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「空・雨・傘」でするビジネスの天気予報---世界で使われる問題解決の基本フレームワーク

「空・雨・傘」でするビジネスの天気予報  
 世界で使われる問題解決の基本フレームワーク

はじめに

みなさんは、外出前に天気予報をチェックしますよね。「今日は晴れ? 雨?」と確かめて、もし雨が降りそうなら「傘を持っていこう!」と思うはずです。  

ビジネスの世界にも、そんな天気予報さながらのフレームワークがあります。それが「空・雨・傘」。世界のコンサルティング業界、とりわけマッキンゼー・アンド・カンパニーなどで広く使用されている思考整理の手法です。

- 空:事実認識(現状の確認)  
- 雨:解釈・分析(事実に基づく分析)  
- 傘:判断・行動(解決策の選択)
  

この3ステップで考えると、頭の中をシンプルに整理しながら、的確な解決策を導きやすくなります。そんな「空・雨・傘」の歴史や使い方、注意点を、誰にでもわかるようにご紹介していきましょう。



 1. 「空・雨・傘」の歴史的背景

 1-1. フレームワークの由来

「空・雨・傘」は、日本で比較的早い段階から論理的思考(ロジカルシンキング)の入門書や研修プログラムで教えられてきました。  
もともと欧米のコンサルタントが使っていたSDS法(Summary, Detail, Summary)やMcKinsey流の問題解決手法を、日本人にもなじみやすい形に翻訳・要約したものだといわれています。

雨が降りそうなら傘を用意する、という日常の行動を「事実→解釈→対策」という流れに重ねることで、誰もが直感的に理解しやすい形になりました。実際、企画書やプレゼンなどを作るとき、「現状」「課題」「解決策」という整理のしかたが定着したのも、このフレームワークの影響が大きいのです。

 1-2. ビジネス文章の基本フレームとして定着

「空・雨・傘」は、単なるロジカルシンキングだけにとどまらず、プレゼンテーション資料の構成、社内会議の議事進行、さらに個人のタスク管理など、あらゆる場面で活用できます。コンサルティング会社では新人研修の最初のほうで教わることが多く、現場では日常的に使われるほどシンプルかつ強力なフレームワークとなっています。


 2. (小学生向けに)OREOで説明!:「空・雨・傘」

それではいつものように、「空・雨・傘」をOREO構造(Opinion, Reason, Example, Opinion)で、小学生でもわかるように解説してみます。

Opinion(意見)

> 「空・雨・傘」は、いま起きていることをしっかり見て、問題を見つけ、行動を考えるための、わかりやすくて便利な方法だよ。

Reason(理由)

1. 「空」:いまの様子を確認しよう  
   - たとえば空が暗かったら「雨が降りそう!」と気づく。  
   - ビジネスなら「市場や社内で何が起こっているか」をしっかり調べる。

2. 「雨」:問題・リスクを考えよう  
   - 空が暗い=雨が降ると外で遊べない、服が濡れるなどの問題が想定される。  
   - ビジネスなら「売り上げが下がる」「競合が増える」などの課題・リスクを洗い出す。

3. 「傘」:どう解決・対処する?  
   - 雨が降るなら傘を持つ! かっぱを着る! という行動が大事。  
   - ビジネスなら「新製品を開発する」「広告宣伝を強化する」「組織体制を変える」など、具体的な施策を実行する。

Example(例)

遠足がある前夜をイメージしてみよう。

- 「空」:天気予報を見たら、明日は80%の確率で雨!  
- 「雨」:雨が降ると、グラウンドで遊べないし、カバンの中身が濡れちゃう可能性がある。  
- 「傘」:だから、雨具を用意しよう。靴も濡れても大丈夫なものにする。

Opinion(まとめ)

> 「いま何が起きているのか?」→「そこから起こりそうな問題は?」→「どう対策すればいい?」の順番をしっかり踏むことで、論理的に問題解決に近づけるね。


3. ビジネス活用事例とメリット

3-1. ビジネス活用事例

1. 新商品提案のプレゼン(食品メーカー)  
 - 空:健康志向ブームで低カロリー食品の需要が伸びている。  
 - 雨:競合も増えてきており、既存商品だけでは売上が落ちるリスクがある。  
   - 傘:低カロリー+高たんぱくの新商品を開発し、SNS広告で差別化する。  

2. システム開発プロジェクト(IT企業)  

- 空:社内の老朽システムが多数あり、メンテナンスコストが高騰している。  
 - 雨:放置するとトラブル対応に追われ、納期遅延や品質低下が発生しやすい。  
- 傘:クラウド移行を段階的に実施、最新の開発ツールを導入し、保守負荷を軽減する。

3. 組織改革のプレゼン 

 - 空:プロジェクト管理が複雑化し、他部署との連携が遅れている。  
- 雨:このままだとクライアント対応のスピードが落ち、信頼低下につながる。  
   - 傘:情報共有ツールを導入し、部署横断のリーダーを設置。進捗や課題を定例ミーティングで可視化する。

3-2. メリット

- シンプルで伝わりやすい  
  「天気のメタファー」で説明できるため、専門知識がない人にも直感でイメージが伝わる。  
- 論理展開が自然  
  「現状→課題→解決策」の流れが、人間の思考プロセスに合っている。  
- 合意形成がスムーズ  
  シンプルなストーリーになりやすいので、チームやクライアントとの相談・交渉がスピードアップする。



4. ビジネスで活用する上での注意事項

1. 「空」をしっかり調べる  

- 表面的な情報だけで「雨」を断定すると、誤解や見落としが生じる。  
- 例:実は競合が増えていないのに、噂レベルの情報で慌てて「傘」を導入してしまう。

2. 「雨」を見誤らない  

- 本質的な課題を見ずに、手前の症状だけを問題視してしまうと解決にならない。  
- 例:売上低迷の本当の原因が「商品の認知度不足」ではなく「流通経路」だった場合、広告費の投下だけでは解決しない。

3. 「傘」に過剰投資しない  

- 必要以上に大規模かつコストのかかる対策を打つと、成果が出ない場合に大ダメージを受ける。  
- 例:システム導入を急ぎすぎて使いこなせず、現場が混乱するケース。

4. 現場からのフィードバックを大切に  

- 実際に「傘」を導入してみた後、状況がどう変化したのか、常にチェック&修正を行う。  
- 例:宣伝手法を変えたのに販売数が予想ほど伸びない場合、すぐに原因を再調査する。


5. 他のフレームワークとの組み合わせで相乗効果

- SDS法(Summary, Detail, Summary)  

プレゼンの冒頭と終わりに要点を示し、中盤で詳細を説明するときに「空・雨・傘」を適用すれば、さらにわかりやすいストーリーに。  

- PREP法(Point, Reason, Evidence, Point)

  「結論→理由→具体例→まとめ」の流れに、「空・雨・傘」をつなげると、論点が迷子にならず、説得力がアップ。  

- 3C分析(Company, Customer, Competitor)  

3Cで現状把握(空)→そこから生じる課題(雨)→解決策(傘)という組み合わせも相性が良い。


6. まとめ

1. 「空(現状)」「雨(問題)」「傘(解決策)」は、日本のコンサルティング業界を中心に長く使われてきた基本中の基本のフレームワーク。  
2. 天気のアナロジー(たとえ話)を用いることで、誰にでも直感的に理解しやすい。  
3. ただし、「空」の調査や「雨」の分析を雑にすると、見当違いの「傘」を準備してしまうリスクがある。  
4. 他のフレームワーク(SDS、PREP、3Cなど)や、社内の実務ノウハウとも組み合わせると、いっそう論理が強化され、説得力ある提案を行いやすくなる。

「空・雨・傘」を活用してみよう!

- 日常の仕事や学習  
  ちょっとした資料作成や問題整理に、3ステップを使うだけで劇的にわかりやすくなる。  
- チーム内の合意形成  
  会議が迷走したときは「まずは『空』から整理しようか」と提案すると、話がまとまりやすい。  
- 個人のキャリアや目標設定  
  「今の自分のスキルはどうか(空)」「弱みやリスクは何か(雨)」「どう成長するか(傘)」を考えてみると、行動指針がより明確になる。

空、雨、傘はとても実践的なフレームワークです

 おわりに

「空・雨・傘」は、一見シンプルですが、その分応用範囲が広く、多くのビジネスパーソンやコンサルタントが愛用している超基本の思考ツールです。  
現状をしっかり把握し(空)、そこから起こりうる問題を分析し(雨)、具体的な行動を選択する(傘)。この流れを身につけるだけで、仕事の質がぐんと上がり、周りを説得しやすくなるはずです。

ちょっとした工夫で、日々の仕事やプロジェクトが“濡れることなく”前進できるようになるでしょう。みなさんもぜひ、「空・雨・傘」をあなたの思考の道具箱に加えて、ビジネスシーンや日常生活の様々な場面で活用してみてください!


今日も最後までお読みいただきありがとうございました。  
「空・雨・傘」をぜひ明日からの仕事に取り入れてみてください。ビジネスの天気予報が晴れやかになりますように! 


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お知らせ
マーケティングに携わるビジネスマンにとっての教養ってなんだろうと思った時に、言葉を理解して大事に扱うことではないかと思いました。言葉と客観的に向き合ってみよう。それにあたり生成AIをプロセスの中に入れてみよう、と思ったのがきっかけです。普段何気なく使っているカタカナ英語を改めて理解することがマーケティングの仕事にとっての教養の始まりだと思いました。「小学生でもわかる」と「OREO構造」を利用して、日々何気なく口にしている専門用語をわかりやすく解説する記事を書いています。
よかったら読んでみてください。


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森 浩昭 / Hiroaki MORI
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