お金は人類歴史のパラダイムを変えた神様の使役者

人類の歴史上最初の硬貨によって作られた革命

ヨーロッパ文学で最も古い記録文学は、紀元前8世紀頃にホメロス(Homeros)が書いた『イーリアス(Iliad)』と『オデュッセイア(Odyssei)』だ。さて、ホメロスの作品の中に現れるギリシャの英雄達は、大部分が隣国を侵し、家門の名誉を守るなど戦闘と関連していた。

ホメロスの叙事詩には、貨幣と関連した話が登場せず、それはまるで英雄達の人生にお金自体が存在していないように描写されている。これについて、18世紀の啓蒙主義運動の先駆者であるヴォルテール(Voltaire)は、『アガメムノン(Agamemnon)は、宝は持っていただろうが、お金は無かった』と言いさえした。

このように、ホメロスの叙事詩に登場するオデュッセウスのような英雄達にとって、お金が些少(さしょう)な意味で捉えられたのは、貨幣がまだ知れ渡っていない世界に生きたからである。しかし、貨幣についての彼らの知識が非常に微弱だったにもかかわらず、トロイ(Troy)は貨幣を誕生させるほどの水準に到達していた。

ちょうど紀元前640~630年の間に、トロイの南側に位置していたリディア(Lydia)帝国で、人類の歴史上最初の硬貨が作られる革命が起こったのだ。そして、この革命は、古代ギリシャの全ての英雄達を合わせたものよりも、遥かに大きく全世界を変化させた。

リディアが作った貨幣は、初めは洋白(銅、亜鉛、ニッケルから構成される合金。日本の500円玉と同じ)で作られたが、時間が経つにつれて次第に金と銀を混ぜた硬貨を作るようになった。このように金と銀が混ざった硬貨をエレクトラム(Electrum)と呼んだが、大きさは大人の親指ほどの大きさだった。

このようなリディアの硬貨は、当時小アジアのみならずエーゲ海の西側にあるギリシャでも流通するようになり、人々を新しい次元の世界へと導いた。商品とサービスを測り取引することがより簡単で楽になり、小売市場の発達をもたらし、仕事の価値だけではなく時間の価値を測ることもできるようになった。

お金の公生涯を示す硬貨の発明と流通

お金の流通は経済発展をより加速化させ、交易の発達と共に、人と知識の交流もより自由にさせた。そして、市場と貨幣を基本にして形成された新しい革新的思想はギリシャとローマの文明の発展に表れた。結局ホメロスの叙事詩には登場しなかった『経済』という概念が、ギリシャの哲学者クセノフォン(Xenophone)によって導入された。

このような硬貨の発明と流通は、『第2のメシヤ』としてのお金が、まるで公生涯を始めたような様相だ。商品貨幣と金属貨幣時代が私生涯であったならば、本格的な硬貨の出現は公生涯の始まりということだ。本格的に人類の間でお金の活動が始まったというわけだ。

イエス様が公生涯を始められると同時に、旧約の律法時代は終わりを締め括る。『目には目を、歯には歯を』という旧約の教えを、『右の頬を打たれたら、左の頬をも向けなさい』という愛の法に転換させたイエス様のように、当時の硬貨の流通は、目には目を,手足には手足を,命には命を償わなければならなかった罪をお金で償えるようにさせる。お金が宗教と定義まで動かしたのだ。

また、お金はイエス様の福音が全世界に伝えられるためのローマという足台を作るのに、大きく貢献した。実は、わかってみると、ローマは貨幣で統合された世界最初の帝国だった。そんなローマを通して、全人類に新約の福音が伝えられたので、お金はもしかすると人類史の霊的なパラダイムを変えるメシヤの出現に先だって、その足台を整える役割を立派に遂行したわけである。

物質を使役者としても使われる神様

成約時代を迎える前、ダニエル書12章に預言された『多くの者があちこちと探り調べ、知識が増す世界』を備える過程においても同じだ。だが、資本主義の発芽が、産業革命と金に対する人類の欲望で始まった新大陸発見にその根を置いてはいないだろうか?

鄭明析牧師は『神様は、自然と万物を使役者として使われる』と言った。どれほど相応しい言葉だろうか?この御言葉通り、例え物質に過ぎないお金だとしても、Harper’sの編集長ルイス・ラファン(Lewis Lapham)が言ったように、『お金は人間が創造した文明の構造において最も重要な要素』として位置づけていたのである。

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