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花豆を煮る

しっとり雨の月曜日。
「お豆さんが朝子さんのところへ行きたがったから」
と菅平の美恵子から届いた尊い自家栽培の花豆。
紫花豆のフサの中にごく稀に見つかる白い豆を選り分けているのだそうな。

皮が破れないよう、グラグラさせない弱い火力で丁寧に優しく豆を煮る。
ふた晩かけてお豆さんの声を聞きながら。

薄い琥珀色の大きく美しい煮豆。
和菓子の練り切りのような極上のひと粒を口に含む。

「砂糖で甘くしちゃうのはもったいなくて、ポトフやサラダに美味しいお豆さん」と友がいうとおり、砂糖や塩で味をつけてなくても、豆そのものに優しい自然の甘さが詰まっている。

花豆は美恵子さんの雰囲気そのもの。

黒豆と比較すると大きさがわかりますね

明日はエンハーツ(再発乳がんの抗がん剤治療)の2回目の点滴。
この1ヶ月の体調の変化を体験してみて、「この治療を受けることにしてよかった」と肯定的な気持ちになれた。

治療のための治療にしないよう、やりたいことを諦めずにいたい。
副作用のだるさが過ぎれば、それなりに元気に動ける時期がくることもわかった。

これならやれる、かも!
そう考えて、やりたかった企画を進めることにした。

でも・・・。

治療スケジュールに合わせて予定を組むのだが、不意打ちのように具合が悪くなることがあって、2回目にして治療日が1週間ズレてしまった。

そういうこともあるとわかっていても落ち込んでしまう自分がいる。

これからも延命治療が続くことの「望み」があやしくグラグラになる。高望みを持った末の落胆を想像してしまう。
治療サイクルの影響とうまく折り合っていけるのだろうか・・・。

「体調に関係なく、どんな時も平らな心持ちでいたと思うのに、やっぱり、上がったり落ちたり、いつもあっけなく揺らいでしまう。不甲斐ないなぁって、情けないなぁって・・・なんだか 涙もろくなってしまって」

花豆を煮る方法を教わりながら、ふと、今の不安定な心境を口にしたら、

「揺らいでいることそのものが、生きているということ」

と美恵子さんは言ってくれた。

本当にそうだよね・・・。
今日も私は揺らぎながら生きていく。

ニシキヤキッチンのトマトチャウダーと花豆。相性ぴったり。

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