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リメイクしたら面白そうな映画01
映画が発明されて100年以上が経った。音のないサイレント映画から始まり、今やIMAXフィルムの超高画質映画やCGをふんだんに使った3D映画も登場していて、最初期と比べたらとてつもない進化を遂げてきた。
しかし、昔の映画を見てみると、現代で作り直してみてもきっと面白いだろうなと思う作品が結構ある。近ごろの映画を見ても、漫画やアニメの実写映画や過去作のリメイク作品は多いけれど、現代的なアプローチや解釈を加えた見事な作品というのはあまりお目にかからない。
僕の個人的な趣向にはなるが、ここにリメイクしたら面白そうな映画を2つほど紹介したいと思う。
『ニノチカ』(1939年)エルンスト・ルビッチ監督/アメリカ映画
ドイツ人のエルンスト・ルビッチが監督し、スウェーデンが生んだ名女優グレタ・ガルボが主演し、フランスのパリを舞台に巻き起こされる、アメリカの名作コメディ映画!
お話は、政府から宝石売却の使命を預かったソ連の役人たちが、主人公レオンと知り合って祖国とは違う自由な空気を当てられてしまい、すっかり任務そっちのけでパリを満喫するようになってしまう。そこで、当局から彼らのお目付けとしてお堅い特別全権使節の“ニノチカ”が派遣されてくる、というもの。
グレタ・ガルボはもともとシリアスな役が多く、本作は「グレタ・ガルボが笑った」ということでも有名になったという。
常にユーモアの利いたジョークが飛び交っているけれども、この作品は登場人物が基本的にみんな優しいのが良いところだ。ガルボの演じるニノチカも、初めはソ連を崇拝しており任務に徹しているが、だんだんとその冷たい心が優しく溶かされていき、仲間たちと素直な気持ちで笑い合えるようになっていく。
この移ろい行く心の過程を、例えば、ミア・ワシコウスカやアニャ・テイラー=ジョイなどが演じたらきっと繊細な感情を表現できるだろうなと思う。
『兵隊やくざ』(1965年)増村保造監督/日本映画
日本の怪物俳優であり名俳優、勝新太郎の代表作。
ソ連との国境近くの満州の戦線に送られた大学出の有田上等兵(田村高廣)が、新たに送られてきた暴れ者の二等兵・大宮貴三郎(勝新太郎)の世話を焼くうちに、だんだんと二人の間に友情が芽生え、陸軍内部のいじめや理不尽な暴力に対して反旗を翻す、というお話だ。
なんといっても本作は「勝新太郎の存在が無ければ成り立たない」と言ってもいい。
陸軍の上官にぶん殴られてもケロッとしていて、逆に殴った方が痛がってしまう。どんな理不尽に見舞われようともニヤリと笑い、こうと決めたらガンとして動かず、仲間のためなら体を張ってまっすぐどこまででも助けに行く。
そういう説得力を出せなければリメイクはとても難しい。
しかし、逆にそこをクリアするくらいの素晴らしい俳優がいたのなら、この映画はどれだけでも面白くできるだろう。
現地の中国人、兵隊を相手に商売をする女郎、ソ連兵。満州の戦線は、そんな混沌とした立場の人たちが集まっていた場所であり、そういう人々との関係を織り交ぜて描くことができる。
人間は、仲間同士のはずなのに悪いことをする者がいたり、敵国人であっても相手に優しく親切にできる良い人がいたりする。表面的な善悪を超えて、大宮と有田上等兵には、スカッとこの世の理不尽を粉砕するような大活躍を見せてもらいたい。
今の時代には、きっとそういう映画が必要だと思うから。