれぞれの世界観を持って戒律などのルールを守る人がいるし、時代や地域で信じ方が変わればそのルールも変わってくることがあるだろう。
しかし、もしある宗教の信徒が、神様と約束してバチバチに守らなければいけないルールを持っているとしたら。
それが、もし破ってしまったら死後に地獄行きになるくらい重い戒律だったとしたら。
そうでない人からしたら普通の生活でも、その信徒にしてみたら交通事故に遭うこと以上にビクビク警戒して過ごすことになるだろう。
例えば、「異性に触れたら地獄行き」というような戒律がもしあったとしよう。
その信徒は異性が絶対に接近しないような場所で行動するだろうし、曲り道でも細心の注意を払うはずだ。どうしてもそういう場所へ行かなければいけない場合は、万が一のために体中をガチガチに固めて皮膚の接触がないように気をつけるだろう。
何しろ、うっかり触ってしまったら地獄に行ってしまうのだから。
食べ物にしても、死後の葬儀の方法にしても、お祈りの回数にしても、神様が融通を利かせてくれるならそれに越したことはない。
わりと「他で帳尻合わせたらそれでいいよ」という寛容な神様がいる宗教もあるらしい。
しかし、もし神様が厳格ならば、戒律を破ってしまった本人が「その地域の人が協力してくれない」とか「自分と違う宗教の人が理解してくれない」とゴネたとしても、その神様は許してはくれないだろう。
交通事故に遭って死んでしまったら、どれほど相手に過失があったとしても、自分はもう生き返れないのと同じだ。
自分がその神様との約束を果たせるかどうか。それがその人生や死後の運命を左右するのであれば、どうやって生きるのかもきちんとその神様と相談して決めなくてはいけないだろう。
どんなに言っても、最終的に自分のことは自分で気をつけるしかないのだから。