人をかんがえる時につかう:マズローの欲求五段階説 自己実現理論
アメリカの心理学者、アブラハム・マズロー(1908~1970)考案した 「人間は自己実現に向かって絶えず成長する生きもの」という
「マズローの欲求五段階説」「自己実現理論」
とも言われるものがあります。
看護を考える時にこれをどう使うかというと、医療ドラマなどで聞くトリアージを思い浮かべてください。災害時に色のタグを切って優先順位をつけているあれですが、 本当のトリアージ意味としては
「傷病者など治療を受ける必要のある人々の、診療や看護を受ける順番などを決定する、診療前の1つの過程」
災害時はもちろん、日常でも限られた資源、限られたスタッフで医療現場は動いています。
例えばこんな感じです。
優先順位が高い:
Ex) 何かのオペや処置中であれば、その場を動くことは当然できない。周りの看護師に、その他の仕事を任せる。
優先順位が低い:
Ex) そろそろ処置が来そうだなという準備は、他の仕事とのタイミングをみて準備を始める。
トリアージとまで行かずとも、病状などを考慮して、常に優先順位を看護師はアセスメントして立てています。自分の業務の優先順位を決めていかないと、回らないですからね。それを踏まえて下記の場合はどうでしょう?
Question1
オペ介助中に自分あての外線電話が来たらどうしますか?
Answer 1
優先順位が高いことをしている最中なので、とんでもない緊急案件でもない限り、後回し。かけ直してもらうか、こちらからかけ直しますと周りの看護師がお返事することでしょう。 オペから目を離す危険なんて、末恐ろしいですよね。 次はどうでしょうか。
Question2
そろそろ処置がきそうだなという準備をしようか考えているとき、外線の電話が来たらどうしますか?
Answer 2
優先順位が低いことをしている最中なので、よっぽどもう間に合わないぞと準備が遅れていない限り電話に出ます。 患者さんにも、処置の邪魔にもなりませんから、危険も特にないですよね。
二つの質問を通して優先度をわけたのは「危険度」です。
作業についてこれくらいシンプルであれば、すぐに判断できます。 ご存じの通り、人間の身体と心は密接に絡んでいます。身体だけ薬や手術で物質的にアプローチすれば治ってくれるなら、とってもラクチンです。
Ex) お酒や刺激物ばかり食べていたので、胃が荒れてしまった。摂生して胃薬を飲んだ。 しかし、そうはいかず、なんで繰り返したり、軽快していかないんだという場合もあります。その多くは、精神的なものから負の連鎖が発症していることがあります。
Ex) 実はストレス過多で、お酒や刺激物で気持ちのバランスをとっていた。摂生し、胃薬を内服してみたけれど、気持ちが安定しなくなって自殺企図を起こし、運び込まれた。 こういった場合、治療の優先順位が物質的な治療よりも、治療スタンスを改善するだけで治ってしまうこともあります。解決方法は個々に違って、どうして気持ちが安定しないのかというのは掘り下げなければいけないケースも、実はと話してくれるケースも様々にあります。 全く見通しのつかないまま見守るなんてことは非効率的で、どれだけのリスクを負わなければいけないのかわかりません。
そこで、どの欲求があってつまづいているのか?ということを検討するのにあたって、この「マズローの欲求五段階説」を使うわけです。
次回に続きます。
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